ノイズの向こう、静かの海

 

 

しずかのうみ【静かの海】

月面上の海の名称の一。月面の中央近くにある平地。1969年、アポロ11号の月着陸船イーグルがここに軟着陸し、人類が初めて月面に立った。

 

 

本当はゲームの感想を書いてたのですがボーカル曲についてだけ分けた方がよさそうな感じになってしまったので先にこの記事だけ。

ゲーム「Collar×Malice」にはボーカル曲が三曲あり、その全てをひとつのバンドが手がけています。OP曲のサイレントノイズ、ED曲の静かの海、シンクロ。「静かの海」は最終ルート以外のエンディングで流される曲で、ゲーム中、一番耳にするボーカル曲でもあります。ED曲の流し方には相当こだわって作られたゲームだということもあり、この曲を聴いて誰のことを思い出すかでその人の好きなキャラクターが分かってしまうほど……とか勝手に思ってるのですが「カラマリ 静かの海」で検索し続けてこんなゴミみたいな場所にまでたどり着いてしまった誰かには共感してもらえると思う。

そんなわけで、「静かの海」。そして「サイレントノイズ」。ゲームの舞台である「新宿」という単語が出てくる曲もあるので、配信で曲を買うまでゲーム本編と絡めた歌なのかな?と思ってたけど、歌詞をちゃんと読んでみると同じ新宿が舞台でも歌詞の中にいる視点の人物はゲームのキャラクターの誰でもなかった。恋愛ADVゲームのタイアップ曲らしく視点の人物が誰かを思う歌であることは確かなのに、その誰かの具体的な姿はなく「残像」「記憶」「残響」とだけ表される。そのどれも個人の頭の中だけで完結するものであって、具体的な像を結ぶこともなく、新宿の夜を歩くその人以外にそこにあるものはない。誰かにとっての記憶に触れることは、ノイズの向こうの景色を見ることに似ている。サイレントノイズは、明らかに、ここにいない人のことを思うときの歌でした。そして先に言ってしまうと、静かの海も同じ、ここにいない人を思うときの歌、なんです。ただ、静かの海がサイレントノイズと同じことを歌っているというのは、本編エンディングでゲームサイズverを聞いているだけでは分からないようになっています。サイレントノイズで繰り返し使われた、残像」「記憶」「残響」といった言葉は静かの海では一箇所を除き使われず、その影は、最後のサビの後の……Cメロっていうの?の部分でようやく見えてきます。

 

晴れたら影に 曇りは風に 雨には傘に 君が過れば 探したとして 居ないに飽きて それに気づくたび はなればなれ・・いつか慣れて

 

ここにはいない人を思うというそれ自体は恋愛の歌によくあるテーマだと思うんだけど、二曲とも、どちらかと言うと、ないものを思い出し続けることの難しさとか、諦めとか、ふとした隙間に声や姿を蘇らせてしまうことの終わっていくしかない行き詰まりだとかが描かれています。二つの曲は同じことを歌いながらも状況は少しずつ変化させられていて、サイレントノイズでは「更新」や「バージョンアップ」されていた記憶やそれへ対する思いも、静かの海では「記憶が色をなくす頃」と、停滞のちの後退をしている。サイレントノイズでは記憶そのものを辿るために思い出していたけれど、静かの海では琴線に触れた何かに、ふと過ぎらせることで結果的に思い出している。ここにはいない人……死んだ人とか、もう会いには行けないような別れ方をした人とか、生死不明の人とか、色々なパターンを当てはめることができるけど、でも、私にとってはこれはバンドの新曲でもラジオやテレビで偶然知った音楽でもなくて、おとめげーむをしようと思ってvita起動したら流れてきた主題歌で、エンディング曲なんだ。だからどうしても、架空の人を思う歌として聞いてしまう。この曲が乙女ゲームの主題歌とエンディング曲であることを思ってしまう。そう思って聴くとさ、もう、うわーってなってしまうんだよね。全部分かる。取り出すたびに自動的に上書き保存されて劣化していった名前をつけられなかった瞬間.jpegを本当みたいにして持ってる。劣化させた記憶を繋ぎ合わせた間に合わせの星座をきれいだと思う。繋ぐために取り出してまた劣化する。生活は夏の日に浴びるぬるいシャワーみたいで、持ってることさえ忘れたりする。忘れさせられたりするまでもなく、勝手に忘れていく。全部が分かる。でも本当は分かりたくない。フルver聴いた感想は、なんて曲を書いてくれたんだ、です。19歳の私だったらマジギレしてたと思う。無駄に生き長らえた気力ゼロの疲れた私でよかったな、ってどこに向けたいのか分かんない人差し指がふらふらしてる、俯いてるみたいに。もう星座も繋げない。webで拾えるインタビューも多分全部読んだけど「シンクロ」だけ作詞作曲が違うんだね。それも含めて凶器みたいな誠実さだと思います。ほんとうに。検索するまで"静かの海"が月面の一部に付けられた名称のことだなんて知らなかった。届かない・叶わないものの象徴として月は使われがちだけどそれを静かの海と遠回しに表現するのって、月がきれいですねっぽい。とか適当な横道にそれながらじゃないと正面から受け止めるのはちょっと無理、みたいなそんな楽曲です。見えてるのに届かないどこか非現実的な月に、凸凹に名付けられた海じゃない海。「静かの海にある砂の城」を崩れないと言えるのは置き去りにしたから。夜になったら会えるからもう思い出そうとしなくていい。それでも忘れていく。ときどき、多分まだある、と、思い出して、思い込んで、また忘れて、許しながら生活していく。通常盤のジャケットも歌われている世界に忠実でしんどさに拍車がかかりますね。

 

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「シンクロ」に触れられないのはそもそもカラマリのtrueルート自体にピンと来ないのと、結局私は、伝えないつまらない響かない戻らない……そんな 、"ない" しかない「静かの海」の方へ立ち止まってしまうからなんだろう。

「静かの海」を聴くたびに白石景之のことを思い出しては胸の中が夕立前の低い曇り空みたいな色になります。今も。

 

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「Side Kicks!」感想

 

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(2017.5.21 クリア)

すめらぎ琥珀原画の初乙女ゲー(!)ということで初報の時点でほとんど興味本位に近い感情で楽しみにしてた本作。

主線の強い絵を描かれるのでキャラデザともに流行りの乙女ゲーム的なビジュアルではないんだけど、画面の9割がキャラクターの顔アップっていうイベントCGでも顔はもちろん指の筋や髪型の崩れ方なんかの細部の表情の付け方だけで絵に動きが出せるのはさすがだなあと思いました。パッケージや特典の一枚絵よりも表情の振り幅の多いゲーム内イベントCGや立ち絵にハッとさせられます。これがまた差分の数もすごいんだ。私はきれいな顔した男の子の不機嫌そうな顔と退屈そうな顔が死ぬほど好きなのでチカの立ち絵が死ぬほどやばいんですよね……かわいい……

 

お気に入りのイベントCGは、タテワキルートでの葬儀に出席するサイドキックスメンバーのあれと、雨の教会でのチカの、あれです。お気に入りのキャラクターも、チカです。できないこと、が強調されているキャラクターに劣情感込みの好意を抱くのよくないんですけど、携帯の操作に慣れてない&文章を書くことが苦手なチカから送られてくるぎこちないメッセージ文でもうだめだった。『わかりまた すぐに。もどる』だめだった……でも意外とこういう脱字や句点と読点の打ち間違いみたいなのはここだけで、あとは小文字が全部大文字になってるくらいのもので、多分チカも本編中にちょっとずつ携帯電話の使い方とか学んでるんですよね……かわいい……

