4/2のこと

 

 

うさぎが死んだ。

1日の22時頃、気付いたらぐったり動かなかった。ケージからタオルを敷いたキャリーの中に移してくるんで、その日は私もベッドではなく布団を床に敷いて寝た。じっと見つめているとうさぎの胸がわずかに上下しているのが分かって、いつでも確かめられるように、枕元にキャリーを置いた。

2日の5:30に起きた。最後に見たときとは違う姿勢で、もう少しも動かなかった。思ったほど体は冷えてなくて、ああでも毛のせいかな。背中の毛が厚くて、柔らかくて、まだ少しあたたかかった。生きているのでは、というよりも、明け方まで頑張っていたのかなあと。そのとき。

女の子だった。

色々な事情でうちにいた。

うちには昔もう一匹うさぎがいて、二年前に死んだんだけど、その子にはとにかくべったりくっついてたな。

人間は嫌いで、触られるのを嫌がった。

掃除や病院なんかのやむを得ないときの、ほとんどタオル越しにしか触ったことがなくて、今朝亡骸を撫でて始めてこの子の体の小ささとか柔らかな毛の分厚さを、手のひらで知った。

病気や老衰で限界のペットの最後を看取るときに体をずっと撫でてあげるとかそんな話をよく聞いていたけどあれはペットと飼主に相応の信頼関係があってのことだったんだなぁ。最後に触れる手を許してくれるのも、最後に触れる手を許せるのも。あの子はもう、暴れる元気はなかったけど、背中を撫でると一瞬目を見開いて小刻みに震えるから、それからは、見ているだけだった。

2日の12:00頃、会社でiPhoneのアルバムを見ていた。黒くて大きな目がかわいい。箸置きの箸みたいに揃った耳。まるい背中。こんなことをどこに書けばいいか分からない。ここもやや違う気はするけど。

 

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ちいさな体でがんばった

二匹が不自由なく跳ねて、眠れる、天国はあって欲しいです

 

「絶対階級学園 -Eden with roses and phantasm- 」感想 幕が上がればもう戻れない

 

 

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(2018.12.19  クリア)

ハムレット、オフィーリア、黒い絵、聾者の家、マザーグース、黄いろのトマト、ジキルとハイド、王子とこじき……ぱっと思いつくだけでもこのくらいの、塗されたキーワードとモチーフはこうして並べるとどうしても節操がないように見えてしまう。

 

ゲーム本編中にひとつひとつ聞き集めているときですらも少し過剰に感じてしまった「別の誰か」たちの物語は、『散りばめられた』でも『放り込まれた』でもなく、『塗された』というのが一番合っているんじゃないかと、全てを開いた今となっては思います。

 

 

絶対階級学園というタイトルで示されているように、いわゆるスクールカーストものの要素があり、階級制度が導入されている学園に主人公が編入してくるところからお話は始まります。

 

階級は三つに分けられており、それぞれ名前が、

 

「咲き誇る薔薇」

「名もなきミツバチ」

「捨て置かれた石ころ」

 

上位が薔薇で下位が石ころですね。

主人公の最初の階級はミツバチ階級で、個別ルートでそれぞれ石ころ階級ルート、薔薇階級ルートに分岐していきます。

どちらのルートもとてもいいんですが、主人公である藤枝ネリが編入当初の学園の外の感覚を失わずにいられれば石ころルート、学園側の意図に染まっていけば薔薇ルート、という分岐をするため、薔薇ルートの展開は特に多彩で、ネリちゃんの考え方や行動も元々のネリちゃんの性質そのままに環境に抑圧され徐々に歪みとなっていくパターンがあれば別人みたいに溶け込んでいくパターンがあり、ようやくできた友達を失わずにいるためにしがみつくしかなくなるパターンもあり、5人分それぞれにそれぞれの痛々しさがあって先を読まずにいられなかった……おもしろくて……

 

で、まあ、そんな薔薇ルート含め各ルートにエンディングはハッピー/バッドエンドともにかなりの数用意されていますが、全部が明かされるエンディングに繋がるのは石ころ階級ルートのみです。

 

珍しい点として、各キャラクターに真相ルートが用意されていること。

グランドエンドとかオーラスエンドとか、ああいうやつです。ああいうのって、(あるとしたら)一本のゲームにつき一ルートっていうのが普通なんですけど、このゲームの場合全員にそれがあるんですね。

ただ、大きな落とし所が変わるわけではないので、真相ルート自体の基本的な筋立ては全て同じようなものになってます。 この、ほとんど同じっていうのがねえ……狭い特別に固執したり敵視したりしていた人たちを一人一人見送りながら、重ねていくごとに鈍く痛むようでした。そこまで剥いで横並びにしてしまうんだっていうのもあったし……

 

 

スクールカーストものって私、この作品に限らずなんか妙に外側にいる人の視点に立ってしまって見ていて気恥ずかしくなってしまうんですけど、そしてそういう人は割といるんじゃないかなあと他のスクールカーストもの作品の感想などを見ていて思うんですけど、この作品はそういう、外の感覚も利用して真相ルートへのブーストをかけていく。

 

絶対階級学園というタイトルと三つの階級の名称、飾り立てられた多くのモチーフを初めて目にしたときの気持ち、その、最初の感覚をどうか忘れずに進めていってほしいなあと、これから先このゲームを始める方々の存在というものを想像し、祈るような思いで書いています。

 

 

その先にある誰かの切実な願いの形、みじめで、滑稽で、気恥ずかしくいたたまれない、ちいさな誰かの真摯な願いを、その形を、どうか確かに掴まえてほしいのです。

 

 

 

 

 

各個別ルートについて

 

 

 

 

 

 

ネタバレあります。

 

 

