2017年のいろいろとやりたいこと

 

 

この記事をもって2018年に意識をアップデート。

 

ゲーム

 

2017年もすてきなゲームにたくさん出会えて嬉しかったです。

 

これ以上ないきれいな完結を見せてくれた大逆転裁判2、

 

めちゃくちゃに気持ちをかき乱して嵐みたいに去った後には最高のサヨナラを残していったダンガンロンパV3、

 

発売後も力の入ったコラボと記憶に残るweb企画とこんなのをやりたいとこんなのが欲しいがしっかり合致したいくつものファンアイテムの発売とをほとんど途切れることなく続けてくれて日々作品への愛着心を育ててくれたSide Kicks!

 

どのゲームも、「今」やれてよかったなと何度も思いました。

積みゲーはやめなければならないなとも……

 

 

  

漫画 

 

商業BL漫画は別記事立てたのでそれ以外で私の今年はこれだったというものを。

 

  

 

椎名うみ作品

 

 

 

 

 

2017年は椎名うみにめちゃくちゃ嫉妬した年だった。

 

私はあまり嫉妬や人を羨む感情が強い方じゃなく、いいなあと思ってもいいなあ止まりであることが多いのですが、久しぶりに胸をかきむしられるような嫉妬をし、この人の目で世界を見たくて、見た世界をこんなふうに受け手に伝えられるような言葉や表現を持ちたくて、いいと思ったもの全部が欲しくて、そのどれも全部ない自分が地面叩き付けたいくらいイラついた。

 

twitterで1話が話題になってたときは生理ネタだったのでふーんくらいにしか思わなかったのですが……椎名うみになりたいのか優里ちゃんになりたいのかもう分かりません、「青野くん」を読むとその2つがぐるぐるしてしまいます。

 

これ書くためにちょっと読み返してみたけど涙がでそうになってそれ以上読めませんでした。

 

 

 

 

青春のアフターIF

 

 

 

緑のルーペにずっとしゃらくささを感じていたのですが、IFではない本編では伏せられていた「倉橋はバイセクシャルで鳥羽に恋している」という設定が明かされて描かれた本作で簡単にコロッといってしまう程度の感情でした。

 

めちゃくちゃよかったです。

 

最後のオマケページは本編軸に戻って「倉橋は鳥羽に恋をしていた」という伏せられていた設定を明かすものだったのですが、このオマケページは同人誌版では袋とじになっていて、自分の手で破らなければ――不可逆の傷をつけなければ――読めないというコンセプトがあったらしく、倉橋にとってその感情はこんなにも明かすつもりのない、もしくは、明かしたくないものだったんだなってやりきれないような気持ちになった。

 

物理媒体ってやっぱりすごいなと、触るだけで少し痛い、ざらざらした歪な切り口を想像しました。

 

少し読み返していたんですが、さくらの祖母が亡くなったときのシーンでさくらの親戚へ向けた倉橋のセリフに「でも封を切れば全ての前提が覆ります」というのがあったことに気がつきました……倉橋…… 

 

「青春のアフター」自体が「こいのことば」の否定であることは読めば分かるしあとがきにも書いてあるんだけど、IFの袋とじオマケ漫画のタイトルも「If not」なんですよね……緑のルーペ、よく知らないですけど自問自答のひとですね……

 

 

 

楽園の羊は泣きかたを知らない1巻

 

楽園の羊は泣きかたを知らない(1) (マガジンエッジKC)

楽園の羊は泣きかたを知らない(1) (マガジンエッジKC)

 

 

 

奈々巻かなこがもう好きで好きで好きなので新作というだけで嬉しい。

 

展開がテンポよくて、独自設定のあるファンタジーなのにそれでも設定と状況とキャラクターたちがすっと入ってくる。

 

なんかいつも、くすぐられるようなじわじわくるかわいさがある男の子キャラクターをくれるんですが、今作、シュラがめちゃめちゃかわいいです……はあ……

 

 

 

あとは、 

 

 

 

かみつき学園1巻

 

かみつき学園(1) (シリウスKC)

かみつき学園(1) (シリウスKC)

 

 

 

2017年一番好きだった(続刊除)百合漫画。

 

 

 

俺たちマジ校デストロイ1巻

 

俺たちマジ校デストロイ 1 (B's-LOG COMICS)

俺たちマジ校デストロイ 1 (B's-LOG COMICS)

 

 

 

エロと直接的感情表現のないヤリチン☆ビッチ部(どっちにしろ最高)。

ヤリチンの話ではない。

 

 

 

ひつじがいっぴき1巻

 

ひつじがいっぴき 1 (ハルタコミックス)

ひつじがいっぴき 1 (ハルタコミックス)

 

 

 

グロとホラーと痛みをびっしり描き込まれた奇妙でかわいいモチーフでくるんでリボンかけたらグロとホラーと痛みが隙間からちょっとはみ出してしまった、みたいな。

ホラー要素のある漫画描く人、基本的に描き込みが偏執的で画面が賑やかなので好きなんですけど、この方の偏執的な描き込みは小学生の女の子が夜に夢見る世界としての奇妙かわいい部分にも発揮されていて、じーっと見てしまうようなコマがいくつもあります。

めェさんがかわいい。

 

 

 

白聖女と黒牧師

 

白聖女と黒牧師(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

白聖女と黒牧師(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

 

 

 

表紙がかわいくて買ったら中の絵も表紙通りでめちゃくちゃかわいかった。

そんなかわいい絵で描かれる聖女様がこの子がもーかわいーーーーーです!!!