 

そんな「Side Kicks!」とってもいいゲームでした。VFB的なものも今後出なそうな感じがしたので雑誌掲載のSSを読むためにバックナンバー取り寄せたくらい。本作発売前に同じ会社から同じディレクターさんと原画家さんが組んで出してたドラマCD(ヒガンノハナ)も取り寄せて買ってしまったくらい。一点突破でいいというよりは、満遍なくよかった、ゲームを構成する色んな要素がしっかり噛み合ってた。キャラクターのセリフ部分のテキストがとってもよくて、SS目当てに雑誌買ったのも、絵も音楽もCVも演出も背景も全部いい方に作用してるけど何よりもテキストをいいなあと思ったから。

海外ドラマ風味を意識したゲームなので思わせぶりなことを言う人が何人かいるんですけど、その思わせぶり感のちょうどよさと、上手く言葉にできないことをなんとか言葉にする人たちの、ちょうどいいつたなさと、くどくなくてさっぱりしてるのにどこか影のあるテキストが珍しくて、ほんとーーによかった。色んな人に遊んでほしいなあと思う。

 

続編というよりは同じスタッフでの次回作を遊びたいなぁ、と思ったので文化放送エクステンドの三作目「ハイリゲンシュタットの歌」予約しました。スタッフは違うけど文化放送エクステンド乙女ゲームラインが途切れず続いていって欲しい……という願いを込めて。

 

各ルートとキャラクターについて少し書こうと思います。

 

 

 

共通ルート

 

・メーカーロゴからスタート画面に移行するまでの演出ですでに心を掴まれる。その後の、トラックが店に突っ込んでくるところ、ムービーパートと通常背景と切り替えずに通常背景にトラック突っ込ませててすごかった。どう言えばいいのか分からないけど、掴みはバッチリってこういうことを言うんだなあって思った。以降こういうお金かかってそうな演出が挟まれることはないのですが、冒頭の部分の 「他のADVゲームとはなんか違う」っていう感覚がずっと残るのでその後の意味深なシーンに被せられる海外ドラマ風の意味深な語りやアイキャッチ風演出も自然と受け入れられて、上手いなーと思いました。

 

・選択肢が多い。休憩時間どこいこう?→1つの場所に1人の攻略対象がいて好感度があがる とか 誰のことを聞きたいですか?→攻略対象1人の名前を選べて好感度が上がる とか、この手のオーソドックスないかにも分岐のための選択肢が浮かないくらいに総数があった。冒頭で主人公の血液型を選ぶ選択肢があるんだけど、こういう、好感度の微増以外にお話自体には特に影響のない選択肢っていいよね。キャラ立ちしてる主人公も好きなんだけど、伸縮する人格の形があってもやもやしてる主人公も好き。その伸縮の限度を各ルートのシナリオを通して知るような。そういえばイノリちゃんは今までどうやって生きてきたのかとか家族はいるのかとか全然語られないし誰もそれを気にしない、曖昧な予知夢を見る以外に背景を持たない女の子なんだけど、背景のない主人公が相手だと自分のことを自分で語る系攻略対象がよく映える。そしてSide Kicks!の攻略対象たちはとてもよく自分のことを語ってくれます。自分の心の変化や弱みをそれぞれの言葉で話して聞かせてくれる。バカキャラポジションのチカでさえ自分が相手に何を望んでいたかちゃんと語って伝えてくれるので、みんな頭いいなあと思ってしまう。まあほとんど何が言いたいのかよく分かんないんだけど。でも自分語りってそういうものだから。分かるような分からないような微妙なラインでの攻略対象の自分語り聞くのすごく好きなので私にしては珍しく個別ルートも好きなゲームで、読んでてすごく楽しかったです。

 

・アニメで言う◯◯回的な、攻略対象それぞれに順番に焦点をあてていくような作り。かといって露骨に個別ルートへ結びつくような直接的エピソードは展開されない。チカくらいかなあ。これは個別ルートにも引き継がれる要素なんだけど、共通ルートで各人に焦点を当てている間もちゃんと他のキャラクターたちとの関わりも描かれる。「サイドキックス」という部署とそのメンバーどうしの関係を拠点として話が進められるので、個別ルートに入っても攻略対象と主人公との一対一には終始しない。共通ルートの雰囲気を壊さない個別ルートが好きなので、この点もサイドキックスが好きな理由のひとつです。

 

・全員で事件にあたる中で距離が近付いた二人、っていう切り取り方が基本なので、共犯関係的なノラ・タテワキルートはその点でもちょっとした特別感があった。でも決して贔屓みたいな特別ではなくて、断片でしか見えてなかったレインキラー事件と警察署爆破事件の真相にいよいよ近づいてきたなっていう特別感。共通ルートの雰囲気を壊さない個別ルートがあってこそ、それが崩れ始めるノラ・タテワキルートは読んでて楽しかった。ノラルートからは読む手が止まらなかった。

 

・助手席立ち絵!チカとヒバリにしかないんだけど、すごくよかった。チカが部屋着立ち絵では前髪下ろしてるのとか、細かいところまでちゃんと用意されてる。差分の力を改めて感じました。

 

 

 

チカについて

 

一番最初にプレイしたキャラクター。

シンボルカラーは赤だし初回プレイ公式推奨タイプのメインキャラっぽいなと思って選んだ。これは正解だったと思っていて、各キャラに順番に焦点を当てていく共通ルートの一番最後に展開されるチカメインの事件がそのままチカルートに繋がっていくので、自然な流れのルート分岐とお話の着地を味わえました。

それでさー、なによりもさー、とにかくチカがかわいいんだよー!

チカは、できないこと、が強調されているキャラクターです。故意にそういう見せ方をされているキャラクターのことを好きになってしまう人間というのはいて、まあわたしなんですが……できないことに挑戦してやっぱりできないとこ見ると、脳に血がすごい勢いで昇って頭の中がぐるぐるしたあとじわじわ体温が末端に向けて上昇していく、もうわけがわからないくらいかわいいしかなくなってしまう……チカはかわいい。

孤児で協会育ちのチカ。なので簡単な算数もできないし文字を書くことも苦手で携帯電話のような電子機器も使い慣れてない。自分でもそれは自覚していて、サイドキックスへ勤務しながらアカデミー(警察学校みたいなものかな?)にも通って家でも一般教養の勉強をしている。他のキャラクターたちから、チカ、バカ、チカ、バカ、と言われるチカだけど、大変な努力家なのです。

 

キャラ立てとして面白いなあと思ったのが、チカに対するヒバリの「相変わらず教科書通りだね」ってセリフ。

事件が起こるとサイドキックスのメンバーでそれに対する見解を言い合う場面が多々あるのですが、チカの見立てには必ずといっていいほどにヒバリからこの言葉をかけられる。「アカデミーなんかに通ってるからかな?」みたいなセリフも続いたりする。

チカのような運動能力特化ポジションのキャラクターは細かい観察や推測が必要な場面で役に立つことはあんまりなくて、あるとすれば、とんでもない推測が事件解決に繋がるような展開で、っていうことが多いと思うんだけど、チカの場合はヒバリが言うように誰もが真っ先に考え付くお手本のような見立てをする。

結局ヒバリにその場で細かく否定されていくのでチカの見立てはその事件においては当てはまってはいないんだけど、「アカデミーなんかに通ってるからかな?」の言葉通り、チカはちゃんと日々勉強をしているんだなあっていうのが分かる。

