2017年 面白かった商業BL漫画

 

 

 

 ぼーっとしてたら2月になってしまいました。

順番に特に意味はないです。

 

 

 

 兄は元彼

兄は元彼 (ディアプラス・コミックス)

兄は元彼 (ディアプラス・コミックス)

 

 

 

そう言えば

僕は

昔の兄も真面目だったかどうかなんて

考えたこともなかった

 

 

読み終わってあらためてタイトルを見て、いいなあって思った。

元彼って言葉は対象に対して使うものなので「兄"の"元彼」とする方が聞きやすいところを、「兄"は"元彼」と名付けられたこの作品はその通りに、兄と、兄の元彼と、誰かの元彼であった兄と、弟のお話でした。

私、第三者視点BLがすごく好きで、やたもも3巻もこれでめちゃくちゃよかったので2017年はこの二作品だけでいい第三者視点BLに恵まれていたなあと満足しています。

片側からでは見られないその人の違う側面を分け合って昔わからなかった涙の意味をわかったり、最初に去っていった人間がいつのまにか一番立ち止まっていたり、だから的外れだったり、でも呆れを取り戻したのは面影だったり、時間と視点が交差するからこその混線がすごく好きでした。

あと梅子さん、今年読んだ商業BL漫画で一番好きな女子キャラクターです、かわいい……

 

 

 神様はたぶん左利き

 

神様はたぶん左利き (アイズコミックス)

神様はたぶん左利き (アイズコミックス)

 

 

 

例えば犬

けなげで頑張りや

お札

美しいもの 人間の技術力

そういうもの

俺の 好きなもの

 

 

 借金のカタに偽札を作らされてる印刷所の刷師とそこにやってきた人間コピー機のお話。

設定の珍しさに目を引かれるけど、それだけで終わらずに、高い技術力をもって偽札を作ることを通して偽物と本物を引き合いにしながら、自分の信じるもの・自分の好きなものを大切にするためにどういう行動を取るべきか、というところに収束していくのがとてもよかったです。

読み切り版のラストと最終話のクライマックスで出てくる真倉の「何様なんだ」というセリフや土砂に埋もれて行くあのシーンなんかを見ていると、もっと真倉のことで描きたいことがあったんじゃないかと思えて、もうあと1.5倍のページ数で読めたらなあと思ったり。

この方の漫画、前作もそうなのですが、表紙に意味や裏話を盛り込んでくれるのであとがきを読んだあと表紙を見返すのも楽しいです。

一番好きなシーンは、泥酔しながら二人で、乗ってる他の乗客も眠っている恐らく最終の市バスの一番うしろの席で、肩組んで歌ったりしてるシーンです。

 

 

ハイ・ファイ・ランデブー

 

ハイ・ファイ・ランデブー (H&C Comics ihr HertZシリーズ)

ハイ・ファイ・ランデブー (H&C Comics ihr HertZシリーズ)

 

 

 

住むなら田舎かな

でも大学が都会だったら

そっちで就職してしまうかもね

東京

大阪

名古屋

どこに行くんだろうね

俺たち

 

 

廃校が決まった学校で卒業までの最後の一年を過ごす中学生二人のお話。

風景の中にキャラクターを立たせるのが本当に上手いなあと思う漫画家さんで、最後の一年の春夏秋冬を順番に描いていくこの作品はそのよさが特に強く感じられました。

絵的に強いラストシーンのある単巻漫画が好きで、この作品もまた。

予想のつくラストを絵の強さが越えていくことほど気持ちいいことはないです。

市バスってなんかほんといいよね…………

 

 

ユートピアダーリン

 

ユートピアダーリン (あすかコミックスCL-DX)

ユートピアダーリン (あすかコミックスCL-DX)

 

 

 

「俺の気持ちが無くても 恋愛って成立するんだな」

「何を今更 君の気持ちしかなくても恋愛は成立してきたじゃないか」

 

 

献身的な人間の恋のお話が好きなのは、一人の内に完結する恋のお話だからなのかもしれません。

目の前のその人の心のどこかを埋めるように気持ちを傾けることが恋で、埋まった人から笑って去っていくことが恋の終わり。

主人公が変わるわけでも時代設定が変わるわけでもなく、そんなに長くはないある期間を切り取った連作ものなのに、どこか輪廻転成もののようにも感じられます。

 

 

インディゴの気分

 

インディゴの気分 (Feelコミックス オンブルー)

インディゴの気分 (Feelコミックス オンブルー)

 

 

 

 胸のどこかにずっと…

小さな炎が燻っているのだ

あの頃

あの日々に

燃やし尽くせなかったから

多分一生消えない

 

 

前作「ポルノグラファー」の続編で、過去編。

今更どうにかできるわけではないし思い出すだけ無駄だけどでもふとした時何度も思い出してしまっては胸に青い影が落ちる。時が経った実感はないのに遠いところまで来たなあと感じる。あの時こうしていたら…と想像することは少なくなって今はただ思い出してしまう。一人になった時、誰かに手を振った時、深夜家までの短い距離を歩く帰り道に、空車のタクシーとすれ違った時。誰かと関わったことでしか生まれなかった後悔のような燻りを、誰もがひとつは持って生きているのだろうと、そんなことを思いながらどうしても泣いてしまう、そんな作品でした。

 

 

On Doorstep

 

On Doorstep (ビーボーイコミックスデラックス)

On Doorstep (ビーボーイコミックスデラックス)

 

 

 

あたたかいお前が

好きだったんだ

 

 

韓国の漫画家さんの作品を翻訳したものらしいです。

絵がほんとうにどのページどのコマを取ってもきれいで、白黒でも透明感があるのが好きです。崩し顔みたいなものもなく全編イラスト集のような絵で、そういう漫画って読みにくかったりすることも多々あるんだけど、この作品はそんなことなくとても読みやすかったです。

最近好きだなあと思うイラストはだいたい描き手が韓国の方だ!

 

 

学園天国 それは恋です小泉くん

 

学園・天国 それは恋です小泉くん (ビーボーイコミックスデラックス)

学園・天国 それは恋です小泉くん (ビーボーイコミックスデラックス)

 

 

 

この日私は

少しだけ

特別な女の子になった。

 

 

同一シリーズだけど違うテーマ付きアンソロに一話完結ものとして短編で載ったものと、雑誌でシリーズものとして連載で描かれたものを合わせて一冊にまとめたもの。

なので、一つのシリーズとして見たときの一話あたりのバリエーションが豊富で、読んでて楽しかったです。

女子BL掲載時にフィーチャーされたモブ女子の中森さんが攻めよりも登場回数多いのではってとこも含めて、アンソロでテーマ先行で描かれたからこそ生まれたような面白さがとてもよかったです。

 

 

YOUNG GOOD BOYFRIEND

 

YOUNG GOOD BOYFRIEND (on BLUEコミックス)

YOUNG GOOD BOYFRIEND (on BLUEコミックス)

 

 

 

好きな食べ物は アイスクリーム

押し倒された床の冷たさを覚えてる

全部のいたずらを覚えてる

眠った顔

公園のアヒル

花火

笑えるくらい大きなベッド

ずっとひとりだと 思っていた

しがない男の

君は

いつまでも

いつまでも

終わらない恋

 

 

前作「YOUNG BAD EDUCATION」の続編。

前作よりもずっと好きになったのは、先生視点がメインになったからかなと思います。過去も今も手の届くものも届かなかったあの頃も全部を何度も噛みしめるような、恋のお話。

先生から見た水沢くんの横顔、笑顔の眩しさに、先生のこれまでの想いが全部のってて、何回読んでも泣いてしまう……

好きなシーンは、ラストシーンと、先生が家に行く前にアイスとポテチとコーラを買って行くのが学生っぽくて嬉しくてうきうきしていたのを平静を装って隠そうとしていたシーンです。

 

 

日常クライマックス

 

 

 

ねぇ 日下

別れ話してもいいけど

別れないでくれる?

今更 お前以外と生きていけねーよ

 

 

『元耽美』というテーマで描かれた、駆け落ち15年後の安定の中での長い別れ話のお話。

こういうお話によさを感じるようになったのは年取ったからだなあと思う。

「別れ話してもいいけど別れないでくれる?」のセリフには目の覚めるような思いでした、私が最初に考えつきたかった……

 

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「悠久のティアブレイド」感想 運命の廻りで繰り返す副産物たち 計上されない輪廻

 

 

(2017.6.29 クリア)

 

 

 

「だがそれは目的達成のための過程で生み出されてしまった副産物であり、彼ら自体に意味はない。」

 

 

 

 

 

 

公式ブログの23回目の更新の記事にこういう記述があるのですが、

 

 

今だからぶっちゃけますと、最々初期には彼をサブ攻略キャラにする案もあったのですが、 過去編に存在を絡められる人数がもう限界で......、悲しいかなボツ理由は『運命力の不足』。

 

 

この『運命力』という言葉はこの後の更新でも何度か出てきます。

この作品をプレイしているとき、一人攻略するごとに、むごい話だなあ、という思いをつのらせていてED曲聞く頃には毎回完全な虚無になっていたのですが、クリア後、この『運命力』という言葉を見たときは深い納得がありました。

 

運命の話です。

運命の周りで繰り返してきた副産物たちによる、清算の話です。

例えば、シュドルートでシュドが今まで操縦できていたティアブレイドに拒否されて乗れなくなったときのこのセリフ。

 

 

「アタルヴァに導かれ。

 ネオスフィアでイヴと出会い。

 そしてティアブレイドという力を得て……。

 【運命】だと思った。

 きっと自分はこの世界を救うために生まれてきたのだと、そんな宿命すら感じた。

 しかしそれは勘違いだった。

 ……思い上がりだった。

 気付いてなかっただけでオレもまた【その他大勢】に過ぎなかったのだ。」

 

 

アタルヴァルートでアタルヴァがそれまでの自身を証明する全てであり拠りどころだった手がかりの記憶が他人のものでしかなくて自分はバックアップのためだけの容れ物にしか過ぎなかったことを知ったときのセリフ。

 

 

「この記憶の持ち主は……、おまえを心から愛していたからこそ、あの辛い旅路に耐えていたのだと。

この記憶はそんな美しい人間の物で、オレがそれを持っているのにも、きっと意味があるのだと……、信じていたんだ」

 

 

シュドとアタルヴァは 攻略対象四人+一体(二人)中、唯一攻略制限のないルートを担当する二人です。

シンボルカラーが赤のシュドと、シンボルカラーが青のアタルヴァ。

そんな露骨さもあり、二人のルートは「運命だと思った、だけど勘違いだった」という似たようなイベントをきっかけに展開していきます。

 

「悠久のティアブレイド」という作品において運命とは過去を指し、だから、上書きされない過去を持つものこそが運命で、業のように積もっていく時間を重ねれば重ねるほど自分の内だけでは留められないほど因果は影響力を増していき、「今」は簡単に上書きされてしまいます。

 