黒牧師とか書いてあるので男の子が腹黒系かと思ったら鈍くて真面目な世話焼きでよかったです。

調子にのらない世話焼き×調子にのる世話焼かれ、世界一好きなカップリングなので。

 

 

 

などなど。

2017年もすてきな漫画にたくさん出会えました。

 

 

  

アニメ

 

ゲーマーズ!」「武装少女マキャヴェリズム」「覆面系ノイズ」がよかったです。

一番記憶に残ってるのは「クズの本懐」の最終話で、これに関してはtwitterで喋ってたので以下ログです。

 

 

 

アニメ版クズの本懐、イベントCGみたいな一枚絵で塗りもそれっぽいのがよく挟まれるなと思っていてそれ自体に特によさを感じたことはなかったけど最終話のモカのファッションショーとえっちゃんと花火の校舎外でのシーンで使われたのは立ち絵→イベントCGくらいの力があってすっごいよかった

posted at 23:11:42

 

 

アニメの最終話を見たあと原作最終巻を読んだらアニメの最終話があまりに完璧で原作がかすんでしまった アニメの最終話ですべてを完璧に見送ってしまった後だったから番外編掲載決定っていうのにも全く心が動かなかった

posted at 23:15:55

 

 

箇条書きであらすじを書けばアニメも原作も同じなんだけどアニメの最終話はサブタイトルの「二人のストーリー」通りに花火以外のキャラクターたちのこともちゃんとCG付きイベントで見送らせてくれたんだよ それも麦だけじゃなくて

posted at 23:19:41

 

 

「身体に触れずに相手を思い遣って言葉を選ぶことを初めてしたと思う」みたいな花火のモノローグが好きで印象に残っているんだけどアニメの最終話は誰かが誰かを思い遣るシーンをいくつも入れていて花火が今まで見ようとしなかったもの受け止めきれなかったものが開かれていくのがよく伝わった

posted at 23:23:59

 

 

花火の文化祭の仕事の手伝いを明らかに花火に好意を持ってるモブ男子が名乗り出て一緒にいた友達のモブ男子がそれを見ているシーンとか、花火が片思いしてたメガネやめた先生が花火に声をかけようとするのを茜先生が止めるシーンとか 原作になかったもののどれもが必要なものだった

posted at 23:27:19

 

 

高くで結んでたツインテールを下ろして自分で縫ったドレスを着てランウェイを光の方へ消えていくモカの後ろ姿に乗せて「あんたも自分だけで歩いてみたらわかるわ」のセリフをもう一度聞かせてくれたのが私には一番だった

posted at 23:36:12

 

 

アニメの方が感傷的ではあるかも 原作の方が花火が一人で歩いていくことをより強調していたかも でもえっちゃんの最後の勇気の後ろに眩しすぎて明るすぎる蛍光灯ではなくて桜吹雪と柔らかい太陽の光をくれたのもアニメの最終話だった……

posted at 23:40:34

 

 

最終話のモカのかっこよさときれいさが忘れられない

posted at 23:47:39

 

 

約束をしようと先生に小指を差し出そうとする花火が麦と小指で交わした約束のことを思い出したり、久々に会った麦に一番に言われたのがごめんねだった時に麦からの最後の連絡だったごめんねのメッセージを思い出したり観客席にいる花火と目があったモカが花火に最後にかけた言葉を思い出したり

posted at 23:50:17

 

 

髪切ったんだねって花火に髪に触れられたえっちゃんが最初に花火に同じように髪に触れられた時のことを思い出したりとか 思い出すことと思い出してしまうことと思い返してしまうことを何度も見せてくれたのも好きだった

posted at 23:54:18

 

 

みんな何度も過去のことを思い出すけどでもモカは光の方へ自分で歩いて消えていくしえっちゃんは花火にはもう触れずにすっきりしたって笑うし振り向いても後ろ姿さえ見えなくて二人とも相手がいるわけないこと分かってて振り向いてて時間は戻らないし隠れたところは傷だらけで

posted at 00:18:20

 

 

報われることがあったとすればその傷がきっと特別な傷だってことと特別な傷だって思えていることくらいで

posted at 00:19:26

 

 

この作品もなんだかんだ大人は上手いこと収まるべきところに収まって子供たちは視野が狭かったり自分をコントロールできなかったり持てる手段がなかったり妥協を知らなかったりして傷つくだけ傷つくタイプの話だったけど多分なんだかんだ大人は上手いことやれてしまうお話のこと嫌いじゃないんだと思う

posted at 00:27:38

 

 

茜先生ほんとつまんないよ 一個もおもしろくないし全然好きじゃないけどでも嫌いじゃないよ

posted at 00:31:20

 

 

アニメの最終話がなかったらみんなに思いを馳せることはなかったと思う……アニメの最終話見てよかった……それでも麦とメガネの方の先生のことはどうでもいいけど……

posted at 00:33:59

 

 

最後までつまんないやつ、って言いながら放課後誰もいなくなった教室で黒板に書かれた茜先生結婚おめでとうの文字を雑に消す元合唱部員になりたい

posted at 00:38:34

 

 

 

アニメはtwitterで喋ってなかったら全然思い出せないし今年はもうちょっとちゃんと見たいなーと思うんだけどすでに無理そう……

 

  

 

今年したいこと

 

もう今年も四分の一が終わりますが!