短絡的なキャラとしてのポジションに置きながらもそれを基本的な性格として扱っている。仕事においては経験不足として、でも努力をちゃんと感じさせてくれるので今後経験を積んで補っていくんだろうなあと思わせてくれる。

 

推理サスペンスというのか、こういうジャンルにおいてはチカみたいなキャラクターはプレイヤーに役立たずって思われがちなんだけど、そう思わせないようにさらっとキャラ立てしてくれてるんだよね。そしてそのチカの努力を誰も特別に誉めたりはしないのがすごくいい。教科書通りというのはチカの現在の努力の証でもあるんだけど、ヒバリはその場で役に立たないそれを相変わらずチカはって切り捨てるしアカデミーなんかって言う。でも嫌味じゃない。これはキャラクター間のパワーバランスとか誰か一人が中心となって引っ張っていく組織感をできるだけ取り払った結果だろうなあと思う。

 

あ、あとチカの言葉の変換の素直さがすごく好きです。「でも俺、今、なんか、すっげー嬉しいし、気持ちいい。息してるだけで、嬉しいんだ」 こういう……息するだけで嬉しいチカかわいい……このセリフの前の、朝起きておはようを二回言ってしまうチカもめちゃくちゃかわいいんだよ……チカルートは共通ルートからの流れが一番きれいなので初回ルートキャラだなーなんですけど、最初にチカのかわいさを味わってしまうと他のキャラクターのルートでチカからひらがなてにをは抜けメッセージが届く度にチカがかわいいのはもう分かったから……かわいい……ってなってしまうのでルート外でもチカはかわいい。 『ツカサのことはちやんとおくつた リコきようはよくやすめよ』 『ひとがおおいとけいさついそがしい』 はい、かわいい。

 

 

 

チカルート

 

で、一番印象に残っている場面っていうとみんなそうだと思うんだけどやっぱり雨の教会です。イベントCGもとてもよくて、土砂降りの雨がチカの前髪を崩して涙も鼻水も全部一緒に流れていってしまう。

Side Kicks!のイベントCGは、背景をイベント用に描き起こしてあることがほとんどないからか、構図としてはそんなに面白いものはないんです。最初に一枚見ただけでは何とも思わないことも多いんだけど、差分の数がものすごいことになってる。

イベントCGの弱いところは表情やポージングなど画面が固定されてしまうことで、キャラクターの感情が高ぶっていたり日常とは違う動きをしていてもその気持ちひとつひとつに絵が対応していけないところにある。それを補うのが差分で、このゲームはとにかくほとんどのCGに差分があってしかも1枚あたりの枚数もかなり多い。声と表情とセリフとがきれいに繋がって変化していく。ボタンを一回押すたびにキャラクターの表情の変化に揺さぶられて、もう一回押すともう、好きになってしまうんです。

 

チカルートにはバッドエンドも用意されているんだけど、バッドエンドとの境目になるのもこの雨の教会のシーン。

このゲームはメッセージウィンドウで文字化されないボイスが多用されていて楽しい作品なのですが、チカバッドエンドでのチカの「行かないで」がすごく好きで。聞こうと思って耳をすましても雨音にかき消されてよく聞こえない、目にも見えない、か細い「行かないで」。私はバッドエンドより先に通常エンドを迎えていて、チカから「どっか行けって言ってたけどあの時本当は行かないで欲しかったんだと思う」 って言葉を聞いていたので、こういうことかーって余計にぐっときた。

バッドエンドには好感度の足りないバッドエンドと選択肢ミスのバッドエンドとがあって、私はどちらかと言うと選択肢ミスのバッドエンドが好きなんですが、チカのバッドエンドは後者の方のバッドエンドじゃないかなと思う。ADVゲームなので選択肢で好感度あげるしどっちも選択肢ミスの範疇ではあるのですが。どちらにしても「ここに残る」か「立ち去る」かが、チカにとってもイノリちゃんにとっても大きな分かれ目だったことは、通常エンドルートで雨の日のことを振り返るチカの言葉からも、バッドエンドでのイノリちゃんの結末からも分かる。

タテワキがイノリちゃんに「その行動は自分のためなのかチカのためなのか」を問う場面があるんだけど、この境目の選択肢で「ここに残る」を選んだイノリちゃんは、チカのためじゃないことを認めて独り善がりでもいい放っておけないってその場に残ることを選ぶんです。そしてチカルートの二人は「同じ恐怖を抱えていた」がキーワードになっている。ここで出てくるチカやイノリちゃんの「恐怖」はこのゲーム全体の根底にあって時折顔を覗かせてくる類のもので、最後の Another Side でもイノリちゃんに影を落とします。これはチカルートに限った話ではないのですが、Side Kicks!では、そういう、誰もが持っている恐怖や願いを取り除いたり叶えたりがお話の着地にならないようにしてあります。チカとイノリちゃんの場合も結局最後まで、その恐怖に対して自分はどうあればいいのか、どうすべきか、に答えを出すことはありませんでした。抱えたままであるしかないこと、それでも迷う時は隣にいて欲しいという共有の仕方を望むこと。何が正解かなんて一生分かんないけど、チカもイノリちゃんもお互いに真摯で、その姿に今は、ただよかったと思うだけです。

 

 

 

ヒバリルート

 

バッドエンドが印象的なルートでした。チカのあとヒバリのルートをプレイしたので全員にバッドエンドが用意されてるのかと思ったのにこの二人とタテワキにだけだった。残念。と思うくらいにこの二人のバッドエンドはとてもよかったです。チカのバッドエンドが通常エンドと隣り合わせなら、ヒバリのバッドエンドはヒバリという人そのものと隣り合わせのエンディングでした。

「ヒバリを受け入れる」「ヒバリから離れる」の二つがヒバリルートでの境目の選択肢で、自分を受け入れる人間はヒバリにとっては切り捨てて構わないものに分類されるので、前者がバッドエンド行きの選択肢となります。

共通ルートの項目でも触れた通り、サイドキックスのキャラクターたちはみんな自分の心の変化や弱みをそれぞれの言葉で話して都度聞かせてくれるので例外なくヒバリも通常エンドで後者の選択肢がヒバリを引き止めた理由を語ってくれるのですが、正直ヒバリのその理屈はあんまりよく分かんなかった……自意識と過去こじらせキャラに自分内理屈通した状態で自分語りされると余計によく分かんなくなるみたいなのってあるよね、まあ、ヒバリがよかったんならよかったけど、みたいな。

というわけで何がヒバリを引き止めて何がヒバリを遠ざけたのか、私には最後まで分からなかったんだけど、「ヒバリを受け入れる」方のエンディングってヒバリをなんにも変えないんです。物語開始時より前、ヒバリは職を変えてワシントンへ発とうとしていてその足を止めさせたのがタテワキでした。ヒバリのバッドエンドはサイドキックスを辞めてワシントンへと発つヒバリをサクラダ署前で見送るところで終わります。

最初に、ヒバリを受け入れる→暗転、のシーンを見たときは恋愛ADVゲーム脳なのでこのまま二人依存して欲に溺れるエンディングになるのかなって思ったんだけどそんなこと全然なく、良くも悪くもヒバリはヒバリを受け入れたイノリちゃんに影響されないし左右されない。ヒバリはどうやったら相手が自分を受け入れるか分かっててその通り行動できるんだから、ヒバリを受け入れる人間なんて今までいくらでもいたはずで、これからもいくらでも出てくるんだろうなあって。そりゃそうだよなあって、納得してしまった。