三千年間誰にも見つけられることのなかった現代のネオスフィアと、地上で今まさに起こっている出来事の全てが、三千年前に起こった出来事を起因としており、そして運命と呼べる程の因果を持つものはロウと過去イヴしかいなかった。

 

「悠久のティアブレイド」とはそういう作品で、一言で言うなら因果至上主義ゲームです。

 

各個別ルートでは今の自分とは関係ないとされたり違うものを見つけたり至上主義を撤回したりするものの結局過去イヴでしかロウは攻略できないし運命は同じ過去を持つ運命としか先に進めない、結局そこかよ!!みたいな、そういう作品です。

 

アタルヴァは、自分のルートでは、拠りどころだった記憶がロウのものだったこと、自分は記憶のバックアップのための器でしかなかったことを知ったときは深く嘆くのですが、ロウルートでそれを知ったときは静かに受け入れます。眉を曇らせ、微笑みすら見せて。

 

シュドは、自分のルートで、現イヴやアタルヴァとの出会いやティアブレイドに乗ってその力を得たことを挙げて運命だと思った、と語り、ティアブレイドに乗れなくなったことを挙げてそれは勘違いだったと語りますが、ロウルートとヤジュルルートでは序盤はシュドかアタルヴァがティアブレイドを操縦するんです。どっちでもいいんです。ヤジュルかロウの操縦までを繋いでくれるなら。シュドは自分のルート以外でティアブレイドに乗ったからといってそれを運命だとは言わないし、当然何も起こらない。

 

ティアブレイドの操縦をするっていうのはほんとは全然特別なことなんかじゃない。

 

それでもシュドが自分のルートではそれが何か特別なことだと思い込んでしまったというのは、アタルヴァが自分のルートでだけ大切な記憶が自分のものでなかったことに嘆くのは。

冒頭の公式ブログから引用した文章から言葉を借りるなら、シュドとアタルヴァの「勘違い」は、足りない運命力を補うための措置だった、ということなんだと思う。

何のために? 攻略対象にするために。

 

「運命力」が、過去イヴとロウという二人の運命とどれだけ強い因果関係を持っているかを指しているとすると、例えば、過去イヴに名前を与えられた疑似人類であるシュドは。

いつかイヴに追いついたときのために「みんなを守るように」という命令を与えられ、それだけを持って、廃棄されては別人として出荷され別人として生きた。

 

記憶がオーバーフローして狂いかけたロウの、記憶のバックアップ先の容れ物として作られたアタルヴァは。

アタルヴァ自身に過去はなく、ロウが過去イヴといつか幸せに死ぬまで生きるために作られただけだということを知らず、バックアップされた「大切な誰かを探して歩き続ける記憶」を拠りどころにしていた。

 

二人とも、ロウとヤジュルほど過去イヴとは関係しておらず、攻略対象としてそのままルートを作るにはほんの少し、運命力が足りなかったんだろう。

 

本当に、むごい話だと思います。

シュドルートの感想で、シュドと現イヴは運命だ!っていうのを何回か見たけど、そうなるように書き込まれただけじゃんと思うしシュドにも現イヴにもその言葉使いたくないよね。

なんかこう、ここまでされると、別にキャラクターが志願して攻略対象になるわけでもないのに、ここまでして攻略対象になって何があるの……みたいな気持ちになってしまってそれがエンドロールでED曲聞いてるときの虚無に繋がっていたわけなんですけど…………まさに、青い空 それだけなのに……みたいな気分なんですよ……

 

でもほんと、いいゲームなんです、システムデザインは清潔感があるしキラキラした塗りはきなみ由希さんのよさをなおさら引き立てるしいけさんはキラキラの中にもキリッとしたところがあって画面が締まるしボーカル曲はKOKIAさんだし……ただ、補って余りあるほどにむごいんだよ……

 

 

 

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植物と基盤を組み合わせたようなデザインが作品とリンクしている。色調が全部を上手くまとめていてとにかく清潔感のあるシステムデザイン。

 

 

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今までプレイした中で一番好きな名前入力画面。きれい。

 

 

 

「悠久のティアブレイド」の、この、運命システムというのか、因果至上主義が好きじゃないので虚無とイライラを行ったり来たりしながらロウルートを進めてイライラが最高潮だったのもロウルートだったのですが、その後にプレイしたヤジュルルートの、ヤジュルがどうしてテロ行為を起こしたのかを語るイベントがすごくよくて。

 

創作物に出てくるテロリストたちの言い分っていつもピンと来なくて、来ないように書いてるというところもあるんだろうけど。

でもヤジュルの言ってることは、それまでこの作品の、運命に近いものほど強くて上書ける、に散々怒っていた私にすっと染みていくように分かったんです。

これが、キャラクターの抱える怒りが分かったときの気持ちか…と思った。

ヤジュルのセリフを引用します。

 

 

「なぁ、お前は【個人の定義】って何だと思う?

 最低限何が残っていれば自分が自分だと思える?

 肉体か、人格か、記憶か……、普通はそんなとこだろう。

 だがあの時代、そんな物はいともたやすく他人によって操作されてしまう曖昧な代物だった。

 じゃあ、本当に大切な物、自分にとってのかけがえのない物は何なのか?

 ……それは【過去】だ。

 あの死体の山の中で、少年はそれに気付いてしまったんだ。

 そして、自分が何一つ確かな【過去】を持っていないことに憤りを感じた。」

 

 

この作品には、人間・疑似人類(工場で作られる。脳がない)・機械の身体・電子データなどメインキャラクターの中にもさまざまな身体を持つひとたちが出てきます。

ヤジュルは最初人間でした。

人間として、貧しい国に生まれ、反乱が起こり、兵力不足から誘拐され、兵器として十分に働けるよう身体の至るところを機械に作り変えられ。

同じように戦わされる仲間たちも死んではサーバーに収容されまた新しい個体として生まれ変わりまた戦わされ、その繰り返し。

 

 

「歴史という【過去】に、決して消えない爪痕を残してやると決めたんだ」

 

 

これが、ヤジュルがユニオンを滅亡させるテロリストになった理由。

運命とは過去、それが悠久のティアブレイド……と、思い出すだけで泣きそうになってしまうんですが、ヤジュルルートだけプレイしても、もしくはロウルートに先行してプレイしても同じように思えたかどうかは分からないんです。

 

ていうのもやっぱり、この作品の、その人が持つ物語が過去に近ければ近いほど強い運命システムに、シュドルートとアタルヴァルートで見せたシュドとアタルヴァと現イヴを、ロウルートでロウと過去イヴに簡単に上書きされることで最高潮の怒りを感じた後だったから、ヤジュルの「自分には自分を証明できる過去がない、自分が何かも分からずあいまいなまま使い捨ての道具で終わりたくない」という怒りが染みたんだと思うから。

だからつまり、

 

 

 

 

こういうこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こういうことで。

ティアブレイド、こういうゲームでした。私には。

 

なんでまあ、というのもあり、ヤジュルってすごい好きなキャラクターではあるんだけどでも一番っていうとやっぱりアタルヴァになってしまいます。

私は毎回蚊帳の外に置かれるキャラクターのその処遇に公式に対してぶち切れてしまうんですが好きなキャラクターと言われると絶対その、関われないそのひとを好きになってしまうっていう、そういう人間なのです……なのでアタルヴァ、最も運命から遠く関係の希薄なアタルヴァのことが、私は一番好きです……

 

ヤジュルはねー個別ルートが好き。

過去があやふやなために確かに生きた自分だけの数千年すら過去イヴの記憶に呑まれて否定してしまう現イヴに、自分を殺させることによって確かな過去と運命を掴ませようとした、あのシーンが、作品の根幹に食い込んだ言葉で描かれて、しかもちゃんと『ヤジュルを殺す』という選択肢があって、殺せて、バッドエンドだけどエンディングまであって。

 

この選択肢はヤジュルと現イヴによる反逆です。

恋愛ADVゲームにおいてそれはバッドエンドにしかならないけど、でも、バッドエンドだったからこんなに残ってるんだよ。

 

この作品に対して拭えない苛立ちはまだあるけど、でもヤジュルルートのこの流れがあったから、こうやって文章を書いています。

ハッピーエンドに繋がる、現イヴのヤジュルの言い分への決着の付け方は、ヤジュルのイヴと道具だった自分への決着の付け方の方に肩入れしてしまう分あんまり好きではないんだけど、でも、最後のスチルがすごくきれいだし、許される苦しさもあるので。

好きなルートです。

 

許せないのはクレイドルルート。ひどいと思う。クレイドルにはドローンのときに持っていたイヴへの気持ちがあったのに、人間の形になったとたんそれを恋と呼び始めるのはクレイドルという存在への悲しさでしかないよ。

 

 

そう、クレイドル。クレイドルね……

好きなキャラクターはアタルヴァで好きなルートはヤジュルで、それは間違いないんだけど、もっともっともっとこの作品において私にとって大切で、好きで、失くして欲しくなかった、どのルートにおいてもさまざまな形で失われていったものがあって。

ここからは現代イヴのことを現イヴでなく、イヴと呼びます。

 

 

 

www.youtube.com

 

 

このPVの冒頭40秒が、私が本当に見続けていたかった「悠久のティアブレイド」なのですが。

シュドとアタルヴァが、地下で誰にも知られず存在していたネオスフィアという広大なシェルターで出会う女の子、それがPVの冒頭で裸足で地面に立っている女の子で、この女の子はイヴという名前の、今作の主人公の内の一人です。

イヴが抱いているのがドローン型AIのクレイドル。イヴのお世話係です。

 

ネオスフィアにシュドとアタルヴァが落ちてくるまでの3000年、イヴはクレイドルとずっと二人で過ごしてきました。

 

このゲームには文章を読み進めるADVパートとマップを探索してキャラクターの話を聞いたり落ちているガラクタを集めたりする(エンディング後のオマケ要素に繋がっている)探索パートがあって、探索パートで動かせる主人公はこちらのイヴの方なのですが、探索パートのイヴ、ほんとにかわいくて。

キャラクターがいる場所では当然キャラクターとおしゃべりをするのですが、例えばティアブレイドなどの無機物しかない場所でもイヴは誰かに話しかけるように話をしたり、声をかけるんです。

 

 

(この湖、毎日見てきたけど、これでしばらく見納めなのかな)

(……わたし、行ってくるね)

誰へともなく、わたしは心の中でそう語りかけていた。

 

 

例えばこんな感じ。

これがもうかわいくて!