今年は新作ゲームを新作の内にやることと、楽しいなーと思ったらアンケートを出すことをしたいと思います。

あとは本を全然読んでないのでちゃんと読みたいのと、商業BL小説とTL小説を何冊か読みたい……同人乙女ゲームもやりたいです。

暮らしを送りたい。

がんばります。

 

 

 

 

「蝶々事件ラブソディック」クリアしました

 

(2018.2.14 クリア)

 

 

youtu.be

 

 

タイトルと全く関係のないゲームの公式動画を貼ってしまいましたが、この狐森綴くんの自己紹介ムービーを初めて聞いたあの日から、CV村瀬歩の攻略対象のいる乙女ゲームをプレイしたいなあしたいなあと思い続けてようやくその思いが叶ったゲーム、それが「蝶々事件ラブソディック」でした。

 

 

 

 

 

https://twitter.co

m/CCJLS_otomate/status/898378430919491584

 

 

・男であることを隠したまま女性として生きている

・全寮制女子校では生徒たちにとっての憧れのお姉様

・学校の外では歌劇団でトップスタァとして男役を演じる憧れの王子様

 

 

以上三点が狐射堂遙を構成するざっくり三要素。

CV村瀬歩の攻略対象ならこういう感じのキャラクターでこういう感じのトーンで喋って欲しい!というパターン複数を同時に一人の中に落とし込んだようなキャラクターで、とにかく贅沢な体験ができました。

 

遙が女性を演じる時の声、男性として喋る時の声、女性としての遙が男性を演じる時の声、女性を演じながらも怒りや焦りで少し男性としての自分が滲んでしまっている時の声、などなど、高音と低音ではっきり分かれている場面もあれば、遙の意識や感情の揺れと一緒に一つの台詞の中で声のトーンがグラデーションのように揺らめいたりもして、本当にすごかった。ひとつの体験として、すごかった。

 

この世にCV村瀬歩の攻略対象が実装されて欲しいよ~〜という願いそのものはこれ以上ない形で叶えられたのです。

 

と同時に、私は別に声オタというわけではなかったなというのを改めて実感させられたゲームでもありました。

この体験だけでもってこのゲームを好きだった、満足したとまではどうしても言えない……

 

文章が読みづらいわけでもなく、システムがとんでもなく使いづらいわけでもなく、頻繁に発生する読み込みとその遅さにストレス溜まるわけでもなく、ただただシナリオを読んでいるほとんどが退屈な時間だった。

 

結局この退屈さの原因は最後まで分からないままだったけど、最近漫画版の蝶々事件を読んだところ、毎話必ずキャラクターの見せ場が派手にきれいに演出されていたり、イ織が煙草を吸うなどのキャラクター解釈の小道具での表現が最高だったり、表情に乏しいえれながたまに見せる強い瞳がかっこよかったり、サブキャラの死に際もゲーム版よりずっと丁寧に時には美しく描いてくれていたりと、とてもとてもよかったので、硝音あやさんにイベントスチルを描いてもらえてたら印象は全然違ってただろうな……とは思いました。

 

 

 

個別ルート等

 

 

理智ルートが一番好きだったかなあ。

理智ルートは、結局紐解いていくと小さい願いにたどり着くのに、そこにそれがあるのは見えたのに、上手く解けた気がしなくて、よかった。

 

好きなキャラクターは個別ルート終盤以外のイ織と他人のルートでの遙です。

 

このゲーム、最初に攻略できるのは遙か将成のどちらか一方というのもあって大体の人が遙を攻略するのはかなり序盤になるんだけど、その後どのルートにも主人公の女友達ポジションで登場してくる遙に、どの攻略対象よりも画面外の”わたし”からの好感度が重なってってしまうというあんまりなかったような不思議な感覚があって、人気投票の結果とコメント見る限りそういう人は多いんじゃないかなーと思うんだけど。

 

遙が隠れてない隠しとして理智なみの攻略制限がかかっていたら……散々女友達キャラとしての遙と各ルートを回って最後の最後に遙ルートが解放されていたら……わたしのかんがえたさいきょうのちょうちょうじけんにしか過ぎませんが……でもそういう遙は見てみたかったな……

 

イ織は、個別ルートの落としどころがあんまり好きじゃなかったけど、そこを除けば一番楽しかったルートで、好きだったキャラクターでもありました。

 

 

 

 

 

ここがイ織ルートで一番好きだったシーン。

同じものを見ながら、聞きながら、相手の持たない風景を言葉でひとりごとのように描き続けるように、交わったとしても沿うことはしない二人をゆっくり描いていたルートだったので、

 

 

 

 