ヒバリバッドエンドは「二人が」どうなるってエンディングではなくて完全に切り離された一人と一人になってしまうエンディングでした。何があったって変わらないキャラクターとか目の前から簡単にいなくなってしまうキャラクターが好きなんだ。

そしてこのエンディング、ヒバリがサイドキックスのメンバーへ別れを告げている時、同時に少女による叔母殺害事件のニュースがテキストウィンドウの向こうでBGMみたいに淡々と流れていて、自分のことで精一杯なイノリちゃんはその少女がシオンだってきっと全然気付いていない。ひとつ崩れたらもうひとつふたつくらい簡単に見失ってしまえる怖さがあって、ここのテキストウィンドウに拾われないボイスの演出もすごくよかった。

ヒバリルートはバッドエンドの方が通常エンドよりも好きです。通常エンドはまあ……というかヒバリルートの最初の方のイノリちゃんの、行為の意味を考えず表面的な笑顔や言葉の気持ちよさだけで嬉しくなってしまうのが、見てて大変つらかった……昔はそんなこと思いもしなかったのでおのれの加齢を感じて更につらかった……

 

 

 

シシバルート

 

シシバもシシバでものすごく今の気持ち語って聞かせてくれるんですけど、ヒバリ以上によく分かんなかった……最初から最後までよく分かんないままでエンドロール迎えた。個別ルート導入部分とエンドロール前にシスイの語りが入ることがあるんだけど、これがなんとなく全部いい感じにまとめてくれて、シシバルートは特にここの語り部分が一際静かで非日常的ですごくよくて、いまいち分からないなりになんとなくよかった記憶が残ってる。「自分がいなくなっても代わりはいくらでもいる」ってセリフはシシバルートのキーだったと思うんだけど、ここはこの後プレイしたリコルートにも繋がっていた。

 

 

 

リコルート

 

カップリングにおける「不在」というキーワードを愛してやまないので、B不在の場におけるA×B前提のBの話をするA+Cというシチュエーションが狂おしいほど大好きなのですがそれと同じ気持ちで別攻略対象の話や名前を口にする攻略対象とそれを聞かされる主人公の構図が大好きです。

リコルート……というか、真相ルートまで終えてもリコのことで一番心に残ってるのが、リコが他のキャラクターたちの名前を呼ぶときの、その声の感じでした。

サイドキックスメンバーの名前のイントネーションはそのほとんどが最後の音で下がるのですが、リコが呼ぶと語尾が上がる上がる↗︎↗︎ そして語尾延びる伸びる→→ 特に、チカ・シシバ・イノリの名前を呼ぶ時が最高かわいい。他の音に例えるなら、口の中で飴玉転がしてる時のコロコロって音。軽やかで甘い、やさしい音。

真相ルートを終えた今は、ヒバリルートの、大丈夫って言ってる人が本当に大丈夫とは限らない、気付かなくてごめん、君は全然大丈夫なんかじゃなかった、っていうのを思ってしまうリコルートだった。

 

 

 

ノラルート

 

ここからが攻略制限ルートです。ノラルートでは主にレインキラー事件に迫ることになります。共通ルートの項目でも書いたんだけど、すっごく面白くてここから真相ルートにかけては読む手が止まらなかった。それも共通ルートの雰囲気を壊さないチカ・ヒバリ・シシバ・リコの個別ルートがあってこそで、だからこそノラやタテワキとの、サイドキックスの外側で結ぶ共犯関係っぽさが楽しかった……

このゲームの、くどくなくてさっぱりしてるのにどこか影のあるテキストが好きなんですが、ノラルートでは通常よりもテキストにほんの少し湿度が増していて、その湿っぽさにもレインキラーに近づいているのを感じられたりしました。読んでて一番楽しかったルートがノラで、ノラも本人以外には伝わらないだろう語りをするんですが、その分からないのにぐっとくる語りだとか、エクストラモードでの後日談の立ち絵の変化のワーって感じだとか、好きなところがたくさんあるのでそのあたりについて。

 

 

「前に聞きましたよね? なんで記者になったのかって。俺は真実を見つけたいって答えました。それは嘘じゃないです。 ただ…… この世に『本当』があるんなら、俺は誰かの中に見つけたいです」

 

Side Kicks!全編通して一番好きなセリフです。嘘が嫌いで真実だけを探しているノラは、それでも、あるのかどうか疑わしいのにその存在に期待することを止められない『本当』を誰かの中に見つけたいって言うんです。……まあ、これだって正直よく分かんないんだよね、ノラの言う本当と真実の違い、なんとなく分かるような分からないような、それすらも分からないのに、ノラからこの言葉を聞いた瞬間にノラのことが見えたような気がしたんだ。気がしたことを信じたい。『本当』は、嘘とも真実とも違う、信じたいこと、なんじゃないかなあって、今は思っています。

 

 

「……痛い?」

「いいえ、大丈夫ですよ」

「大丈夫かどうかじゃなくて、痛いかどうかを聞いたの」

「……まだ、少し痛みます」

 

イノリちゃんとのやり取り。大丈夫って言ってる人が本当に大丈夫かどうかは分からない、とのヒバリの言葉も思い出すけど。

この作品にはこういう、虚勢……というか、構えられた両腕をそっと解いていくようなやり取りが散りばめられていて、いいなあと思う。このあと解放される真相ルートでノラの言うところの真実を探し当てることになるのですが、このゲーム自体が真実へ向かっていくためのゲームで、なので、好きな人の、嘘とまではいかない強がりや気遣いゆえの言葉も放って置かずにあえて優しい強引さで解いていく。主人公の攻略対象たちへの向かい方を作品自体の攻略対称たちへの向かい方として見てしまうので、こういうひとつひとつのやり取りでSide Kicks!への好きを深めてしまいます。

 

 

誰かの中に、『本当』を見つけることが、こんなにも温かいことだとは、知らなかった。知ってしまった俺は、もう、昔に戻ることはできないだろう。それがほんの少しだけ怖いと言ったら、君はきっと、笑うだろう。

 

ノラ攻略後に解放されるエクストラモードの後日談でのノラのモノローグ。

本当を見つけたノラ。このモノローグだけでも最高なのに最後の一言の部分で、それまで笑顔だったノラの立ち絵の表情が変わって、目線を斜め下にそらして口を横にひき結んでる表情に変わります。この表情の変化が、オマケで解放される後日談の最後の最後を笑顔で終わらせずに攻略対称の抱える不安を覗かせて終わるっていうのがさ~~~~もう最高…………

エクストラモードの後日談はどのキャラクターの物も攻略対称視点で語られるのですが、このノラの表情の変化ってきっとイノリちゃんには見えていなくて、イノリちゃんが背を向けている時だとかその場を外した時だとか、そういう、思わず気を抜いた瞬間にしか見ることのできない、滲み出るような不安のひとつなんだと思う。

攻略対称視点だからこそできたし見られたものだった、という意味でもこのモノローグのシーンは好きです。ほんと最高。

 

ノラルートクリアで真相ルートが解放されるのでノラの個別は真相ルートへの引きも兼ねてあります。なのでノラだけエンドロールの後のエピローグシーンが丸々真相ルートへ向けた次回予告みたいになってるんだけど……私はキャラクターが物語の進行のために駒として動かされるのがあんまり好きじゃないのでこういうエピローグの作り方には怒りがちなんですけど……何か今回全然その怒りがなかったんですよね、なんでだろ、加齢かな。最近何でも加齢のせいにしがち。ノラルートのエピローグに関しては本当に次をすぐにプレイさせるための引きでしかなかったしノラの見立て間違ってたし後から思い出してもやっとはしました。でも他にいいものが多すぎて、ノラルート、そしてノラ、それだけで、でした。

 

 

 

Another Side

 

タテワキルート兼真相ルート。

分岐地点じゃなくて共通ルートでのイノリちゃんのサイドキックス加入時から始まります。最後は最初から!