この探索パートは、クレイドルを除けばたった一人でネオスフィアで数千年の時を過ごしてきたイヴが一人での遊び方を知っていること、どういう風に今まで楽しく過ごして来たのかということがよく分かるので見ていてとても幸せな気持ちになります。

 

この作品、だいぶ深刻な話が多いのですが共通ルート前半なんかは、イヴ、クレイドル、シュド、アタルヴァ、ヤジュルの四人+一体で老朽化したネオスフィアを直したりして和気藹々としていてすごく楽しくて。

共通ルートが楽しかったからドラマCDも買ってしまったってくらい。

まだ聞いてないけど。

 

でもやっぱり一番好きなのは探索パートのイヴ。と、共通ルートでのイヴとクレイドルの会話。好き、大好き。

 

こんなふうに、ネオスフィアの修理をしながら、だんだん朽ちていってるシェルターの問題になんて気付かないイヴと、気付いてるクレイドルの、ずっと遠くに蜃気楼みたいな終わりの見えてきた3001年目が欲しかった。

 

一定周期で設定された温度でやってくる管理された夏に、毎年こんなに暑かった?って聞くイヴと、毎年そうですよって答えるクレイドルの何千回繰り返してきたやり取りだって、何より強い確かな過去だって言って欲しかった。

 

運命を隠して過去から隔離されたネオスフィア

一人を楽しめる女の子と丸いAI。

AIは女の子の完全な理解者ではなくて、女の子が拾ってきたガラクタ(その子が言うには、宝物)を悪びれず勝手に捨てたりする。

二人は遠慮なくケンカする。

親子みたいに、友だちみたいに。

 

この作品は、そんな時間も含めて過去を清算するためのお話です。

なので、イヴもクレイドルとの3000年に特に固執したりしません。

それはいいんだけど、でも、否定はしないで欲しかった。

 

ヤジュルルートで過去の記憶が戻ったイヴは、イヴがクレイドルと過ごした3000年を孤独の3000年だったと言い、とうとう、無知な自分への罰だったとさえ言います。

 

探索パートのイヴは何千年の時間をどう一人で楽しむか知っていて、言葉を話さなくても無機物でも、自然物でも、自分の友だちとして語りかけていたのに、3000年目のガラクタ拾いでも新しい宝物を見つけていたのに、シュドとアタルヴァとヤジュルに出会ってから「何千年も生きていた中で出会った三人の人間の友だちと話を出来て救われた」なんて言います。

 

どっちも、イヴにだけは言って欲しくなかった。

クレイドルと一緒に数えることを忘れてしまうくらいの年月を過ごして欲しかった。

そんな日々だって足りてたって言って欲しかった。

誰と出会ったって出会わなくったって。

意味のない、だから順序のつけられない、友だちのような家族のような、よく分からない関係が平穏に続いた3000年を、イヴにだけは認めていて欲しかった。

 

 

ついに【壊れて】しまったイヴの姿にほっとしながら、クレイドルは穏やかに挨拶を交わした。

そして1人と1体のAIは、これから長い時を歩むことになる。

大切なことから目を逸らし、ほんの少しのきっかけで破たんするような、そんな歪で不安定な日常を……。

 

 

 それでも絶対嘘じゃなかったよ。

 

 

「ああ、ついにこの言葉を使う日が来たのですね。

 忘れずに記憶しておいて……、本当によかった。

 さようなら、イヴ」

クレイドルの口から初めて聞く、別れの挨拶。今までのわたし達の間には絶対に必要なかったもの……。

 

 

当然そんなことをしていれば、手足にひっかき傷や痣ができてくる。その度に痛みが走ることに、わたしは無性に泣きたくなった。

自分の体が機械だって分かった今、そんな当たり前の感覚にすらクレイドルの気遣いが表れている気がしたのだ。

 

 

こうやってクレイドルとイヴの確かな事実を拾う。過去じゃなくて。

嘘じゃなかったって私は知ってる。

 

 

 

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「Collar×Malice」 クリアしました

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(2017.6.17 クリア)

「新宿区限定銃刀法解除」。

「首輪」。

 

青春というものがあるとするなら私の青春はインターネットとともにあった。その青春の1ページにはバトル・ロワイヤルを知らずにテニプリバトロワパロ夢小説にどハマりして深夜から早朝にかけて読みあさった思い出も刻まれており、Collar×Maliceをプレイして真っ先に心を掴まれたのは「新宿区限定銃刀法解除」という単語でした。

新宿区限定銃刀法解除……この設定によって生かされるのはシチュエーションと絵面だけで、設定と設定の繋がりが薄いというか一切ないしあえて無視されてるような穴だらけだし、ご都合主義(積極的に使いたくない単語ですが)と言えばそうなんだけど、私にはどうしても抗えない響きだった……新宿区限定銃刀法解除への「?」の振り払い方って人それぞれだと思うけど、私は出会った瞬間、昔好きだった人に十数年ぶりに偶然再会した気持ちで受け入れてしまった。もともと設定の粗とか見つけられないし気にならない人間だからというのが一番大きいとしても。

とまあ、なんかこう、ちょっとずつダラダラ喋りたいみたいな作品なんだよなあ、カラマリ。と、カラマリ関連三つ目の投稿で初めて気付いた。クリアから三ヶ月ほど経ちましたが未だにこの作品への気持ちがよく分かりません。好きだしプレイ中は夢中になったけど、やっぱりよく分からなくて、でも好きなことは確かで、だからなお分からない。本当は一個前のボーカル曲について書いたあの記事以上に言いたいこともないのでサイレントノイズ通常盤のジャケ写を貼って「これが私のCollar×Maliceへの気持ちです」って一言添えるだけで完成してしまうんだけどそんなのはついったーでやったらいいことなので……

 

いいゲームだったと思う。

まずゲーム全体の色調が好き。みんなスーツ着てるからっていうのもあるけど、明るい色が使われながらも画面そのものの彩度が低くて、新宿という舞台も相まって余計に夜を感じる。夜を感じられる作品っていいよね。攻略後解放されるおまけ要素やエンディングの種類の豊富さ、エンドロールへ向けての演出にも乙女ゲームを作り慣れてるなーって感じが滲んでた。そもそもそういう安定感が欲しくてこのゲームに手を出したというのもあって、その期待への、これだよこれーっていう手応えが常にあったのが一番嬉しかったなあ。新宿区限定銃刀法解除があけてった穴が見ないふりで放ったらかしになってるのも、乙女ゲームであることからブレたり蔑ろにしたりしないことの結果で、打てば確実に響いてくれて、さすがだなあと思った。その分歪になってしまっているところもあったりだとか、社会人主人公を取り巻く環境として当たり前に描かれる社会の端々がつらかったりだとか、大団円志向に具合悪くなったりだとか、しんどい部分も多々あるんだけど……カラマリへの分からなさって多分、私がこういうものへの折り合いのつけ方をまだ手探りで探しているところだからっていうのもあるんだと思う。ただ、総じていいゲームだったことは確かですし、白石景之にも出会えたんです。よかったのかどうかは不明ですが、心にいつくキャラクターとの出会いなんていつだってそうなんです。

だらだら喋りたい気分なのでだらだら書きます。

 

メインキャラクターたち

 

・市香ちゃん。自分を削るように人のために尽くす女の子。つらいなあと思うんだけど、市香ちゃんスーパーすごすぎて多分この生き方でも削られない稀有な人間です。にしても見てるこっちがつらいですが。共通ルートでもつらいし各ルートでも大概つらい。

 

・みんな顔がいい、いいのですがやっぱり、笹塚尊が……笹塚尊の顔がいい……きれいだなあとは思いつつも思ってただけだった花邑まいさんの絵を今になって好きになったのは笹塚尊の顔があまりにもよかったからです……ドーナツくわえてる立ち絵がめちゃくちゃ好きなので絶対私は笹塚尊だと思ってたのに思ってたより声のトーンが低くてあ、そっち……ってなった……結果的に笹塚尊の容姿にあの声のトーンでバランスは取れていたのだと思う。本当に顔がいい。そういうわけでビジュアル面は今回全て笹塚尊に持っていかれました。顔がいい。

 

・柳せんぱい。柳せんぱいの話をするときに外せないのがCVについてで、森田成一さんなんですよね。今まで聞いてきた男性キャラクターの声で一番好きなのがGS2の佐伯瑛なんですけど、なんか、佐伯瑛の、猫かぶりキャラなのに声のトーンであったり表情であったりの幅が狭く取られてるとこが、無理してやってるんだなあ、みたいな、不器用だなあって、自分で勝手に決めたルールで勝手に生きづらくなってる佐伯の、今までの生き方が全部乗った声で……それを踏まえて柳せんぱいは。例えば、サンプルボイスを聞いた瞬間あーってなるキャラとたくさんの声を自分の中に積み上げていってある瞬間突然あーってなるキャラとがいて、柳せんぱいは絶対に後者なんですよ。それがもう、佐伯瑛の声の人だなあって感じで……柳せんぱいもやっぱり、声のトーンや表情なんかは狭く取られているキャラクターなんですが、驚いた時とかに元ヤンが滲むんですよね。セリフそのものも、ん? の代わりにあ? って言うみたいな感じなんだけど、その元ヤン加減が、絶対に人を威圧する目的で滲まされたものでないという。染み付いた根幹みたいなのが常に音として滲んでいて、狭い中で思わず出てしまう部分と柳せんぱいの一部になってる部分とでの強弱がそのまんま不器用な人のほころびになっていて、柳せんぱいのこれまでが、全部声に通ってるんです。多分、もともと私が、長く聞いてられるような振り幅の狭い喋り方が好きだというのもあると思うんだけど、やっぱりこの人の演技が好きだなあと思いました。あんまりキャストをきっかけに作品に触れることがないので森田成一さんの声との久々の再会でした。

 

・珍しくCVの話をメインにしてる! ということで岡崎。市香ちゃんが撃たれたあとのシーンで声優さんの演技で初めて泣きました。着実に情緒が育まれてる……岡崎も岡崎で、常に自分の心に薄膜一枚貼り付けてるみたいな声色なんだけど、それがペリペリ剥がれていくような嘆き方で、今までの岡崎の喋り方はこのシーンのためにあったんだなー!って。あのシーンをゴールとしていくつかのイベントからの逆算で作られていったような声で、柳せんぱいの声の印象と真逆かも。

 

・みねお。みねおは……なんか、学生キャラの年齢設定をそのまま成人にしただけみたいな感じでつらかった。本当に、こういうことをあまり言いたくないのですが、クリスマスプレゼントに四つ葉のクローバーのヘアピンを贈る23歳つらすぎませんか。そもそも市香ちゃんヘアピンしてる?  してないよね。いやしてないもの贈ったらだめってことはないけど、してないからこそ贈ることもあるだろうし……でもみねおのこういうとこ、あー相手見てないなーっていう、つらいし、このゲームはそういう、テンプレの使い方が雑なとこが多い。みねおの恋愛に関する相手見てないなーって感じは恋愛教則本みたいなの読み込んでる設定もあるので分からなくもないんだけど、四つ葉のクローバーのヘアピンは教則本を鵜呑みにした方がマシだったのでは? って感じでつらいんだよね。うーんってとこもあったけどみねおのかわいいところを言うと、柳せんぱいのこと好きすぎなのがかわいいです。「どうだ、すごいだろ。これ、ぜーんぶ柳先輩が作ってくれたんだぞ!」「だよなあ。なのに柳先輩は、栄養バランスまで考えてくれるんだぜ」はいかわいい。

 