こういう結末になったのは残念でした。

漫画版のイ織があんまり執着心もなくただこの足で踏めるところは全て舞台だから舞台上ではより楽しい方を選んでいるだけ、て感じですごくすごくいいので、蝶々事件3巻の発売と硝音あやさんの構想通りの完結を楽しみにしたいと思います。

 

 

2017年 面白かった商業BL漫画

 

 

 

 ぼーっとしてたら2月になってしまいました。

順番に特に意味はないです。

 

 

 

 兄は元彼

兄は元彼 (ディアプラス・コミックス)

兄は元彼 (ディアプラス・コミックス)

 

 

 

そう言えば

僕は

昔の兄も真面目だったかどうかなんて

考えたこともなかった

 

 

読み終わってあらためてタイトルを見て、いいなあって思った。

元彼って言葉は対象に対して使うものなので「兄"の"元彼」とする方が聞きやすいところを、「兄"は"元彼」と名付けられたこの作品はその通りに、兄と、兄の元彼と、誰かの元彼であった兄と、弟のお話でした。

私、第三者視点BLがすごく好きで、やたもも3巻もこれでめちゃくちゃよかったので2017年はこの二作品だけでいい第三者視点BLに恵まれていたなあと満足しています。

片側からでは見られないその人の違う側面を分け合って昔わからなかった涙の意味をわかったり、最初に去っていった人間がいつのまにか一番立ち止まっていたり、だから的外れだったり、でも呆れを取り戻したのは面影だったり、時間と視点が交差するからこその混線がすごく好きでした。

あと梅子さん、今年読んだ商業BL漫画で一番好きな女子キャラクターです、かわいい……

 

 

 神様はたぶん左利き

 

神様はたぶん左利き (アイズコミックス)

神様はたぶん左利き (アイズコミックス)

 

 

 

例えば犬

けなげで頑張りや

お札

美しいもの 人間の技術力

そういうもの

俺の 好きなもの

 

 

 借金のカタに偽札を作らされてる印刷所の刷師とそこにやってきた人間コピー機のお話。

設定の珍しさに目を引かれるけど、それだけで終わらずに、高い技術力をもって偽札を作ることを通して偽物と本物を引き合いにしながら、自分の信じるもの・自分の好きなものを大切にするためにどういう行動を取るべきか、というところに収束していくのがとてもよかったです。

読み切り版のラストと最終話のクライマックスで出てくる真倉の「何様なんだ」というセリフや土砂に埋もれて行くあのシーンなんかを見ていると、もっと真倉のことで描きたいことがあったんじゃないかと思えて、もうあと1.5倍のページ数で読めたらなあと思ったり。

この方の漫画、前作もそうなのですが、表紙に意味や裏話を盛り込んでくれるのであとがきを読んだあと表紙を見返すのも楽しいです。

一番好きなシーンは、泥酔しながら二人で、乗ってる他の乗客も眠っている恐らく最終の市バスの一番うしろの席で、肩組んで歌ったりしてるシーンです。

 

 

ハイ・ファイ・ランデブー

 

ハイ・ファイ・ランデブー (H&C Comics ihr HertZシリーズ)

ハイ・ファイ・ランデブー (H&C Comics ihr HertZシリーズ)

 

 

 

住むなら田舎かな

でも大学が都会だったら

そっちで就職してしまうかもね

東京

大阪

名古屋

どこに行くんだろうね

俺たち

 

 

廃校が決まった学校で卒業までの最後の一年を過ごす中学生二人のお話。

風景の中にキャラクターを立たせるのが本当に上手いなあと思う漫画家さんで、最後の一年の春夏秋冬を順番に描いていくこの作品はそのよさが特に強く感じられました。

絵的に強いラストシーンのある単巻漫画が好きで、この作品もまた。

予想のつくラストを絵の強さが越えていくことほど気持ちいいことはないです。

市バスってなんかほんといいよね…………

 

 

ユートピアダーリン

 

ユートピアダーリン (あすかコミックスCL-DX)

ユートピアダーリン (あすかコミックスCL-DX)

 

 

 

「俺の気持ちが無くても 恋愛って成立するんだな」

「何を今更 君の気持ちしかなくても恋愛は成立してきたじゃないか」

 

 

献身的な人間の恋のお話が好きなのは、一人の内に完結する恋のお話だからなのかもしれません。

目の前のその人の心のどこかを埋めるように気持ちを傾けることが恋で、埋まった人から笑って去っていくことが恋の終わり。

主人公が変わるわけでも時代設定が変わるわけでもなく、そんなに長くはないある期間を切り取った連作ものなのに、どこか輪廻転成もののようにも感じられます。

 

 

インディゴの気分

 

インディゴの気分 (Feelコミックス オンブルー)

インディゴの気分 (Feelコミックス オンブルー)

 

 

 

 胸のどこかにずっと…

小さな炎が燻っているのだ

あの頃

あの日々に

燃やし尽くせなかったから

多分一生消えない

 

 