このブログはゲームプレイ中にリアルタイムで投稿してるtwitterのつぶやきを元に文章を足してまとめ直す形で書いてるんですが、真相ルートプレイ中の自分のツイート、わー!とかあー!とかばっかりで何がなんだか分からないので書き足そうにも書き足せない。とにかく楽しかったんだと思う。ほんとに楽しかった。リコの結末自体は悲しいけど、私の中に残っているリコはレインキラー事件の真相とは全然関係ないサイドキックスにいるときのリコだったし、ほどよい距離感ででもちゃんとみんなのことを好きにならせてくれて、本当に本当に楽しかった。いいゲームだった。

 

タテワキルートとしての側面にも触れておこうかな。恐らくこのゲームをプレイした結構な割合の人がタテワキとの恋愛に微妙な気持ちを抱いたことだろうと思う。

全ルート恋愛の過程が性急だとはよく言われているけど、ちゃんと攻略対称たちが分かるような分からないようなの曖昧なラインで自分語りしてくれてたからか私は全然気にならなくて、それでもタテワキとの恋愛は、上司と部下という立場もあってか、恋愛っていうかセクハラでは……ってなってしまった。オールナイト上映をしてる映画館にイノリちゃんの提案で二人で行くのとか、それが共通ルートでタテワキが挙げてた「休暇にやりたい10のこと」の内の達成できなかった一つだったこととか、あの辺りはよかったんだけど……まあ、身内が死んだり悲惨な最期を迎えたとしても事件解決後に主人公とヒロインは笑顔でキスをしてエンドロールが流れ出すハリウッド映画みたいなものだと思えばそんなに気にはならないかなあ。カリフォルニア州の一都市が舞台だし。でもセックスしない大衆映画が好きなんだよなー。Side Kicks!がセックスしない大衆映画みたいであったらもっと好きだったな。とはいえ、気になるところがないわけではないけどタテワキの葬儀のシーンだけで全部巻き返せるからね。

最後、タテワキとのエピローグの後スタート画面に戻った時、全ての始まりの夜のダイナーが、終わりのようにも始まりのようにも見えた。

 

 

  

 

またしても好きなゲームができてしまいました。

サントラも買いました。

今やってるサイドキックス来日のtwitter企画も独特でいいですね。

長いスパンでやってくれてるのも嬉しい。

後はもうVFBさえ出てくれれば思い残すことはない。欲を言うと同じスタッフでの新作ゲームも……

最後にチカへの好きとノラへの好きの違いを書こうと思ってたけどこういう感情を一言で表せる言葉を知っていたことを思い出した。チカは最萌えです。

 

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オトメイトガーデン Collar×Malice コラボカフェに行ってきました

 

6/21 大阪梅田は、豪雨の後でした。

 

その内感想記事を書きたいのですが先日「Collar×Malice」をクリアしてどうしようもない気持ちになり、どうすればいいか分からず、人生初のコラボカフェに行ってきました。カフェはカフェでもガーデンの方。カフェの方は今見たらパセラでのコラボみたいだからご飯はそっちの方がおいしかったのかな? まあ、梅田のが近いし満足したのでよかったです。

でもなんだろ、一つ言うなら場所が〜〜つらい〜〜……夜ならよかったんだろうけど平日朝のアーケード街を抜けて乙女ゲームのコラボカフェに行くのはね……飲み屋と風俗店とカラオケゲーセンくらいしかない、平日朝11:00前の臭くて暗いアーケード街を歩いているのなんて、あてのなさそうな老人と昼からオープンの飲食店の店員くらいのものだし、あまりにも街に生気がなくて店にたどり着く前に少し気持ちが沈んでしまった……

明かりの消えた雑多で猥雑な看板群の中に「Otomate garden」のパステルカラーの繊細なロゴを見つけた時はアーケードの入り口からそこに至るまでの全てに強烈な地方を思って無駄に切ない気持ちになった。コラボカフェなんてトウキョウからの刺客でしかないし秋葉原パセラとかのコラボカフェに行くのが一番いいんだろうななんてバカみたいなことまで考えてしまった。それくらい、平日朝のアーケード街は不意打ちに切なかった。

それでも古くて汚くて狭いエレベーターのドアが開いて壁に貼ってあるパケ絵が目に入った瞬間それまでの切なさややるせなさが飛んで行ってわたし今からコラボカフェに行くんだ!という気持ちが復活して、公式絵の力は本当にすごい。

 

 

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一瞬で持ち直した。

 

 

 

入ったらまず前売券と引き換えにブロマイドを貰えます。ランダムかと思ったら好きなキャラクターを選べたので嬉しかった。私は迷わず白石景之を選んで、なんかそこで初めて、あ、私は白石が好きなんだなって理解した。で、そこでサイコロを渡されて、1か6が出ればICカードシールが貰えるよってやつ、で、1が出た!! 嬉しかったなあ。そのまま席に案内されました。ランチョンマット、どんな風にもらえるのかと思ったら席に伏せた状態で置かれてるんですねー。ビニール系のシートに印刷されてあるのかと思ってたから丸めて持って帰ろーと思ってたのに全然普通の紙だったのでどうしようかと思ったけど、店内でコクヨのA3サイズのカードケースを売っていて流石だなあと思いました。

vitaの画面で見てたものがA3サイズに印刷されると大きいなあってそれだけで嬉しい……昔は既存絵グッズなんて増やしてどうするんだと思ってたけど、今眺めてて、この大きさだけで幸せになってるよ……あ、ちなみに絵柄はゲーム冒頭の事務所での全員集合絵でした、これも嬉しかったなあ。ガーデンコラボセットを頼んだのでコースターも二枚貰えたのですが、こちらは全員集合絵と柳でした。嬉しい嬉しい。

 

 

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シールと柳先輩はガーデンコラボ仕様。

 

 

 

頼んだメニューはこんな感じです。

    

<ガーデンコラボセット>

 景之の猫耳ミルクティー

 景之のお気に入り♪ ねこねこオムライス

 正義のトリガーケーキ

 

 

 

景之の猫耳ミルクティー

 

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猫耳ミルクティー、ストローも緑だしミントも緑だしクリームについた猫耳クッキーもかわいいしで本当にかわいい。でも味はめちゃくちゃ薄かった。ミルクティーって言うんでリプトンとか午後の紅茶とか紅茶花伝みたいなの想像してて甘いのかな?と思ってたけど全然そんなことなかった。で、この飲み物についてはさっきメニューの詳細見て気付いたけどアイスティーに牛乳を混ぜてるみたいです。そもそもアイスティーに中途半端に牛乳混ぜてもあんまおいしくないよね。氷で薄くなるし。リプトンと午後の紅茶紅茶花伝にミルクティーという概念を植え付けられてるからかな。でも見た目が超かわいいからオールオッケーでした。

 

 

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猫耳クッキーもただの三角じゃない。

 

 

 景之のお気に入り♪ ねこねこオムライス

 

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ねこねこオムライス〜〜かわいい!思ってたよりおいしかった!