・白石……白石のこと思うと頭を抱えてしまいます……白石の声というか、長い台詞も大体一呼吸で喋り切るのに抑揚や緩急がなだらかにつけられているとこ好きでした。音楽記号で言うならスラーがかかってそうな感じ。私、最年長キャラクターがあまり好きではないのでルート入るまではすごいどうでもよかったんです、他の人のルートでいつのまにか消えてるとかそんなの全然気にしてなかったし気付かなかった。今、そんな自分の態度が悔やまれます。これからの私は、もっと真剣になりたいと、思っています。

 

・全員顔もいいのですがなにより名前がとってもいい。特に名字が。クラスに一人いるかいないかくらいのレベルの、ものすごく珍しいわけでもないけどこういうゲームでキャラクターの名字にされるのはちょっと珍しいかもね、くらいの名字の当てはめ方が絶妙で!具体的に言うと岡崎が岡崎なのがすごいと思った。白石はキャラクターの物語が持つテーマと通ずるような名字で、こういうゲームでは付けられ方としてそんなに珍しくなく、そう思うと、ギャップで見せていくシナリオの作りといい乙女ゲーム的なところを負っているキャラクターだなあ。ファンタジックです。

 

・あとあと、名前でいうなら、柳せんぱいの愛時って名前はめちゃくちゃいいですね……名前聞いた時点ですでに好きだもん……

 

 

サブキャラクターたち

 

・香月。高校三年生反抗期まっさかり。一人暮らしの姉の家に転がり込んで姉をリビングで寝かせ自分は姉の部屋を自室として使う。弟なのに全然かわいくない。市香ちゃん、本当に、外に出ればいつ毒射出するか分かんない首輪をつけられ、家に帰れば反抗期の弟がブーブーして、気苦労が多すぎてあまりに気の毒だった。

 

・向井さん。雑〜〜〜! って感じのキャラクターでした。27、8歳くらいの年齢設定だと思うんだけどそれでこの化粧でこの服でこの喋り方か……みたいな……「ぎゃふんと言う」とか言うんだよね向井さん……『機捜若手』『機捜ベテラン』っていう名前で出てくるモブの会話で、おっさんだらけの現場での会話を再現しようとしてる雑なそれっぽさがあって、そういう雑なそれっぽさと、向井さんのような雑なそれではないが混ざり合って不協和音起こしてる部分は多かった。笹塚が「ちょっと付き合えよ」って言って手だけでジョッキを傾ける仕草をするのとかもうわ…って感じでつらかったんですけどこの仕草はそれではなさでそれでいて飲むのはカシオレっていうのがそれっぽさ。

 

 

個別ルートいくつか

 

・カラマリの個別ルート全体に言えることなんだけど、一つの事件を一人が担当してどの事件を選ぶかで個別分岐するので、結局、個別ルート入ると他の攻略対象たちとの絡みはほとんどなくなるし、主人公が警察官だから警察組織側の人間との絡みは減らないしなんなら主人公に警察組織からの情報持って来させるしでせっかく組織抜けた人間たちが集まってるのにその要素に面白みがなくなってるんだよね。シチュエーションの形成にも繋がらないような文言だけの設定がゴロっと放られてるような感じ。新宿区限定銃刀法解除も同じなんだけどこれに関しては単語自体の響きが最高なので……笹塚ルートで「戦力を分散させてても仕方ないから警察に戻れ」と言われるんですけど、ほんとーーーにその通りで、みねおも最後は警察に戻るし大体の個別ルートで最後は警察と協力し合うし、もうちょっと個人の寄せ集め感が欲しかったなあ。

 

・最初の印象がルート入って大きく変わるようなキャラクターは(白石を除けば)あんまりいなくて、言葉のやり取りの積み重ねで目の前のその人に対する気持ちが変わっていくのを丁寧に見せてくれる作品でした。誰も他人のことを本当には理解できないのを前提に、理解したい、で動いていくのがすごくよかったです。ギャップは、ハマった時はワンシーンだけでものすごい破壊力を持つけど、小さな気持ちの変化の積み重ねを追うだけでキャラクターはこんなに魅力的になるんだなあって……でも白石みたいな遠回りで辿り着くようなキャラクターも用意されていて、過不足なくてほんとうによくできていた……

 

・笹塚の、高圧的で威圧的なところが、お前! って感じで苦手だったので笹塚ルート進めてる時はイライラの波の強弱の中にいたけどなんだかんだで笹塚ルートを進めていた時が一番心が盛り上がっていたし、全ルート終えて振り返ってみると、笹塚は常に事件を追うための行動を取っていてそれが自ルートでもちゃんと反映されていたので、好きなルートと言われると笹塚ルートなんですよね……でも鍋イベントの笹塚と弟はどうかと思うし、事件解決後、市香ちゃんが仕事終わりに笹塚の家でごはん作ってその後家に帰って今度は弟のごはん作ってるのは許せないです、市香ちゃん家でごはん食べて帰ってください。市香ちゃんの見ててつらいのは本人が苦もなくやってるとこなんだけどさ…… 

 

・市香ちゃんはたまに飲みに行く時以外は全部自炊なのですが、笹塚ルートでは休みの日の朝に家でミルクティースコーンの焼き上がりを待つ間クロワッサンとホットチョコレートで遅めの朝食を摂ったりして、生活の質とそれを保てる精神の安定感がすごい。市香ちゃんの安定した精神力の高さはこういうところに表れているのですが、それでも毎日弁当作って晩ごはん二回作る生活は大変だし結局家まで送って帰るなら笹塚が市香ちゃん家で晩ごはん食べて帰ったらいいわけで笹塚は市香ちゃん家で晩ごはん食べて帰ってください。

 

・岡崎のメールの顔文字がかわいくて、市香ちゃんがだんだん岡崎とおんなじ顔文字使うようになっていくのもかわいかった! 夫婦とカップルは似ていくっていう言葉を思い出しました。

 

・白石ルートは、白石は、白石は……自分から社会に裁かれに行くのが本当につらくて、私刑の方がまだよかったと思ってしまう……ただそれ以上に私がつらかったのは、柳ルート除き白石ルート以外では白石が途中で消えてるってことに、白石ルートを進めるまで気が付かなかったってことなんです……私が悪い……さっきも言ったけど……

 

・白石、興味のない人の名前は覚えられないみたいな態度取ってるのに意外と覚えてて人から指摘されて「あ、ほんとだ」みたいに気付くのとか人を喜ばせようとするとき物をあげることしか思いつかないのとてもつらい。たまごやきイベントを読んだのが早朝だったのですが、どうしようもない気持ちになって泣いた。岡崎ルートで市香ちゃんが岡崎と同じ顔文字を使うようになるのもそうなんだけど、白石がたまごやきを焼くのも市香ちゃんのマネで、好きな人に似てくるのとか、同じことをしてしまうのとか、「カップル(この時点ではそうではないけど)は似てくる」でもあるし、白石がそれをやると「お母さんのまねをしてみる娘」的なものの方を強く感じてしまって。選べる手段が自分の中にはないから一番身近で信じている人のまねをして返そうとするけどあんまり上手くはいかなくて……不器用で、選べなくて……だから極端で、齟齬ばかりで、取りつくろえなくて、はき違えてて、裏目に出て傷つけて、痛みそのものに鈍感だから、人のも自分のも傷を傷だと思えないひと……理由をつけるのが下手で、ずるいやり方を知らないまま、歪な隙間に向かって、まっすぐ、生きてきたひと…………たまごやきイベントは市香ちゃんのまねをすることで白石が初めて分かりやすく伝わりやすい「人のため」ができたイベントで、早朝に受け止めるにはちょっと重たすぎました。つらかった。

 

・それ超えると白石幼少期スチル見れてこれがちょーーーーかわいーーーーのでこれだけでもーーー!

 

・「……楽しいんだよ。今が……すごく。」でも泣きました。

 

・守られる未来の見えない約束って好きで、クリスマスパーティーはその類のものであったけど、クリスマスパーティーしてる場合か??というのが気になって、うーん……と思いながら見ていた。

 

・「サンタは…….その、実際にいるわけじゃないので 身近な人がサンタになって、プレゼントを渡すことが多いと思います」「だとしたら……俺もサンタになれるってこと? 良かった、それなら君がプレゼントをもらいそびれることはないね」 クリスマスパーティーしてる場合じゃないけどこの会話はよかったです。その人の心の中にいる子どもにやさしくしようとする接し方を好きだなあと思います。

 

・御國を殺すまでの経緯が省かれ過ぎていて、なんで白石くらい頭の回る人がそんなことで市香ちゃんの首輪を外せると思ってしまったのか分からないし、これしかないと思い込むまでに追い詰められていたというならその姿は見たいし、御國とゼロ、御國と14番の関係は好きだなあと思うのでFDではこのシーンに至るまでの白石と御國とのやり取りが見られたらいいなあと思う。

 

・白石が猫に番号で名前を付けてそれで過不足ないと思っているところ。14番の猫はいないところ。アドニスを故郷だと言う白石。

 

・やっぱり、白石ルートは、自分と相手の心の中にいる子どもに、やさしくたいせつに接する話だったから、だから白石が自分から社会に裁かれに行くのがつらかったんだなあ……

 

・白石ルートは悲恋エンドの評判がよかったけど私は白石が先を急いで無茶をして死んでしまうバッドエンドのが好きでした。好感度の足りない時のエンディングなのかなあ。好感度がもう少し高かったら白石はあんなに無理をしなかったし、通常エンドでは無理をしなかったから死ななかった。先の見えてる小さな幸せを薄く伸ばして少しずつ確かめながらの先送りの日々だったから、箱の底のせめてもの最善だって手に入れられたんだろうなあって……

 

・柳先輩はキャラクター紹介文にもある、「……ここから見える、新宿の街が好きなんだ」 が好き。

 

・柳ルートが特殊なのは、柳視点でお話が進むことも多いところ。Trueルートだからというのもあり、柳ルートでは攻略対象たちの抱える諸問題を全部解決して大団円!! が強くて、私は大団円があんまり好きじゃないけど大団円感はもっと好きじゃないんだなあ(例:FDのエンドロールで攻略対象たちが白い服を着る)ってあらためて思いました。攻略対象たちが主人公不在の場で話をすることが多いのはとてもよくて、好きなんですが、それがそのまま力技の大団円へと結ばれていってどう捉えればいいのか今でも複雑な気持ちです。自分の個別ルートで死んで自分の個別ルート外では細く長く生きていくような攻略対象が好きなんだけど、諸問題を抱えながらもそれをどうしようが生きていけることを確認できるのが好きなだけで、それが簡単に軽くなったりするのはキャラクターが大団円のための下敷きになったように感じてしまって悲しいだけなんだ。だから私、前にどこかにも書いたけど、カラマリのTrueルートをどう捉えたらいいのか分からない。X-DAYが差し迫ってるのは他のどのルートでも同じなのにTrueルートでは自分の悩みはさて置いて捜査に協力できる峰雄。そんな風に言ってもらえると死にたくないってちょっとは思えるって言う岡崎。「……柳愛時。あなたは14番……いえ、白石景之を変えました」。全12話のアニメの最終話みたいな全員集合のラストシーン。新宿の朝焼けを見られるのは柳ルートでだけだったと思う。「シンクロ」は「サイレントノイズ」「静かの海」と打って変わってゲーム本編へ寄せてあって、Trueエンドそのものが白々しく感じてしまった。もちろんいいところもたくさんあったし、白石→柳ルートをプレイしている時ひさびさに外出先にゲーム機を持って行くというのをしてしまったくらい、楽しかったし夢中だった。ただ、私は静かの海の延長にある場所へたどり着きたかったんだろうな、と思う。オトパのPVは、新宿の夜は明けたけどそのために明けることがなくなった場所もあるってことをFDでやるよってことだと思うので、そこに見たかったものがあればいいなあ。でもさー、夜を終わらせるためだけのお話なら夜のままでいいんだよ。朝焼けでも、真夜中でも、柳ルートとは違うやり方の終わりが欲しいなあ。