前作「ポルノグラファー」の続編で、過去編。

今更どうにかできるわけではないし思い出すだけ無駄だけどでもふとした時何度も思い出してしまっては胸に青い影が落ちる。時が経った実感はないのに遠いところまで来たなあと感じる。あの時こうしていたら…と想像することは少なくなって今はただ思い出してしまう。一人になった時、誰かに手を振った時、深夜家までの短い距離を歩く帰り道に、空車のタクシーとすれ違った時。誰かと関わったことでしか生まれなかった後悔のような燻りを、誰もがひとつは持って生きているのだろうと、そんなことを思いながらどうしても泣いてしまう、そんな作品でした。

 

 

On Doorstep

 

On Doorstep (ビーボーイコミックスデラックス)

On Doorstep (ビーボーイコミックスデラックス)

 

 

 

あたたかいお前が

好きだったんだ

 

 

韓国の漫画家さんの作品を翻訳したものらしいです。

絵がほんとうにどのページどのコマを取ってもきれいで、白黒でも透明感があるのが好きです。崩し顔みたいなものもなく全編イラスト集のような絵で、そういう漫画って読みにくかったりすることも多々あるんだけど、この作品はそんなことなくとても読みやすかったです。

最近好きだなあと思うイラストはだいたい描き手が韓国の方だ!

 

 

学園天国 それは恋です小泉くん

 

学園・天国 それは恋です小泉くん (ビーボーイコミックスデラックス)

学園・天国 それは恋です小泉くん (ビーボーイコミックスデラックス)

 

 

 

この日私は

少しだけ

特別な女の子になった。

 

 

同一シリーズだけど違うテーマ付きアンソロに一話完結ものとして短編で載ったものと、雑誌でシリーズものとして連載で描かれたものを合わせて一冊にまとめたもの。

なので、一つのシリーズとして見たときの一話あたりのバリエーションが豊富で、読んでて楽しかったです。

女子BL掲載時にフィーチャーされたモブ女子の中森さんが攻めよりも登場回数多いのではってとこも含めて、アンソロでテーマ先行で描かれたからこそ生まれたような面白さがとてもよかったです。

 

 

YOUNG GOOD BOYFRIEND

 

YOUNG GOOD BOYFRIEND (on BLUEコミックス)

YOUNG GOOD BOYFRIEND (on BLUEコミックス)

 

 

 

好きな食べ物は アイスクリーム

押し倒された床の冷たさを覚えてる

全部のいたずらを覚えてる

眠った顔

公園のアヒル

花火

笑えるくらい大きなベッド

ずっとひとりだと 思っていた

しがない男の

君は

いつまでも

いつまでも

終わらない恋

 

 

前作「YOUNG BAD EDUCATION」の続編。

前作よりもずっと好きになったのは、先生視点がメインになったからかなと思います。過去も今も手の届くものも届かなかったあの頃も全部を何度も噛みしめるような、恋のお話。

先生から見た水沢くんの横顔、笑顔の眩しさに、先生のこれまでの想いが全部のってて、何回読んでも泣いてしまう……

好きなシーンは、ラストシーンと、先生が家に行く前にアイスとポテチとコーラを買って行くのが学生っぽくて嬉しくてうきうきしていたのを平静を装って隠そうとしていたシーンです。

 

 

日常クライマックス

 

 

 

ねぇ 日下

別れ話してもいいけど

別れないでくれる?

今更 お前以外と生きていけねーよ

 

 

『元耽美』というテーマで描かれた、駆け落ち15年後の安定の中での長い別れ話のお話。

こういうお話によさを感じるようになったのは年取ったからだなあと思う。

「別れ話してもいいけど別れないでくれる?」のセリフには目の覚めるような思いでした、私が最初に考えつきたかった……

 

「悠久のティアブレイド」感想 運命の廻りで繰り返す副産物たち 計上されない輪廻

 

 

(2017.6.29 クリア)

 

 

 

「だがそれは目的達成のための過程で生み出されてしまった副産物であり、彼ら自体に意味はない。」

 

 

 

 

 

 

公式ブログの23回目の更新の記事にこういう記述があるのですが、

 

 

今だからぶっちゃけますと、最々初期には彼をサブ攻略キャラにする案もあったのですが、 過去編に存在を絡められる人数がもう限界で......、悲しいかなボツ理由は『運命力の不足』。

 

 

この『運命力』という言葉はこの後の更新でも何度か出てきます。

この作品をプレイしているとき、一人攻略するごとに、むごい話だなあ、という思いをつのらせていてED曲聞く頃には毎回完全な虚無になっていたのですが、クリア後、この『運命力』という言葉を見たときは深い納得がありました。

 

運命の話です。

運命の周りで繰り返してきた副産物たちによる、清算の話です。

例えば、シュドルートでシュドが今まで操縦できていたティアブレイドに拒否されて乗れなくなったときのこのセリフ。

 

 

「アタルヴァに導かれ。

 ネオスフィアでイヴと出会い。

 そしてティアブレイドという力を得て……。

 【運命】だと思った。

 きっと自分はこの世界を救うために生まれてきたのだと、そんな宿命すら感じた。

 しかしそれは勘違いだった。

 ……思い上がりだった。

 気付いてなかっただけでオレもまた【その他大勢】に過ぎなかったのだ。」

 

 

アタルヴァルートでアタルヴァがそれまでの自身を証明する全てであり拠りどころだった手がかりの記憶が他人のものでしかなくて自分はバックアップのためだけの容れ物にしか過ぎなかったことを知ったときのセリフ。