これ、メニュー名は「景之のお気に入り♪ ねこねこオムライス」なのですが、店員さんが「お待たせいたしました、白石景之さんのねこねこオムライスです」と言って持ってきてくれて、私は、「白石景之さんのねこねこオムライス」という響きにやられて、その白石景之さんっていうの、すごくいいね……ってなってました。キャラクターのフルネームにさんを付けて人に言うことなんて人生にそうあることではないよね。一生なくたっておかしくないんじゃない? 私はこの先そんな風にキャラクターの名前を誰かに言うことなんて絶対ないと思うし、そもそもキャラクターの話すらそうできることではないのに、なんかすごかった。そういう、フラットな言い方で、フルネーム+さん って呼べるのっていいなあって。心に残るワンフレーズでした。白石景之さんのねこねこオムライスです。白石景之さん。の。

 

 

正義のトリガーケーキ

 

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トリガーケーキ。ゲーム中で市香ちゃんがミルクティスコーンの焼き上がりを待つ間クロワッサンとホットチョコレートで遅めの朝食を摂るという休日を過ごしていたのがあまりにも上質な生活すぎて自分の人生を振り返ってしまったこともあり、ミルクティスコーンとだいぶ迷ったんですが銃の形のチョコレートを食べたかったのでこっちに。

カラマリで使われたモチーフが全部詰まったケーキで、ちょうどこれが運ばれてきた時、店内にゲーム中のサントラが流れていて、あー私コラボカフェにいるんだなあと実感した。もちろん造花だけどアネモネの花も散らしてあって、カラマリのことを知らなくても目を惹くきれいなデザインのプレートになっていました。

あと全然関係ないけどこの写真めちゃくちゃ上手く撮れたなあと思ってて、二次創作サイトの小説の背景に使われるタイプのフリー写真素材サイトの素材みたいじゃないですか? バトロワパロの感動回っぽい。そもそもこのプレートのデザインのセンスがフリー写真素材サイトなんですが。乙女ゲーム界隈にいるとこういう、あの頃のリアルな空気に出会えることがたまにあって、特定の人間にとってのかつてのインターネットで吹いていた風を感じられたりもします。

 

 

 

 

自分の好きなものを目の前で他人に語られることに耐えられなかった二十代前半までの自分はどこへ行ったのか、初めてのコラボカフェを普通に楽しんで帰りました。近くの席に座っていた二人組が今プレイしているゲームの話をしていて、コンシューマーゲームの話をしている人だ!って嬉しかったんだけど、あの場にいた全員がコンシューマー乙女ゲームを遊んで好きになったから来た人たちだったんだった。

 

それにしても、なんかねー、なんか、よかったなあ。もう一回くらい行きたいなあと思ったよ。せっかくA3 カードケース買ったし。

 

そのあと映画見に行って(22年目の告白 見た)ヨドバシでビズログと逆転裁判123(急にやりたくなった)を買って四時過ぎ頃家に着くという凡百のオタクみたいな休日を過ごしました。幸せだった。

そんな今日この頃、白石景之さんはどうしているのでしょうか。暑さがあまり得意ではなさそうで、気がかりです。

雨がやんだら、夏ですね。

 

 

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キスマークは内出血ではない

 

じゃあなんなのかってよく分かんない

前回の「Code:Realize~祝福の未来~」感想記事で書き忘れたことがあったのでここで追記します。

 

キスマーク。そういえば最近キスマークって見ないなあと思ってたけどよく考えたら見てきたキスマークのほとんどは二次創作物でだった。

もちろん特定の少女漫画誌や商業BL、TL漫画なんかではまだまだ生きてる表現だとは思うけど内出血のキスマークの話をしているわけではないのでそれを省くとやっぱり二次創作物――特に、夢小説や男女ものCP小説――に顕著な表現だったと思うんです。

 

そう、キスマークって内出血じゃないんですよ。

じゃあなんなのかって冒頭に戻るんだけどよくわかんない。

その行為で表現しようとする感情は内出血のキスマークと変わらないんだろうけど、どうしてそういう跡がつくのかとかの仕組みやその後のことがすっぽ抜けて単語だけが放り投げられた状態、と言えば少しは近付けるのだと思う。

 

最近は二次創作を見にいくことすらもしなくなっていて、見るにしても同性どうしのカプものばかりだったこともありそういうキスマークがあったことを忘れていた。

内向きに閉じた女の子たちの妄想の世界で共有される様式美みたいな慣用句、瑞々しすぎてぐちゃぐちゃで、でも全然手垢つかなくて、古いのに若くて、なんだか恥ずかしくて……まさか、2016年発売のコンシューマーゲームの中で再会できるとは思ってなかった。

それがやたら嬉しくてさ、やっぱり私、女の子たちが作った狭くて閉じたコミュニティの中でだけ共有できるような言葉や表現とか、それによって作品全体にただよう雰囲気みたいなものが大好きだなあって思ったよ。で、こういうのを効率的に摂取しようと思うと文字媒体の男女の恋愛ものになるんだよね。

 

コドリアFDのすごかったのはメインのターゲット層の年齢も上がってきてるであろうコンシューマー乙女ゲームの2016年のグラフィックや表現の中になんの照れ隠しもなくポンとそれを放り込んできたところです。かっこよすぎるよ!

 

今私、コドリアFDから立て続けにおとめげーばかりクリアしていて、これは多分、コドリアFDが昔私が肩まで浸かっていた世界へまた導いてくれたからだと思ってる。

最後に該当シーンのテキストを引いて終わりたいと思います。

改めて読んでも、あーもーばか!(すき!)って感じだったので文字色ピンクにしてみました。

 

 

とりあえず、いつくるかわからないルパンに毎晩ドキドキさせられているのは確か。

身構えている時に限ってこなかったり、油断したら寝ている隙に頬にキスマークが残ってたり……

 

 

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「Code:Realize ~祝福の未来~」感想

 

 

前作「Code:Realize 〜創世の姫君〜」のFD。
FDだからというのもあるけど、続きが気になって毎日起動して数日で終えてしまう類の熱中はなく、途中で他のゲームをクリアしながら四ヶ月くらいかけてようやくクリアしました。
FDで本編に既存サブキャラ追加ルートを作られて同じ話なぞられてもなあとか個別分岐前イベントが想像してたよりもずっと新規追加のサブキャラメインで見たかったのはそれじゃないのになあっていうズレは感じたけど、もうすっごく好きなシーンがあって、それだけで満足してしまった。そういう作品のことはその一場面だけで大切になってしまうなあ、というのをあらためて感じたゲームでした。ていうかFDっていうのがそもそもそういうものなのかもしれない。
少なくともこれは本編をプレイしていた時にはなかった感情だったしそういう意味でこの作品のことはFDとしてというよりはひとつの作品としてとても好きです。プレイできてよかった。好きな作品なので好きなところを書きます。

 

後日談パート

 

一言で言うと最高だった。
誰のルートが? ルパンルートが!  最高!! だった!!!
上で言ってた「すっごく好きなシーン」があったのはこの、ルパンルートエンドロール後のエピローグです。

ルパンルートはこの作品の実質trueルートであって、なのでルパンというキャラクターは、自分のルートで自分以外の個別ルートの要素を拾いながら、きっかけとなった始まりの約束を果たす、作品の大団円を担当するキャラクター。
なので唯一、カルディアちゃんの毒問題を始めとした全ての問題が解決された状態での後日談が始まるキャラクターでもあります。
ということはもう、後日談という括りの中に見せられるものは二人の日常以外には何もないということで、主人公の抱える問題を解決すること、Code:Realizeを阻止することを主軸としていたゲームの派生作品としては、平穏で平坦なものでした。