 

 

 

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冒頭のこの作品はフィクションです画面もいいんだけどこの注意書き画面も洗練されててとても好き。

キャラソン、でましたね、すごくいいですね。最近は岡崎のをずっと聞いてます。

白石のキャラソンが出る頃はもう冬なんだな……

 

 

 

 

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ノイズの向こう、静かの海

 

 

しずかのうみ【静かの海】

月面上の海の名称の一。月面の中央近くにある平地。1969年、アポロ11号の月着陸船イーグルがここに軟着陸し、人類が初めて月面に立った。

 

 

本当はゲームの感想を書いてたのですがボーカル曲についてだけ分けた方がよさそうな感じになってしまったので先にこの記事だけ。

ゲーム「Collar×Malice」にはボーカル曲が三曲あり、その全てをひとつのバンドが手がけています。OP曲のサイレントノイズ、ED曲の静かの海、シンクロ。「静かの海」は最終ルート以外のエンディングで流される曲で、ゲーム中、一番耳にするボーカル曲でもあります。ED曲の流し方には相当こだわって作られたゲームだということもあり、この曲を聴いて誰のことを思い出すかでその人の好きなキャラクターが分かってしまうほど……とか勝手に思ってるのですが「カラマリ 静かの海」で検索し続けてこんなゴミみたいな場所にまでたどり着いてしまった誰かには共感してもらえると思う。

そんなわけで、「静かの海」。そして「サイレントノイズ」。ゲームの舞台である「新宿」という単語が出てくる曲もあるので、配信で曲を買うまでゲーム本編と絡めた歌なのかな?と思ってたけど、歌詞をちゃんと読んでみると同じ新宿が舞台でも歌詞の中にいる視点の人物はゲームのキャラクターの誰でもなかった。恋愛ADVゲームのタイアップ曲らしく視点の人物が誰かを思う歌であることは確かなのに、その誰かの具体的な姿はなく「残像」「記憶」「残響」とだけ表される。そのどれも個人の頭の中だけで完結するものであって、具体的な像を結ぶこともなく、新宿の夜を歩くその人以外にそこにあるものはない。誰かにとっての記憶に触れることは、ノイズの向こうの景色を見ることに似ている。サイレントノイズは、明らかに、ここにいない人のことを思うときの歌でした。そして先に言ってしまうと、静かの海も同じ、ここにいない人を思うときの歌、なんです。ただ、静かの海がサイレントノイズと同じことを歌っているというのは、本編エンディングでゲームサイズverを聞いているだけでは分からないようになっています。サイレントノイズで繰り返し使われた、残像」「記憶」「残響」といった言葉は静かの海では一箇所を除き使われず、その影は、最後のサビの後の……Cメロっていうの?の部分でようやく見えてきます。

 

晴れたら影に 曇りは風に 雨には傘に 君が過れば 探したとして 居ないに飽きて それに気づくたび はなればなれ・・いつか慣れて

 

ここにはいない人を思うというそれ自体は恋愛の歌によくあるテーマだと思うんだけど、二曲とも、どちらかと言うと、ないものを思い出し続けることの難しさとか、諦めとか、ふとした隙間に声や姿を蘇らせてしまうことの終わっていくしかない行き詰まりだとかが描かれています。二つの曲は同じことを歌いながらも状況は少しずつ変化させられていて、サイレントノイズでは「更新」や「バージョンアップ」されていた記憶やそれへ対する思いも、静かの海では「記憶が色をなくす頃」と、停滞のちの後退をしている。サイレントノイズでは記憶そのものを辿るために思い出していたけれど、静かの海では琴線に触れた何かに、ふと過ぎらせることで結果的に思い出している。ここにはいない人……死んだ人とか、もう会いには行けないような別れ方をした人とか、生死不明の人とか、色々なパターンを当てはめることができるけど、でも、私にとってはこれはバンドの新曲でもラジオやテレビで偶然知った音楽でもなくて、おとめげーむをしようと思ってvita起動したら流れてきた主題歌で、エンディング曲なんだ。だからどうしても、架空の人を思う歌として聞いてしまう。この曲が乙女ゲームの主題歌とエンディング曲であることを思ってしまう。そう思って聴くとさ、もう、うわーってなってしまうんだよね。全部分かる。取り出すたびに自動的に上書き保存されて劣化していった名前をつけられなかった瞬間.jpegを本当みたいにして持ってる。劣化させた記憶を繋ぎ合わせた間に合わせの星座をきれいだと思う。繋ぐために取り出してまた劣化する。生活は夏の日に浴びるぬるいシャワーみたいで、持ってることさえ忘れたりする。忘れさせられたりするまでもなく、勝手に忘れていく。全部が分かる。でも本当は分かりたくない。フルver聴いた感想は、なんて曲を書いてくれたんだ、です。19歳の私だったらマジギレしてたと思う。無駄に生き長らえた気力ゼロの疲れた私でよかったな、ってどこに向けたいのか分かんない人差し指がふらふらしてる、俯いてるみたいに。もう星座も繋げない。webで拾えるインタビューも多分全部読んだけど「シンクロ」だけ作詞作曲が違うんだね。それも含めて凶器みたいな誠実さだと思います。ほんとうに。検索するまで"静かの海"が月面の一部に付けられた名称のことだなんて知らなかった。届かない・叶わないものの象徴として月は使われがちだけどそれを静かの海と遠回しに表現するのって、月がきれいですねっぽい。とか適当な横道にそれながらじゃないと正面から受け止めるのはちょっと無理、みたいなそんな楽曲です。見えてるのに届かないどこか非現実的な月に、凸凹に名付けられた海じゃない海。「静かの海にある砂の城」を崩れないと言えるのは置き去りにしたから。夜になったら会えるからもう思い出そうとしなくていい。それでも忘れていく。ときどき、多分まだある、と、思い出して、思い込んで、また忘れて、許しながら生活していく。通常盤のジャケットも歌われている世界に忠実でしんどさに拍車がかかりますね。

 

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「シンクロ」に触れられないのはそもそもカラマリのtrueルート自体にピンと来ないのと、結局私は、伝えないつまらない響かない戻らない……そんな 、"ない" しかない「静かの海」の方へ立ち止まってしまうからなんだろう。

「静かの海」を聴くたびに白石景之のことを思い出しては胸の中が夕立前の低い曇り空みたいな色になります。今も。

 

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「Side Kicks!」感想

 

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(2017.5.21 クリア)

すめらぎ琥珀原画の初乙女ゲー(!)ということで初報の時点でほとんど興味本位に近い感情で楽しみにしてた本作。

主線の強い絵を描かれるのでキャラデザともに流行りの乙女ゲーム的なビジュアルではないんだけど、画面の9割がキャラクターの顔アップっていうイベントCGでも顔はもちろん指の筋や髪型の崩れ方なんかの細部の表情の付け方だけで絵に動きが出せるのはさすがだなあと思いました。パッケージや特典の一枚絵よりも表情の振り幅の多いゲーム内イベントCGや立ち絵にハッとさせられます。これがまた差分の数もすごいんだ。私はきれいな顔した男の子の不機嫌そうな顔と退屈そうな顔が死ぬほど好きなのでチカの立ち絵が死ぬほどやばいんですよね……かわいい……

 

お気に入りのイベントCGは、タテワキルートでの葬儀に出席するサイドキックスメンバーのあれと、雨の教会でのチカの、あれです。お気に入りのキャラクターも、チカです。できないこと、が強調されているキャラクターに劣情感込みの好意を抱くのよくないんですけど、携帯の操作に慣れてない&文章を書くことが苦手なチカから送られてくるぎこちないメッセージ文でもうだめだった。『わかりまた すぐに。もどる』だめだった……でも意外とこういう脱字や句点と読点の打ち間違いみたいなのはここだけで、あとは小文字が全部大文字になってるくらいのもので、多分チカも本編中にちょっとずつ携帯電話の使い方とか学んでるんですよね……かわいい……

 

そんな「Side Kicks!」とってもいいゲームでした。VFB的なものも今後出なそうな感じがしたので雑誌掲載のSSを読むためにバックナンバー取り寄せたくらい。本作発売前に同じ会社から同じディレクターさんと原画家さんが組んで出してたドラマCD(ヒガンノハナ)も取り寄せて買ってしまったくらい。一点突破でいいというよりは、満遍なくよかった、ゲームを構成する色んな要素がしっかり噛み合ってた。キャラクターのセリフ部分のテキストがとってもよくて、SS目当てに雑誌買ったのも、絵も音楽もCVも演出も背景も全部いい方に作用してるけど何よりもテキストをいいなあと思ったから。

海外ドラマ風味を意識したゲームなので思わせぶりなことを言う人が何人かいるんですけど、その思わせぶり感のちょうどよさと、上手く言葉にできないことをなんとか言葉にする人たちの、ちょうどいいつたなさと、くどくなくてさっぱりしてるのにどこか影のあるテキストが珍しくて、ほんとーーによかった。色んな人に遊んでほしいなあと思う。

 

続編というよりは同じスタッフでの次回作を遊びたいなぁ、と思ったので文化放送エクステンドの三作目「ハイリゲンシュタットの歌」予約しました。スタッフは違うけど文化放送エクステンド乙女ゲームラインが途切れず続いていって欲しい……という願いを込めて。

 

各ルートとキャラクターについて少し書こうと思います。

 

 

 

共通ルート

 

・メーカーロゴからスタート画面に移行するまでの演出ですでに心を掴まれる。その後の、トラックが店に突っ込んでくるところ、ムービーパートと通常背景と切り替えずに通常背景にトラック突っ込ませててすごかった。どう言えばいいのか分からないけど、掴みはバッチリってこういうことを言うんだなあって思った。以降こういうお金かかってそうな演出が挟まれることはないのですが、冒頭の部分の 「他のADVゲームとはなんか違う」っていう感覚がずっと残るのでその後の意味深なシーンに被せられる海外ドラマ風の意味深な語りやアイキャッチ風演出も自然と受け入れられて、上手いなーと思いました。

 