 

 

「この記憶の持ち主は……、おまえを心から愛していたからこそ、あの辛い旅路に耐えていたのだと。

この記憶はそんな美しい人間の物で、オレがそれを持っているのにも、きっと意味があるのだと……、信じていたんだ」

 

 

シュドとアタルヴァは 攻略対象四人+一体(二人)中、唯一攻略制限のないルートを担当する二人です。

シンボルカラーが赤のシュドと、シンボルカラーが青のアタルヴァ。

そんな露骨さもあり、二人のルートは「運命だと思った、だけど勘違いだった」という似たようなイベントをきっかけに展開していきます。

 

「悠久のティアブレイド」という作品において運命とは過去を指し、だから、上書きされない過去を持つものこそが運命で、業のように積もっていく時間を重ねれば重ねるほど自分の内だけでは留められないほど因果は影響力を増していき、「今」は簡単に上書きされてしまいます。

 

三千年間誰にも見つけられることのなかった現代のネオスフィアと、地上で今まさに起こっている出来事の全てが、三千年前に起こった出来事を起因としており、そして運命と呼べる程の因果を持つものはロウと過去イヴしかいなかった。

 

「悠久のティアブレイド」とはそういう作品で、一言で言うなら因果至上主義ゲームです。

 

各個別ルートでは今の自分とは関係ないとされたり違うものを見つけたり至上主義を撤回したりするものの結局過去イヴでしかロウは攻略できないし運命は同じ過去を持つ運命としか先に進めない、結局そこかよ!!みたいな、そういう作品です。

 

アタルヴァは、自分のルートでは、拠りどころだった記憶がロウのものだったこと、自分は記憶のバックアップのための器でしかなかったことを知ったときは深く嘆くのですが、ロウルートでそれを知ったときは静かに受け入れます。眉を曇らせ、微笑みすら見せて。

 

シュドは、自分のルートで、現イヴやアタルヴァとの出会いやティアブレイドに乗ってその力を得たことを挙げて運命だと思った、と語り、ティアブレイドに乗れなくなったことを挙げてそれは勘違いだったと語りますが、ロウルートとヤジュルルートでは序盤はシュドかアタルヴァがティアブレイドを操縦するんです。どっちでもいいんです。ヤジュルかロウの操縦までを繋いでくれるなら。シュドは自分のルート以外でティアブレイドに乗ったからといってそれを運命だとは言わないし、当然何も起こらない。

 

ティアブレイドの操縦をするっていうのはほんとは全然特別なことなんかじゃない。

 

それでもシュドが自分のルートではそれが何か特別なことだと思い込んでしまったというのは、アタルヴァが自分のルートでだけ大切な記憶が自分のものでなかったことに嘆くのは。

冒頭の公式ブログから引用した文章から言葉を借りるなら、シュドとアタルヴァの「勘違い」は、足りない運命力を補うための措置だった、ということなんだと思う。

何のために? 攻略対象にするために。

 

「運命力」が、過去イヴとロウという二人の運命とどれだけ強い因果関係を持っているかを指しているとすると、例えば、過去イヴに名前を与えられた疑似人類であるシュドは。

いつかイヴに追いついたときのために「みんなを守るように」という命令を与えられ、それだけを持って、廃棄されては別人として出荷され別人として生きた。

 

記憶がオーバーフローして狂いかけたロウの、記憶のバックアップ先の容れ物として作られたアタルヴァは。

アタルヴァ自身に過去はなく、ロウが過去イヴといつか幸せに死ぬまで生きるために作られただけだということを知らず、バックアップされた「大切な誰かを探して歩き続ける記憶」を拠りどころにしていた。

 

二人とも、ロウとヤジュルほど過去イヴとは関係しておらず、攻略対象としてそのままルートを作るにはほんの少し、運命力が足りなかったんだろう。

 

本当に、むごい話だと思います。

シュドルートの感想で、シュドと現イヴは運命だ!っていうのを何回か見たけど、そうなるように書き込まれただけじゃんと思うしシュドにも現イヴにもその言葉使いたくないよね。

なんかこう、ここまでされると、別にキャラクターが志願して攻略対象になるわけでもないのに、ここまでして攻略対象になって何があるの……みたいな気持ちになってしまってそれがエンドロールでED曲聞いてるときの虚無に繋がっていたわけなんですけど…………まさに、青い空 それだけなのに……みたいな気分なんですよ……

 

でもほんと、いいゲームなんです、システムデザインは清潔感があるしキラキラした塗りはきなみ由希さんのよさをなおさら引き立てるしいけさんはキラキラの中にもキリッとしたところがあって画面が締まるしボーカル曲はKOKIAさんだし……ただ、補って余りあるほどにむごいんだよ……

 

 

 

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植物と基盤を組み合わせたようなデザインが作品とリンクしている。色調が全部を上手くまとめていてとにかく清潔感のあるシステムデザイン。

 

 

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今までプレイした中で一番好きな名前入力画面。きれい。

 

 

 

「悠久のティアブレイド」の、この、運命システムというのか、因果至上主義が好きじゃないので虚無とイライラを行ったり来たりしながらロウルートを進めてイライラが最高潮だったのもロウルートだったのですが、その後にプレイしたヤジュルルートの、ヤジュルがどうしてテロ行為を起こしたのかを語るイベントがすごくよくて。

 

創作物に出てくるテロリストたちの言い分っていつもピンと来なくて、来ないように書いてるというところもあるんだろうけど。

でもヤジュルの言ってることは、それまでこの作品の、運命に近いものほど強くて上書ける、に散々怒っていた私にすっと染みていくように分かったんです。

これが、キャラクターの抱える怒りが分かったときの気持ちか…と思った。

ヤジュルのセリフを引用します。

 

 

「なぁ、お前は【個人の定義】って何だと思う?