 

二人のその後は、私だってルパンをドキドキさせたい!というカルディアちゃんの願いを叶えるために仲間たちが手を貸すところから始まります。
危機的状況に陥れば、とか、やきもちを焼かせよう、とか、まあ色々な協力をしてくれるのですがこの、「ルパンをドキドキさせたい」というカルディアちゃんのかわいい願いは、最終的にルパンの胸に触れて心臓の鼓動を確かめるという至って普通の触れ合いをもって解決します。
平凡でありきたりな答えではあるのですが(起がそもそも、という話でもあるんだけど)ホロロギウムによる体質のせいでどんなものにも触れられなかった前作のカルディアちゃんのことを思うと、平穏で平坦で平和な日常の中でそんな普通の触れ合いに至ることでしか、「あなたに触れてみたい」で始まったこの作品の集大成は務まらなかったなとも思う。
ここで終わったってきれいなお話だったのに、ルパンという人は何度でも最初の約束に立ち返ります。

 

「知りたくないのか? この世界のこと、父親のこと、自分のことは知りたくないのか? 待つことはない。こっちから探しに行けばいい」

 

前作でのその言葉通り二人は英国王室が保管している父親の残した遺品を目的に王立図書館に忍び込みます。この忍び込むっていうやり方にもルパンが表れてたなあと思う。FBでの彼の紹介ページの中に「主人公にとってルパンは最初から最後まで奪い去る者です」という言葉があって、それがすごい好きなんですけど、私が誰のルートをプレイしていてもルパンが出てくると何だか安心してしまうのはルパンがどんなときでもルパンのままいてくれるからだったんだなあ、なんて思いました。
そしてここで父親の遺品である日記をカルディアちゃんが読んだことで最後のエピローグに繋がるのですが、このエピローグがほんとにほんとにほんとーーーに!最高で!!

 

前作でのルパンはそもそも作品の大団円ルートを担当するキャラクターであって、当然今作も個別ルートとしての後日談と大団円としての後日談は兼ねてあります。ルパン後日談を読んで思ったのは、余すところなく書いてこその大団円のその後を改めて書くのはすごく難しいんだろうなということで、ルパン後日談はエピソードとエピソードの継ぎ目が割とあからさまです。ルパンとの日常と父親のことを知ることと「祝福の未来」としての大団円と、独立した3つのお話の詰め合わせみたいなルートだった。でもねえ……好きなんだよね……

 

ノベルゲーである本作のプレイヤーの視点の高さはカルディアちゃんを始めとした他のキャラクター達と基本的にいつも同じものを共有していました。
このルートのエピローグでは、今まで目の前のキャラクターたちの背景として見ていた科学と鋼鉄と歯車の街を、ずっと下に見下ろすことになります。
父親も立ったかつて丘だった場所は今はもうなくなっていて、代わりに、てっぺんに立てばロンドンの全てを見渡せるくらいに巨大な建造物が建てられています。コドリアは全編通してよく空を飛ぶ作品で、これまでだって何度も高いところへ連れて行ってくれたけど今回のこれは今までのどれとも違ってた。今まで見てきた青空と空の色は変わらなくても、それでもこれが一番気持ちよかった。

 

科学は街を蒸気で白く染めて、剥き出しの鋼鉄はセピア色をしている。遠くに浮かぶ飛行船と同じ高さを黒い点の連なりのような鳥の群れが飛んでいき、これまで色んな形の最後を見送る時に何度も聞いてきた音楽にもう一度支えてもらいながら、最後の青空をつたって、サンやインピー、フラン、ヴァンにとっての今日を垣間見ます。大きな目的のために一時的に手を組んでいたかつての仲間たちは、すでにそれぞれの新しい場所を得ていて、それぞれを生きていて。もう一緒にはいないけど誰かのことをふと思い出したり振り返ったりしていて、街を出る人がいれば留まる人がいて、賑やかだった時間が遠くなっていく切なさとそれをしばらくのお別れって言えることの優しさとの背中どうしがくっついていて。これからも都市の中で生きていくけど都市を生かしていくのはこの人たちで、カルディアちゃんの、「今日は皆にとって、大切な区切りの1日になるんだ。」って言葉を思い出す。たぶん、みんな同じことを思っていて、そして誰も口にはしていない。大団円の後日談に選ばれたのはみんなが道を違えていくその日だったんだ。
大切な区切りの1日を祝うようにどこから舞ってきてるのか分かんない白い花びらが二人の頭の上を通り越して、そのまま、今見てきた彼らの生きている科学と鋼鉄と歯車の街に吸い込まれるようにして消えていって…………最後にあって欲しいものすべてがあったよ。

 

祝福の花びらが吸い込まれていったロンドンの街を見下ろす背景には当然既存の絵が使われいるのでFBにもこの背景の掲載はあり、その絵の傍らには、「神のごとき視点の都市全景には人類の驕りさえ描かれているようです」とのコメントもついている。
このエピローグでカルディアちゃんは、かつて自分の父親の指揮のもと、夢と希望と叶えたかった願いとで作られたこの歪な都市のことを好きだって言うんです。
みんなと出会えたって。思い出があるって。
そしてルパンは、カルディアちゃんが好きだって言った街を都市ごと宝石箱みたいだって言うんです。
ここで生きている人たちの思い出や感情が宝石みたいにキラキラ輝いてるって。
機鋼都市ロンドンが美しいのはカルディアちゃんとフィーニスが愛されて生まれてきたから。
カルディアちゃんとフィーニスにもう一度会うために作られた街だったから。
その美しさをカルディアちゃんが受け入れることができるようになるのがこのエピローグ。
この物語は私にとってずっと、最初の約束を果たす物語 でした。
それが、都市に生きて都市を生かす人たちの物語 に変わった。
ルパンルートは何度でも最初の約束に立ち返る物語。
はじまりは最初から都市にあった。
私も機鋼都市ロンドンとそこに生きている人たちのことを大好きになってしまった。
ほんとうにほんとうに最高でした。何度言っても言い足りないね……

 

 

インピー・バービケーンについて

 ルパン後日談エピローグは全部の描写が好きなんだけどなかでも一番好きなのは、インピーの操縦するオーニソプターの羽音が近づいてくるのを聞いたカルディアちゃんの、

 

「この音を聞くと、胸がわくわくする。 いつも何かが起こったときに聞く音だったかもしれない。」

 

本当にそうだったから。
私はルパンがどんな場面においてもルパンでいるところが好きなんですがそれはインピーにも同じことが言えて、インピーのこともとてもとても好きです。
ルパン後日談は高いところへ昇るところで終わったけど、インピー後日談は空から地上へゆっくり落ちていくところで終わるのもよかった。
月へ行くことがインピーの夢で、まだ実現はしていないけどでも、空と地上とを自由な速度で行き来できるのはこの人だけなんだよ。しかも今作でインピーは深海にまで到達します。

 

インピー初登場時のイベントCGを見た時の気持ちをよく覚えていて、閉まっていた扉とか窓とかがパッと外に向けて開いていくように世界と私とが接続された感覚があって、世界の広さへ触れることへのわくわくをくれるのはやっぱり、いつも、インピーだったんです。ほら、ルパンは奪い去る者、闇に紛れる夜の人だから。