・選択肢が多い。休憩時間どこいこう?→1つの場所に1人の攻略対象がいて好感度があがる とか 誰のことを聞きたいですか?→攻略対象1人の名前を選べて好感度が上がる とか、この手のオーソドックスないかにも分岐のための選択肢が浮かないくらいに総数があった。冒頭で主人公の血液型を選ぶ選択肢があるんだけど、こういう、好感度の微増以外にお話自体には特に影響のない選択肢っていいよね。キャラ立ちしてる主人公も好きなんだけど、伸縮する人格の形があってもやもやしてる主人公も好き。その伸縮の限度を各ルートのシナリオを通して知るような。そういえばイノリちゃんは今までどうやって生きてきたのかとか家族はいるのかとか全然語られないし誰もそれを気にしない、曖昧な予知夢を見る以外に背景を持たない女の子なんだけど、背景のない主人公が相手だと自分のことを自分で語る系攻略対象がよく映える。そしてSide Kicks!の攻略対象たちはとてもよく自分のことを語ってくれます。自分の心の変化や弱みをそれぞれの言葉で話して聞かせてくれる。バカキャラポジションのチカでさえ自分が相手に何を望んでいたかちゃんと語って伝えてくれるので、みんな頭いいなあと思ってしまう。まあほとんど何が言いたいのかよく分かんないんだけど。でも自分語りってそういうものだから。分かるような分からないような微妙なラインでの攻略対象の自分語り聞くのすごく好きなので私にしては珍しく個別ルートも好きなゲームで、読んでてすごく楽しかったです。

 

・アニメで言う◯◯回的な、攻略対象それぞれに順番に焦点をあてていくような作り。かといって露骨に個別ルートへ結びつくような直接的エピソードは展開されない。チカくらいかなあ。これは個別ルートにも引き継がれる要素なんだけど、共通ルートで各人に焦点を当てている間もちゃんと他のキャラクターたちとの関わりも描かれる。「サイドキックス」という部署とそのメンバーどうしの関係を拠点として話が進められるので、個別ルートに入っても攻略対象と主人公との一対一には終始しない。共通ルートの雰囲気を壊さない個別ルートが好きなので、この点もサイドキックスが好きな理由のひとつです。

 

・全員で事件にあたる中で距離が近付いた二人、っていう切り取り方が基本なので、共犯関係的なノラ・タテワキルートはその点でもちょっとした特別感があった。でも決して贔屓みたいな特別ではなくて、断片でしか見えてなかったレインキラー事件と警察署爆破事件の真相にいよいよ近づいてきたなっていう特別感。共通ルートの雰囲気を壊さない個別ルートがあってこそ、それが崩れ始めるノラ・タテワキルートは読んでて楽しかった。ノラルートからは読む手が止まらなかった。

 

・助手席立ち絵!チカとヒバリにしかないんだけど、すごくよかった。チカが部屋着立ち絵では前髪下ろしてるのとか、細かいところまでちゃんと用意されてる。差分の力を改めて感じました。

 

 

 

チカについて

 

一番最初にプレイしたキャラクター。

シンボルカラーは赤だし初回プレイ公式推奨タイプのメインキャラっぽいなと思って選んだ。これは正解だったと思っていて、各キャラに順番に焦点を当てていく共通ルートの一番最後に展開されるチカメインの事件がそのままチカルートに繋がっていくので、自然な流れのルート分岐とお話の着地を味わえました。

それでさー、なによりもさー、とにかくチカがかわいいんだよー!

チカは、できないこと、が強調されているキャラクターです。故意にそういう見せ方をされているキャラクターのことを好きになってしまう人間というのはいて、まあわたしなんですが……できないことに挑戦してやっぱりできないとこ見ると、脳に血がすごい勢いで昇って頭の中がぐるぐるしたあとじわじわ体温が末端に向けて上昇していく、もうわけがわからないくらいかわいいしかなくなってしまう……チカはかわいい。

孤児で協会育ちのチカ。なので簡単な算数もできないし文字を書くことも苦手で携帯電話のような電子機器も使い慣れてない。自分でもそれは自覚していて、サイドキックスへ勤務しながらアカデミー(警察学校みたいなものかな?)にも通って家でも一般教養の勉強をしている。他のキャラクターたちから、チカ、バカ、チカ、バカ、と言われるチカだけど、大変な努力家なのです。

 

キャラ立てとして面白いなあと思ったのが、チカに対するヒバリの「相変わらず教科書通りだね」ってセリフ。

事件が起こるとサイドキックスのメンバーでそれに対する見解を言い合う場面が多々あるのですが、チカの見立てには必ずといっていいほどにヒバリからこの言葉をかけられる。「アカデミーなんかに通ってるからかな?」みたいなセリフも続いたりする。

チカのような運動能力特化ポジションのキャラクターは細かい観察や推測が必要な場面で役に立つことはあんまりなくて、あるとすれば、とんでもない推測が事件解決に繋がるような展開で、っていうことが多いと思うんだけど、チカの場合はヒバリが言うように誰もが真っ先に考え付くお手本のような見立てをする。

結局ヒバリにその場で細かく否定されていくのでチカの見立てはその事件においては当てはまってはいないんだけど、「アカデミーなんかに通ってるからかな?」の言葉通り、チカはちゃんと日々勉強をしているんだなあっていうのが分かる。

短絡的なキャラとしてのポジションに置きながらもそれを基本的な性格として扱っている。仕事においては経験不足として、でも努力をちゃんと感じさせてくれるので今後経験を積んで補っていくんだろうなあと思わせてくれる。

 

推理サスペンスというのか、こういうジャンルにおいてはチカみたいなキャラクターはプレイヤーに役立たずって思われがちなんだけど、そう思わせないようにさらっとキャラ立てしてくれてるんだよね。そしてそのチカの努力を誰も特別に誉めたりはしないのがすごくいい。教科書通りというのはチカの現在の努力の証でもあるんだけど、ヒバリはその場で役に立たないそれを相変わらずチカはって切り捨てるしアカデミーなんかって言う。でも嫌味じゃない。これはキャラクター間のパワーバランスとか誰か一人が中心となって引っ張っていく組織感をできるだけ取り払った結果だろうなあと思う。

 

あ、あとチカの言葉の変換の素直さがすごく好きです。「でも俺、今、なんか、すっげー嬉しいし、気持ちいい。息してるだけで、嬉しいんだ」 こういう……息するだけで嬉しいチカかわいい……このセリフの前の、朝起きておはようを二回言ってしまうチカもめちゃくちゃかわいいんだよ……チカルートは共通ルートからの流れが一番きれいなので初回ルートキャラだなーなんですけど、最初にチカのかわいさを味わってしまうと他のキャラクターのルートでチカからひらがなてにをは抜けメッセージが届く度にチカがかわいいのはもう分かったから……かわいい……ってなってしまうのでルート外でもチカはかわいい。 『ツカサのことはちやんとおくつた リコきようはよくやすめよ』 『ひとがおおいとけいさついそがしい』 はい、かわいい。

 

 

 

チカルート

 

で、一番印象に残っている場面っていうとみんなそうだと思うんだけどやっぱり雨の教会です。イベントCGもとてもよくて、土砂降りの雨がチカの前髪を崩して涙も鼻水も全部一緒に流れていってしまう。

Side Kicks!のイベントCGは、背景をイベント用に描き起こしてあることがほとんどないからか、構図としてはそんなに面白いものはないんです。最初に一枚見ただけでは何とも思わないことも多いんだけど、差分の数がものすごいことになってる。

イベントCGの弱いところは表情やポージングなど画面が固定されてしまうことで、キャラクターの感情が高ぶっていたり日常とは違う動きをしていてもその気持ちひとつひとつに絵が対応していけないところにある。それを補うのが差分で、このゲームはとにかくほとんどのCGに差分があってしかも1枚あたりの枚数もかなり多い。声と表情とセリフとがきれいに繋がって変化していく。ボタンを一回押すたびにキャラクターの表情の変化に揺さぶられて、もう一回押すともう、好きになってしまうんです。

 

チカルートにはバッドエンドも用意されているんだけど、バッドエンドとの境目になるのもこの雨の教会のシーン。

このゲームはメッセージウィンドウで文字化されないボイスが多用されていて楽しい作品なのですが、チカバッドエンドでのチカの「行かないで」がすごく好きで。聞こうと思って耳をすましても雨音にかき消されてよく聞こえない、目にも見えない、か細い「行かないで」。私はバッドエンドより先に通常エンドを迎えていて、チカから「どっか行けって言ってたけどあの時本当は行かないで欲しかったんだと思う」 って言葉を聞いていたので、こういうことかーって余計にぐっときた。

バッドエンドには好感度の足りないバッドエンドと選択肢ミスのバッドエンドとがあって、私はどちらかと言うと選択肢ミスのバッドエンドが好きなんですが、チカのバッドエンドは後者の方のバッドエンドじゃないかなと思う。ADVゲームなので選択肢で好感度あげるしどっちも選択肢ミスの範疇ではあるのですが。どちらにしても「ここに残る」か「立ち去る」かが、チカにとってもイノリちゃんにとっても大きな分かれ目だったことは、通常エンドルートで雨の日のことを振り返るチカの言葉からも、バッドエンドでのイノリちゃんの結末からも分かる。

タテワキがイノリちゃんに「その行動は自分のためなのかチカのためなのか」を問う場面があるんだけど、この境目の選択肢で「ここに残る」を選んだイノリちゃんは、チカのためじゃないことを認めて独り善がりでもいい放っておけないってその場に残ることを選ぶんです。そしてチカルートの二人は「同じ恐怖を抱えていた」がキーワードになっている。ここで出てくるチカやイノリちゃんの「恐怖」はこのゲーム全体の根底にあって時折顔を覗かせてくる類のもので、最後の Another Side でもイノリちゃんに影を落とします。これはチカルートに限った話ではないのですが、Side Kicks!では、そういう、誰もが持っている恐怖や願いを取り除いたり叶えたりがお話の着地にならないようにしてあります。チカとイノリちゃんの場合も結局最後まで、その恐怖に対して自分はどうあればいいのか、どうすべきか、に答えを出すことはありませんでした。抱えたままであるしかないこと、それでも迷う時は隣にいて欲しいという共有の仕方を望むこと。何が正解かなんて一生分かんないけど、チカもイノリちゃんもお互いに真摯で、その姿に今は、ただよかったと思うだけです。

 

 

 

ヒバリルート

 

バッドエンドが印象的なルートでした。チカのあとヒバリのルートをプレイしたので全員にバッドエンドが用意されてるのかと思ったのにこの二人とタテワキにだけだった。残念。と思うくらいにこの二人のバッドエンドはとてもよかったです。チカのバッドエンドが通常エンドと隣り合わせなら、ヒバリのバッドエンドはヒバリという人そのものと隣り合わせのエンディングでした。

「ヒバリを受け入れる」「ヒバリから離れる」の二つがヒバリルートでの境目の選択肢で、自分を受け入れる人間はヒバリにとっては切り捨てて構わないものに分類されるので、前者がバッドエンド行きの選択肢となります。