 最低限何が残っていれば自分が自分だと思える?

 肉体か、人格か、記憶か……、普通はそんなとこだろう。

 だがあの時代、そんな物はいともたやすく他人によって操作されてしまう曖昧な代物だった。

 じゃあ、本当に大切な物、自分にとってのかけがえのない物は何なのか?

 ……それは【過去】だ。

 あの死体の山の中で、少年はそれに気付いてしまったんだ。

 そして、自分が何一つ確かな【過去】を持っていないことに憤りを感じた。」

 

 

この作品には、人間・疑似人類(工場で作られる。脳がない)・機械の身体・電子データなどメインキャラクターの中にもさまざまな身体を持つひとたちが出てきます。

ヤジュルは最初人間でした。

人間として、貧しい国に生まれ、反乱が起こり、兵力不足から誘拐され、兵器として十分に働けるよう身体の至るところを機械に作り変えられ。

同じように戦わされる仲間たちも死んではサーバーに収容されまた新しい個体として生まれ変わりまた戦わされ、その繰り返し。

 

 

「歴史という【過去】に、決して消えない爪痕を残してやると決めたんだ」

 

 

これが、ヤジュルがユニオンを滅亡させるテロリストになった理由。

運命とは過去、それが悠久のティアブレイド……と、思い出すだけで泣きそうになってしまうんですが、ヤジュルルートだけプレイしても、もしくはロウルートに先行してプレイしても同じように思えたかどうかは分からないんです。

 

ていうのもやっぱり、この作品の、その人が持つ物語が過去に近ければ近いほど強い運命システムに、シュドルートとアタルヴァルートで見せたシュドとアタルヴァと現イヴを、ロウルートでロウと過去イヴに簡単に上書きされることで最高潮の怒りを感じた後だったから、ヤジュルの「自分には自分を証明できる過去がない、自分が何かも分からずあいまいなまま使い捨ての道具で終わりたくない」という怒りが染みたんだと思うから。

だからつまり、

 

 

 

 

こういうこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こういうことで。

ティアブレイド、こういうゲームでした。私には。

 

なんでまあ、というのもあり、ヤジュルってすごい好きなキャラクターではあるんだけどでも一番っていうとやっぱりアタルヴァになってしまいます。

私は毎回蚊帳の外に置かれるキャラクターのその処遇に公式に対してぶち切れてしまうんですが好きなキャラクターと言われると絶対その、関われないそのひとを好きになってしまうっていう、そういう人間なのです……なのでアタルヴァ、最も運命から遠く関係の希薄なアタルヴァのことが、私は一番好きです……

 

ヤジュルはねー個別ルートが好き。

過去があやふやなために確かに生きた自分だけの数千年すら過去イヴの記憶に呑まれて否定してしまう現イヴに、自分を殺させることによって確かな過去と運命を掴ませようとした、あのシーンが、作品の根幹に食い込んだ言葉で描かれて、しかもちゃんと『ヤジュルを殺す』という選択肢があって、殺せて、バッドエンドだけどエンディングまであって。

 

この選択肢はヤジュルと現イヴによる反逆です。

恋愛ADVゲームにおいてそれはバッドエンドにしかならないけど、でも、バッドエンドだったからこんなに残ってるんだよ。

 

この作品に対して拭えない苛立ちはまだあるけど、でもヤジュルルートのこの流れがあったから、こうやって文章を書いています。

ハッピーエンドに繋がる、現イヴのヤジュルの言い分への決着の付け方は、ヤジュルのイヴと道具だった自分への決着の付け方の方に肩入れしてしまう分あんまり好きではないんだけど、でも、最後のスチルがすごくきれいだし、許される苦しさもあるので。

好きなルートです。

 

許せないのはクレイドルルート。ひどいと思う。クレイドルにはドローンのときに持っていたイヴへの気持ちがあったのに、人間の形になったとたんそれを恋と呼び始めるのはクレイドルという存在への悲しさでしかないよ。

 

 

そう、クレイドル。クレイドルね……

好きなキャラクターはアタルヴァで好きなルートはヤジュルで、それは間違いないんだけど、もっともっともっとこの作品において私にとって大切で、好きで、失くして欲しくなかった、どのルートにおいてもさまざまな形で失われていったものがあって。

ここからは現代イヴのことを現イヴでなく、イヴと呼びます。

 

 

 

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このPVの冒頭40秒が、私が本当に見続けていたかった「悠久のティアブレイド」なのですが。