好きな人を挙げてもルパンとインピーになるし好きな二人を挙げてもルパンとインピーになってしまう。
FBのキャラクター初期設定案の項目の「ルパン:自分に絶対の自信があるため、基本的に明るく楽天家/インピー:つねに自分に惜しみない賞賛を送っている超楽天家」がもーーー好きで好きでさ……初期設定案なので今の姿とは異なる記述も って前置きしてあるんだけど、この二人のこの部分に関してはそのまんま採用されてると思う。
これを読んだあと、ルパンたちと別れて一人飛行船でアメリカへ旅立つインピーがサイドミラーに映るルパンたちを見ながら「相棒」って呼んだことを思い出すとたまらない気持ちになります。
最初の二人ってルパンとインピーだったんだなあ。
二人が二人に戻ったあとの、賑やかだった時間が過去になっていく少しの寂しさをバカ騒ぎで誤魔化していくような旅を見てみたかった。
ヴァンだったかな、の後日談で、ルパンとインピーが二人でロンドンを出る話が出た時はすごく嬉しかったです。そういう未来もあり得るんだなあって。

 

 

サン・ジェルマンについて

『攻略対象どうし』と並ぶ好きな概念で『◯◯ルートの△△』があって、ルパンルート後日談のサンが好きです。ルパンルートでの経緯が記憶から抜けてしまってるんだけど、ギネヴィアとの会話を見る限り本編ルパンルートでサンは、人としての時間を取り戻すことにしたんだと思う。

人間としてたかだか数十年の短い時間を生きていくことにしたサン。
サン以外の全員がやるべきことややりたいことへ向かっていく姿が描かれる中で、サンは一人静かに庭で紅茶を飲んでいます。
時折まどろみながら、果たすべき義務もなく、使命もなく、サン・ジェルマンという一人の人間として、ただ紅茶を飲むだけの時間を過ごします。
他の仲間たちがそれぞれの道へ分かれていく区切りの日に、その場に立ち止まることを選び、すっかり静かになった庭で、今日の日を思って淹れた紅茶を飲むだけの、優しい時間。名前をつけるなら"退屈"としか言えない、背負うものが何もなくなったサンのためだけの、なんでもない時間。

 

私がルパンルート後日談のサンが好きなのは、奴隷として生まれて短い一生を搾取され、その後はイデアの掲げる使命のために限りない時を生かされてきたサンの、穏やかで退屈な限りあるこれから、そのほんの一端に触れることができるから。
サンがこんなにも穏やかな、自分のためだけの優しい時間を過ごしているから。

サン・ジェルマンの限りあるこれからは、晴れた日には庭で紅茶を飲んだり、日差しが心地よすぎてうっかり冷ましてしまったり、雨の日には本を読んだり、いつ来るか知れない友人のために屋敷を整えておくことに使われるんだろう。
区切りの日にその場で立ち止まることを選んだサンは、いつでも帰って来られる場所であり時間そのものなんだ。

 

FBによるとサンの両腕にたくさん付いている時計の飾りは彼が今まで潰してきた未来の変わり目の時間を刻んだものなのだそうです。
胸に飾った時計に触れながら呟かれる、サンの最後の台詞がすごく好きです。

 

「不思議ですね。未来のことを考えるのが……こんなにも、楽しいなんて――」

 

 

ショルメ・フィーニスルート

本編に時間を戻しての追加ルートですね。どちらもそうなんですが、ショルメルートに関しては特に、まー無理やりな分岐(自分の出自はルパンたちに受け入れられないかもしれない、だから今のルパンたちの優しさが怖い→からの分岐。ショルメたちとはルパンたちと築いたのとは違う例えば利用し合うだけの関係などからの発展を見られるのかと思えばそんなことはなく普通に優しく迎えられていて、ショルメたちの優しさは怖くないの?っていう無理があった)をするので読んでる間中ルパンたちのところに帰りたいという思いが強くなってしまうばかりだった……先に全員の後日談を読んでしまったからというのもあるかも。分岐の間に合わせっぽさが目立って残念だったなあ。
ショルメ自体は、他の攻略対象たちとは違う、「君は悪くないから少しも苦しまなくていい」じゃなくて、「引け目に感じることはないけど苦しんでもいい、君の苦しみを語れる人間が一人くらいいてもいいから」だったのとかはよかったなあと思う。
本編にノーマルエンドみたいなのがあれば自然な分岐も出来たんだろうなあ。まあでもやっぱりルパンたちのところに帰りたかったな……

 

フィーニスルートはよかったです。フィーニスに関してはルパンルートでのフィーニスという存在への幕の引き方も好きだったのでこのルートはなくてもよかったけど、あるに越したことはないしなあ。みたいな。
捕まえられるような形で本編で敵だった人たちと過ごすのでショルメルートのような無理もないし、敵のアジトでお茶会をする奇妙さが楽しかったり、かといってカルディアちゃんが感化されるような展開はなく最後まで弟のために動くのなんかよかったなあと思う。
あ、あとなにより最後のフィーニスを抱きしめるカルディアちゃんのCG、今までで一番カルディアちゃんがきれいだった〜〜!
手のひらの中の大切な宝物の存在を噛みしめるような表情も他では見られないものだった……
ルパン後日談でルパンが都市を宝箱に例えて触れない宝石が詰まってると言ったけど、フィーニスルートでカルディアちゃんは、たったひとりの弟のことだけを、人ひとり抱きしめるのが精いっぱいの体で、宝物のように、自分のすべてで慈しんでいて。
ルパンルートのようなどこまでも視界が広がっていくお話も好きだけどフィーニスルートのような、最後は二人静かに、へ落ち着くお話のことも大好きだなあと思いました。
よかったよ。

 

 

ルパン・ザ・ギャング

 本編共通ルートにて語られなかったお話……という体で本編に差し込まれたお話。
コドリアの共通ルートが好きなので発売前一番楽しみにしていたルートです。
この記事の頭の方でも言ったけど思ってたよりずっと新登場のサブキャラメインでカルディアちゃんも基本的にそのサブキャラと行動するしそうじゃないのになーーって歯がゆいルートでした。
ルパン後日談のサンを見た後だったので最後のドンパチでサンが一人だけ別行動してるのとか、そういうところにグッときたくらいであとはあんまり……専用エンディング曲があってその時用のCGもあるのはよかったです。
コドリアのああいう雰囲気の絵が好きなんだ。

 

 

ドラちゃんのお部屋

最高でした。なにが? miko絵のちっちゃい男の子が!!!

 細かく刻まれたドラちゃんとの日常をショートストーリーとして読めるモードです。
ショートストーリー仕立てなので一つ一つのお話が短く、とはいえイベントCGの数はかなり多く、次から次にドラちゃんのかわいくてきれいな顔が投入されていくのでとにかく目まぐるしかった。

ちいさい男の子が途中で成人する展開が許せないので最後のカルディアちゃん妄想成長後ドラちゃんCGにもそこもちいさいドラちゃんの何かしらの姿であってくれよと思わなくもなかったけど、そこに至るまでの怒涛のドラちゃんかわいいイベントで脳みそが疲れていて驚くくらいあっさり流せてしまいましたね……miko絵がほんとうにすばらしかった、パーフェクトだった……

 

  

 

FDは基本的に義務感でプレイするので最初はそのつもりだったんだけどまさか好きが増すことになるとは思ってなかった。本当によかった。小さい瞬間さえあればその記憶をツギハギにして全てみたいにして生きていけるなって思ったよ。本当に本当によかった。
クリアから今日までの一ヶ月ちょっとの間にアニメのPVが公開され続編の制作が決定されどちらもすごく楽しみで、今、楽しみしかないです。
未来のことを考えるのがこんなにも楽しいなんて、って、私も不思議だよ。

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