共通ルートの項目でも触れた通り、サイドキックスのキャラクターたちはみんな自分の心の変化や弱みをそれぞれの言葉で話して都度聞かせてくれるので例外なくヒバリも通常エンドで後者の選択肢がヒバリを引き止めた理由を語ってくれるのですが、正直ヒバリのその理屈はあんまりよく分かんなかった……自意識と過去こじらせキャラに自分内理屈通した状態で自分語りされると余計によく分かんなくなるみたいなのってあるよね、まあ、ヒバリがよかったんならよかったけど、みたいな。

というわけで何がヒバリを引き止めて何がヒバリを遠ざけたのか、私には最後まで分からなかったんだけど、「ヒバリを受け入れる」方のエンディングってヒバリをなんにも変えないんです。物語開始時より前、ヒバリは職を変えてワシントンへ発とうとしていてその足を止めさせたのがタテワキでした。ヒバリのバッドエンドはサイドキックスを辞めてワシントンへと発つヒバリをサクラダ署前で見送るところで終わります。

最初に、ヒバリを受け入れる→暗転、のシーンを見たときは恋愛ADVゲーム脳なのでこのまま二人依存して欲に溺れるエンディングになるのかなって思ったんだけどそんなこと全然なく、良くも悪くもヒバリはヒバリを受け入れたイノリちゃんに影響されないし左右されない。ヒバリはどうやったら相手が自分を受け入れるか分かっててその通り行動できるんだから、ヒバリを受け入れる人間なんて今までいくらでもいたはずで、これからもいくらでも出てくるんだろうなあって。そりゃそうだよなあって、納得してしまった。

ヒバリバッドエンドは「二人が」どうなるってエンディングではなくて完全に切り離された一人と一人になってしまうエンディングでした。何があったって変わらないキャラクターとか目の前から簡単にいなくなってしまうキャラクターが好きなんだ。

そしてこのエンディング、ヒバリがサイドキックスのメンバーへ別れを告げている時、同時に少女による叔母殺害事件のニュースがテキストウィンドウの向こうでBGMみたいに淡々と流れていて、自分のことで精一杯なイノリちゃんはその少女がシオンだってきっと全然気付いていない。ひとつ崩れたらもうひとつふたつくらい簡単に見失ってしまえる怖さがあって、ここのテキストウィンドウに拾われないボイスの演出もすごくよかった。

ヒバリルートはバッドエンドの方が通常エンドよりも好きです。通常エンドはまあ……というかヒバリルートの最初の方のイノリちゃんの、行為の意味を考えず表面的な笑顔や言葉の気持ちよさだけで嬉しくなってしまうのが、見てて大変つらかった……昔はそんなこと思いもしなかったのでおのれの加齢を感じて更につらかった……

 

 

 

シシバルート

 

シシバもシシバでものすごく今の気持ち語って聞かせてくれるんですけど、ヒバリ以上によく分かんなかった……最初から最後までよく分かんないままでエンドロール迎えた。個別ルート導入部分とエンドロール前にシスイの語りが入ることがあるんだけど、これがなんとなく全部いい感じにまとめてくれて、シシバルートは特にここの語り部分が一際静かで非日常的ですごくよくて、いまいち分からないなりになんとなくよかった記憶が残ってる。「自分がいなくなっても代わりはいくらでもいる」ってセリフはシシバルートのキーだったと思うんだけど、ここはこの後プレイしたリコルートにも繋がっていた。

 

 

 

リコルート

 

カップリングにおける「不在」というキーワードを愛してやまないので、B不在の場におけるA×B前提のBの話をするA+Cというシチュエーションが狂おしいほど大好きなのですがそれと同じ気持ちで別攻略対象の話や名前を口にする攻略対象とそれを聞かされる主人公の構図が大好きです。

リコルート……というか、真相ルートまで終えてもリコのことで一番心に残ってるのが、リコが他のキャラクターたちの名前を呼ぶときの、その声の感じでした。

サイドキックスメンバーの名前のイントネーションはそのほとんどが最後の音で下がるのですが、リコが呼ぶと語尾が上がる上がる↗︎↗︎ そして語尾延びる伸びる→→ 特に、チカ・シシバ・イノリの名前を呼ぶ時が最高かわいい。他の音に例えるなら、口の中で飴玉転がしてる時のコロコロって音。軽やかで甘い、やさしい音。

真相ルートを終えた今は、ヒバリルートの、大丈夫って言ってる人が本当に大丈夫とは限らない、気付かなくてごめん、君は全然大丈夫なんかじゃなかった、っていうのを思ってしまうリコルートだった。

 

 

 

ノラルート

 

ここからが攻略制限ルートです。ノラルートでは主にレインキラー事件に迫ることになります。共通ルートの項目でも書いたんだけど、すっごく面白くてここから真相ルートにかけては読む手が止まらなかった。それも共通ルートの雰囲気を壊さないチカ・ヒバリ・シシバ・リコの個別ルートがあってこそで、だからこそノラやタテワキとの、サイドキックスの外側で結ぶ共犯関係っぽさが楽しかった……

このゲームの、くどくなくてさっぱりしてるのにどこか影のあるテキストが好きなんですが、ノラルートでは通常よりもテキストにほんの少し湿度が増していて、その湿っぽさにもレインキラーに近づいているのを感じられたりしました。読んでて一番楽しかったルートがノラで、ノラも本人以外には伝わらないだろう語りをするんですが、その分からないのにぐっとくる語りだとか、エクストラモードでの後日談の立ち絵の変化のワーって感じだとか、好きなところがたくさんあるのでそのあたりについて。

 

 

「前に聞きましたよね? なんで記者になったのかって。俺は真実を見つけたいって答えました。それは嘘じゃないです。 ただ…… この世に『本当』があるんなら、俺は誰かの中に見つけたいです」

 

Side Kicks!全編通して一番好きなセリフです。嘘が嫌いで真実だけを探しているノラは、それでも、あるのかどうか疑わしいのにその存在に期待することを止められない『本当』を誰かの中に見つけたいって言うんです。……まあ、これだって正直よく分かんないんだよね、ノラの言う本当と真実の違い、なんとなく分かるような分からないような、それすらも分からないのに、ノラからこの言葉を聞いた瞬間にノラのことが見えたような気がしたんだ。気がしたことを信じたい。『本当』は、嘘とも真実とも違う、信じたいこと、なんじゃないかなあって、今は思っています。

 

 

「……痛い?」

「いいえ、大丈夫ですよ」

「大丈夫かどうかじゃなくて、痛いかどうかを聞いたの」

「……まだ、少し痛みます」

 

イノリちゃんとのやり取り。大丈夫って言ってる人が本当に大丈夫かどうかは分からない、とのヒバリの言葉も思い出すけど。

この作品にはこういう、虚勢……というか、構えられた両腕をそっと解いていくようなやり取りが散りばめられていて、いいなあと思う。このあと解放される真相ルートでノラの言うところの真実を探し当てることになるのですが、このゲーム自体が真実へ向かっていくためのゲームで、なので、好きな人の、嘘とまではいかない強がりや気遣いゆえの言葉も放って置かずにあえて優しい強引さで解いていく。主人公の攻略対象たちへの向かい方を作品自体の攻略対称たちへの向かい方として見てしまうので、こういうひとつひとつのやり取りでSide Kicks!への好きを深めてしまいます。

 

 

誰かの中に、『本当』を見つけることが、こんなにも温かいことだとは、知らなかった。知ってしまった俺は、もう、昔に戻ることはできないだろう。それがほんの少しだけ怖いと言ったら、君はきっと、笑うだろう。

 

ノラ攻略後に解放されるエクストラモードの後日談でのノラのモノローグ。

本当を見つけたノラ。このモノローグだけでも最高なのに最後の一言の部分で、それまで笑顔だったノラの立ち絵の表情が変わって、目線を斜め下にそらして口を横にひき結んでる表情に変わります。この表情の変化が、オマケで解放される後日談の最後の最後を笑顔で終わらせずに攻略対称の抱える不安を覗かせて終わるっていうのがさ~~~~もう最高…………

エクストラモードの後日談はどのキャラクターの物も攻略対称視点で語られるのですが、このノラの表情の変化ってきっとイノリちゃんには見えていなくて、イノリちゃんが背を向けている時だとかその場を外した時だとか、そういう、思わず気を抜いた瞬間にしか見ることのできない、滲み出るような不安のひとつなんだと思う。

攻略対称視点だからこそできたし見られたものだった、という意味でもこのモノローグのシーンは好きです。ほんと最高。

 

ノラルートクリアで真相ルートが解放されるのでノラの個別は真相ルートへの引きも兼ねてあります。なのでノラだけエンドロールの後のエピローグシーンが丸々真相ルートへ向けた次回予告みたいになってるんだけど……私はキャラクターが物語の進行のために駒として動かされるのがあんまり好きじゃないのでこういうエピローグの作り方には怒りがちなんですけど……何か今回全然その怒りがなかったんですよね、なんでだろ、加齢かな。最近何でも加齢のせいにしがち。ノラルートのエピローグに関しては本当に次をすぐにプレイさせるための引きでしかなかったしノラの見立て間違ってたし後から思い出してもやっとはしました。でも他にいいものが多すぎて、ノラルート、そしてノラ、それだけで、でした。

 

 

 

Another Side

 

タテワキルート兼真相ルート。

分岐地点じゃなくて共通ルートでのイノリちゃんのサイドキックス加入時から始まります。最後は最初から!

このブログはゲームプレイ中にリアルタイムで投稿してるtwitterのつぶやきを元に文章を足してまとめ直す形で書いてるんですが、真相ルートプレイ中の自分のツイート、わー!とかあー!とかばっかりで何がなんだか分からないので書き足そうにも書き足せない。とにかく楽しかったんだと思う。ほんとに楽しかった。リコの結末自体は悲しいけど、私の中に残っているリコはレインキラー事件の真相とは全然関係ないサイドキックスにいるときのリコだったし、ほどよい距離感ででもちゃんとみんなのことを好きにならせてくれて、本当に本当に楽しかった。いいゲームだった。

 

タテワキルートとしての側面にも触れておこうかな。恐らくこのゲームをプレイした結構な割合の人がタテワキとの恋愛に微妙な気持ちを抱いたことだろうと思う。

全ルート恋愛の過程が性急だとはよく言われているけど、ちゃんと攻略対称たちが分かるような分からないようなの曖昧なラインで自分語りしてくれてたからか私は全然気にならなくて、それでもタテワキとの恋愛は、上司と部下という立場もあってか、恋愛っていうかセクハラでは……ってなってしまった。オールナイト上映をしてる映画館にイノリちゃんの提案で二人で行くのとか、それが共通ルートでタテワキが挙げてた「休暇にやりたい10のこと」の内の達成できなかった一つだったこととか、あの辺りはよかったんだけど……まあ、身内が死んだり悲惨な最期を迎えたとしても事件解決後に主人公とヒロインは笑顔でキスをしてエンドロールが流れ出すハリウッド映画みたいなものだと思えばそんなに気にはならないかなあ。カリフォルニア州の一都市が舞台だし。でもセックスしない大衆映画が好きなんだよなー。Side Kicks!がセックスしない大衆映画みたいであったらもっと好きだったな。とはいえ、気になるところがないわけではないけどタテワキの葬儀のシーンだけで全部巻き返せるからね。