シュドとアタルヴァが、地下で誰にも知られず存在していたネオスフィアという広大なシェルターで出会う女の子、それがPVの冒頭で裸足で地面に立っている女の子で、この女の子はイヴという名前の、今作の主人公の内の一人です。

イヴが抱いているのがドローン型AIのクレイドル。イヴのお世話係です。

 

ネオスフィアにシュドとアタルヴァが落ちてくるまでの3000年、イヴはクレイドルとずっと二人で過ごしてきました。

 

このゲームには文章を読み進めるADVパートとマップを探索してキャラクターの話を聞いたり落ちているガラクタを集めたりする(エンディング後のオマケ要素に繋がっている)探索パートがあって、探索パートで動かせる主人公はこちらのイヴの方なのですが、探索パートのイヴ、ほんとにかわいくて。

キャラクターがいる場所では当然キャラクターとおしゃべりをするのですが、例えばティアブレイドなどの無機物しかない場所でもイヴは誰かに話しかけるように話をしたり、声をかけるんです。

 

 

(この湖、毎日見てきたけど、これでしばらく見納めなのかな)

(……わたし、行ってくるね)

誰へともなく、わたしは心の中でそう語りかけていた。

 

 

例えばこんな感じ。

これがもうかわいくて!

この探索パートは、クレイドルを除けばたった一人でネオスフィアで数千年の時を過ごしてきたイヴが一人での遊び方を知っていること、どういう風に今まで楽しく過ごして来たのかということがよく分かるので見ていてとても幸せな気持ちになります。

 

この作品、だいぶ深刻な話が多いのですが共通ルート前半なんかは、イヴ、クレイドル、シュド、アタルヴァ、ヤジュルの四人+一体で老朽化したネオスフィアを直したりして和気藹々としていてすごく楽しくて。

共通ルートが楽しかったからドラマCDも買ってしまったってくらい。

まだ聞いてないけど。

 

でもやっぱり一番好きなのは探索パートのイヴ。と、共通ルートでのイヴとクレイドルの会話。好き、大好き。

 

こんなふうに、ネオスフィアの修理をしながら、だんだん朽ちていってるシェルターの問題になんて気付かないイヴと、気付いてるクレイドルの、ずっと遠くに蜃気楼みたいな終わりの見えてきた3001年目が欲しかった。

 

一定周期で設定された温度でやってくる管理された夏に、毎年こんなに暑かった?って聞くイヴと、毎年そうですよって答えるクレイドルの何千回繰り返してきたやり取りだって、何より強い確かな過去だって言って欲しかった。

 

運命を隠して過去から隔離されたネオスフィア

一人を楽しめる女の子と丸いAI。

AIは女の子の完全な理解者ではなくて、女の子が拾ってきたガラクタ(その子が言うには、宝物)を悪びれず勝手に捨てたりする。

二人は遠慮なくケンカする。

親子みたいに、友だちみたいに。

 

この作品は、そんな時間も含めて過去を清算するためのお話です。

なので、イヴもクレイドルとの3000年に特に固執したりしません。

それはいいんだけど、でも、否定はしないで欲しかった。

 

ヤジュルルートで過去の記憶が戻ったイヴは、イヴがクレイドルと過ごした3000年を孤独の3000年だったと言い、とうとう、無知な自分への罰だったとさえ言います。

 

探索パートのイヴは何千年の時間をどう一人で楽しむか知っていて、言葉を話さなくても無機物でも、自然物でも、自分の友だちとして語りかけていたのに、3000年目のガラクタ拾いでも新しい宝物を見つけていたのに、シュドとアタルヴァとヤジュルに出会ってから「何千年も生きていた中で出会った三人の人間の友だちと話を出来て救われた」なんて言います。

 

どっちも、イヴにだけは言って欲しくなかった。

クレイドルと一緒に数えることを忘れてしまうくらいの年月を過ごして欲しかった。

そんな日々だって足りてたって言って欲しかった。

誰と出会ったって出会わなくったって。

意味のない、だから順序のつけられない、友だちのような家族のような、よく分からない関係が平穏に続いた3000年を、イヴにだけは認めていて欲しかった。

 

 

ついに【壊れて】しまったイヴの姿にほっとしながら、クレイドルは穏やかに挨拶を交わした。

そして1人と1体のAIは、これから長い時を歩むことになる。

大切なことから目を逸らし、ほんの少しのきっかけで破たんするような、そんな歪で不安定な日常を……。

 

 

 それでも絶対嘘じゃなかったよ。

 

 

「ああ、ついにこの言葉を使う日が来たのですね。

 忘れずに記憶しておいて……、本当によかった。

 さようなら、イヴ」

クレイドルの口から初めて聞く、別れの挨拶。今までのわたし達の間には絶対に必要なかったもの……。

 

 

当然そんなことをしていれば、手足にひっかき傷や痣ができてくる。その度に痛みが走ることに、わたしは無性に泣きたくなった。

自分の体が機械だって分かった今、そんな当たり前の感覚にすらクレイドルの気遣いが表れている気がしたのだ。

 

 

こうやってクレイドルとイヴの確かな事実を拾う。過去じゃなくて。

嘘じゃなかったって私は知ってる。

 

 

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