最後、タテワキとのエピローグの後スタート画面に戻った時、全ての始まりの夜のダイナーが、終わりのようにも始まりのようにも見えた。

 

 

  

 

またしても好きなゲームができてしまいました。

サントラも買いました。

今やってるサイドキックス来日のtwitter企画も独特でいいですね。

長いスパンでやってくれてるのも嬉しい。

後はもうVFBさえ出てくれれば思い残すことはない。欲を言うと同じスタッフでの新作ゲームも……

最後にチカへの好きとノラへの好きの違いを書こうと思ってたけどこういう感情を一言で表せる言葉を知っていたことを思い出した。チカは最萌えです。

 

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オトメイトガーデン Collar×Malice コラボカフェに行ってきました

 

6/21 大阪梅田は、豪雨の後でした。

 

その内感想記事を書きたいのですが先日「Collar×Malice」をクリアしてどうしようもない気持ちになり、どうすればいいか分からず、人生初のコラボカフェに行ってきました。カフェはカフェでもガーデンの方。カフェの方は今見たらパセラでのコラボみたいだからご飯はそっちの方がおいしかったのかな? まあ、梅田のが近いし満足したのでよかったです。

でもなんだろ、一つ言うなら場所が〜〜つらい〜〜……夜ならよかったんだろうけど平日朝のアーケード街を抜けて乙女ゲームのコラボカフェに行くのはね……飲み屋と風俗店とカラオケゲーセンくらいしかない、平日朝11:00前の臭くて暗いアーケード街を歩いているのなんて、あてのなさそうな老人と昼からオープンの飲食店の店員くらいのものだし、あまりにも街に生気がなくて店にたどり着く前に少し気持ちが沈んでしまった……

明かりの消えた雑多で猥雑な看板群の中に「Otomate garden」のパステルカラーの繊細なロゴを見つけた時はアーケードの入り口からそこに至るまでの全てに強烈な地方を思って無駄に切ない気持ちになった。コラボカフェなんてトウキョウからの刺客でしかないし秋葉原パセラとかのコラボカフェに行くのが一番いいんだろうななんてバカみたいなことまで考えてしまった。それくらい、平日朝のアーケード街は不意打ちに切なかった。

それでも古くて汚くて狭いエレベーターのドアが開いて壁に貼ってあるパケ絵が目に入った瞬間それまでの切なさややるせなさが飛んで行ってわたし今からコラボカフェに行くんだ!という気持ちが復活して、公式絵の力は本当にすごい。

 

 

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一瞬で持ち直した。

 

 

 

入ったらまず前売券と引き換えにブロマイドを貰えます。ランダムかと思ったら好きなキャラクターを選べたので嬉しかった。私は迷わず白石景之を選んで、なんかそこで初めて、あ、私は白石が好きなんだなって理解した。で、そこでサイコロを渡されて、1か6が出ればICカードシールが貰えるよってやつ、で、1が出た!! 嬉しかったなあ。そのまま席に案内されました。ランチョンマット、どんな風にもらえるのかと思ったら席に伏せた状態で置かれてるんですねー。ビニール系のシートに印刷されてあるのかと思ってたから丸めて持って帰ろーと思ってたのに全然普通の紙だったのでどうしようかと思ったけど、店内でコクヨのA3サイズのカードケースを売っていて流石だなあと思いました。

vitaの画面で見てたものがA3サイズに印刷されると大きいなあってそれだけで嬉しい……昔は既存絵グッズなんて増やしてどうするんだと思ってたけど、今眺めてて、この大きさだけで幸せになってるよ……あ、ちなみに絵柄はゲーム冒頭の事務所での全員集合絵でした、これも嬉しかったなあ。ガーデンコラボセットを頼んだのでコースターも二枚貰えたのですが、こちらは全員集合絵と柳でした。嬉しい嬉しい。

 

 

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シールと柳先輩はガーデンコラボ仕様。

 

 

 

頼んだメニューはこんな感じです。

    

<ガーデンコラボセット>

 景之の猫耳ミルクティー

 景之のお気に入り♪ ねこねこオムライス

 正義のトリガーケーキ

 

 

 

景之の猫耳ミルクティー

 

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猫耳ミルクティー、ストローも緑だしミントも緑だしクリームについた猫耳クッキーもかわいいしで本当にかわいい。でも味はめちゃくちゃ薄かった。ミルクティーって言うんでリプトンとか午後の紅茶とか紅茶花伝みたいなの想像してて甘いのかな?と思ってたけど全然そんなことなかった。で、この飲み物についてはさっきメニューの詳細見て気付いたけどアイスティーに牛乳を混ぜてるみたいです。そもそもアイスティーに中途半端に牛乳混ぜてもあんまおいしくないよね。氷で薄くなるし。リプトンと午後の紅茶紅茶花伝にミルクティーという概念を植え付けられてるからかな。でも見た目が超かわいいからオールオッケーでした。

 

 

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猫耳クッキーもただの三角じゃない。

 

 

 景之のお気に入り♪ ねこねこオムライス

 

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ねこねこオムライス〜〜かわいい!思ってたよりおいしかった!

これ、メニュー名は「景之のお気に入り♪ ねこねこオムライス」なのですが、店員さんが「お待たせいたしました、白石景之さんのねこねこオムライスです」と言って持ってきてくれて、私は、「白石景之さんのねこねこオムライス」という響きにやられて、その白石景之さんっていうの、すごくいいね……ってなってました。キャラクターのフルネームにさんを付けて人に言うことなんて人生にそうあることではないよね。一生なくたっておかしくないんじゃない? 私はこの先そんな風にキャラクターの名前を誰かに言うことなんて絶対ないと思うし、そもそもキャラクターの話すらそうできることではないのに、なんかすごかった。そういう、フラットな言い方で、フルネーム+さん って呼べるのっていいなあって。心に残るワンフレーズでした。白石景之さんのねこねこオムライスです。白石景之さん。の。

 

 

正義のトリガーケーキ

 

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トリガーケーキ。ゲーム中で市香ちゃんがミルクティスコーンの焼き上がりを待つ間クロワッサンとホットチョコレートで遅めの朝食を摂るという休日を過ごしていたのがあまりにも上質な生活すぎて自分の人生を振り返ってしまったこともあり、ミルクティスコーンとだいぶ迷ったんですが銃の形のチョコレートを食べたかったのでこっちに。

カラマリで使われたモチーフが全部詰まったケーキで、ちょうどこれが運ばれてきた時、店内にゲーム中のサントラが流れていて、あー私コラボカフェにいるんだなあと実感した。もちろん造花だけどアネモネの花も散らしてあって、カラマリのことを知らなくても目を惹くきれいなデザインのプレートになっていました。

あと全然関係ないけどこの写真めちゃくちゃ上手く撮れたなあと思ってて、二次創作サイトの小説の背景に使われるタイプのフリー写真素材サイトの素材みたいじゃないですか? バトロワパロの感動回っぽい。そもそもこのプレートのデザインのセンスがフリー写真素材サイトなんですが。乙女ゲーム界隈にいるとこういう、あの頃のリアルな空気に出会えることがたまにあって、特定の人間にとってのかつてのインターネットで吹いていた風を感じられたりもします。

 

 

 

 

自分の好きなものを目の前で他人に語られることに耐えられなかった二十代前半までの自分はどこへ行ったのか、初めてのコラボカフェを普通に楽しんで帰りました。近くの席に座っていた二人組が今プレイしているゲームの話をしていて、コンシューマーゲームの話をしている人だ!って嬉しかったんだけど、あの場にいた全員がコンシューマー乙女ゲームを遊んで好きになったから来た人たちだったんだった。

 

それにしても、なんかねー、なんか、よかったなあ。もう一回くらい行きたいなあと思ったよ。せっかくA3 カードケース買ったし。

 

そのあと映画見に行って(22年目の告白 見た)ヨドバシでビズログと逆転裁判123(急にやりたくなった)を買って四時過ぎ頃家に着くという凡百のオタクみたいな休日を過ごしました。幸せだった。

そんな今日この頃、白石景之さんはどうしているのでしょうか。暑さがあまり得意ではなさそうで、気がかりです。

雨がやんだら、夏ですね。

 

 

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キスマークは内出血ではない

 

じゃあなんなのかってよく分かんない

前回の「Code:Realize~祝福の未来~」感想記事で書き忘れたことがあったのでここで追記します。

 

キスマーク。そういえば最近キスマークって見ないなあと思ってたけどよく考えたら見てきたキスマークのほとんどは二次創作物でだった。

もちろん特定の少女漫画誌や商業BL、TL漫画なんかではまだまだ生きてる表現だとは思うけど内出血のキスマークの話をしているわけではないのでそれを省くとやっぱり二次創作物――特に、夢小説や男女ものCP小説――に顕著な表現だったと思うんです。

 

そう、キスマークって内出血じゃないんですよ。

じゃあなんなのかって冒頭に戻るんだけどよくわかんない。

その行為で表現しようとする感情は内出血のキスマークと変わらないんだろうけど、どうしてそういう跡がつくのかとかの仕組みやその後のことがすっぽ抜けて単語だけが放り投げられた状態、と言えば少しは近付けるのだと思う。

 

最近は二次創作を見にいくことすらもしなくなっていて、見るにしても同性どうしのカプものばかりだったこともありそういうキスマークがあったことを忘れていた。

内向きに閉じた女の子たちの妄想の世界で共有される様式美みたいな慣用句、瑞々しすぎてぐちゃぐちゃで、でも全然手垢つかなくて、古いのに若くて、なんだか恥ずかしくて……まさか、2016年発売のコンシューマーゲームの中で再会できるとは思ってなかった。

それがやたら嬉しくてさ、やっぱり私、女の子たちが作った狭くて閉じたコミュニティの中でだけ共有できるような言葉や表現とか、それによって作品全体にただよう雰囲気みたいなものが大好きだなあって思ったよ。で、こういうのを効率的に摂取しようと思うと文字媒体の男女の恋愛ものになるんだよね。

 

コドリアFDのすごかったのはメインのターゲット層の年齢も上がってきてるであろうコンシューマー乙女ゲームの2016年のグラフィックや表現の中になんの照れ隠しもなくポンとそれを放り込んできたところです。かっこよすぎるよ!

 

今私、コドリアFDから立て続けにおとめげーばかりクリアしていて、これは多分、コドリアFDが昔私が肩まで浸かっていた世界へまた導いてくれたからだと思ってる。

最後に該当シーンのテキストを引いて終わりたいと思います。

改めて読んでも、あーもーばか!(すき!)って感じだったので文字色ピンクにしてみました。

 

 

とりあえず、いつくるかわからないルパンに毎晩ドキドキさせられているのは確か。

身構えている時に限ってこなかったり、油断したら寝ている隙に頬にキスマークが残ってたり……

 

 

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