 

 

 

鷹嶺陸

 

 

「一番かわいそうな王子様」とは、ショウの言葉。

 

表メインキャラとのことです。

読み進めていくとなんとなくオチの方向性は見えるようになっているので基本的に真相ルートでショックを受けることはなかったんですけど、陸ルートだけはつらかった……

食べると生きる以外に割く時間なんてないような生活の中で別の誰かの物語を読むことが支えだった小さな陸の幼い空想の具現こそが「絶対階級学園」なのです。夢のようだったろうね……

 

陸の石ころ/薔薇ルートは、階級の移動によるネリちゃんの変化よりも、陸の階級制度への意識の変化の方が重たいように思いました。

石ころルートでも薔薇ルートでも、どちらを選んでもどちらかに転がれるような。

大きな環境の変化よりも、瞬間的には意味を持たないその場その場の小さな選択の積み重ねが石ころルートの結末を生み、薔薇ルートの結末を生むような。

 

 

薔薇ルートで一番印象深いのが陸の部屋に対するネリちゃんの反応。

 

陸の部屋って基本すごい散らかってて、その散らかりように石ころルートのネリちゃんがたまらず掃除をしてしまうというシーンが何度か繰り返される。

背景も、散らかった部屋と片付いた部屋とちゃんと二種類用意されています。

 

石ころルートのネリちゃんは陸の部屋を見た瞬間まだ声にはしないまでもモノローグでその汚さに驚くんだけど、薔薇ルートのネリちゃんからは一言も陸の部屋の散らかりように対してコメントが出ることがない。

陸に対してはもちろんのこと、モノローグでも触れない。

気付いてすらいないのかもしれない。

 

薔薇ルートのネリちゃんと陸は、散らかった部屋で紅茶を飲みます。

乱雑に放られた本やボードゲームやいつ着たか分からない服を適当にはらって床に落として、きっとそうして作ったスペースで、きちんとティーカップに淹れた紅茶を飲みます。

茶渋で汚れたティーカップが積まれ、床に落とされ、新しいティーカップがまた積まれることでしょう。

 

汚れた部屋に人を招くことに疑問はなくとも『お客様』にはきちんとティーカップでお茶を出すことはする。

薔薇ルートで一番、背筋が冷えるような怖さを感じた描写でした。

 

 

 

鷺ノ宮レイ

 

 

《スパンコールのドレスで頼りなく震えてた 愛がなくても怖くないなら キミのためにならないけど 可愛がってあげるよ  / TOY DOLLー the pillows

 

 

イメソン引用から始めてしまった。

 

裏メインキャラ、というのはなるほどという感じで、

一人のままどこかの誰かの物語に憧れて理想の舞台を踊り続けたのが鷹嶺陸なら、

一人では耐えられずもう一人の自分を生み出し舞台の方に自分を最適化させたのが鷺ノ宮レイでした。

 

そしてこの、もう一人の自分というのはネリちゃんとお姉ちゃんを結んでいたものでもあるんですよね。

もともと私は『もう一人の自分』という概念そのものが好きなので、レイのルートも全編通してやっぱり好きでした。

特に薔薇ルート。the pillowsのTOY DOLLが性癖ですぐ認定してしまうんですが、薔薇ルートバッドエンドのレイね、これだった。完全に。本当だって。

 

 

VFB記載のライターさんによるレイへのコメントで「レイは自己肯定感が低いのでワガママな陸に振り回されることで救われていた面もあるのかもしれませんね」みたいな言葉があって、レイの薔薇ルートを思い出してしまいました。

 

レイ薔薇ルートのネリちゃんも自分に自信がない子です。

上位の階級に馴染めないコンプレックスを抱えながらそれでも溶け込むために必死で、何にでも手を出し、騙され、嘘をつき、嘘が嘘を呼び、後戻りできないところまで追い詰められてしまう。

自分と似たものを持つ、自分と違ってひとつも上手く出来ないネリちゃん。

もう一人の自分。

 

 

薔薇ルートはハッピーエンドでのレイのセリフも好きなんだよねー。 泣いちゃう。

 

 

「聞かせてくれないかな。 君の話。 それが終わったら、今度は僕の話をしよう」

 

 

 

七瀬十矢

 

 

一番つらかったのは陸の真相ルートなんですけど、ひどい……て感じだったのは十矢の真相ルートだったかなあ。

 

階級制度に疑問を持っておりレジスタンスを結成して抵抗している……というキャラクターなんですが、そもそもこの学園自体良家の子女だけが入学を許されており、十矢の父親も政治家だったりして、レジスタンスの活動も十矢の学園での振る舞いもどこか余裕があるんですよね。

頼れる実家があって最後は助けを求めようとする。

それは十矢だけではないんだけど、後ろ盾があってこその囚われない自由でもあった(ように見えた)十矢だったからこそ、真相ルートの展開は見ていてしんどいなあ……でした。

薔薇ルートハッピーエンドのネリちゃんの、執念にあやうさがなく芯が通っているとこが突き抜けてるなあって、好きです。

 

 

 

加地壱波

 

 

どうでしょう……どうでしょうか……私はちょっとこのライターさんと合わないかな……という感じでしたが……

 

何だろう、一番分かりやすいルートではあった。自分の心を守りたい、だからこの人に優しくする、だからこの人を切り捨てる。その時々の状況に合わせてその二つの間で揺れながらバランスを取っている。今の立場を守りたいだけだったらまだよかったんだろうけど。

 

こういう、保身に走る割に徹底しきれない人に好感を持つのは私には難しかった……

好感の持てない人が好感の持てない理由である『でも』と『やっぱり』の間で一進一退するような内側の揺れ動きがメインで、そもそも好感を持ってないのでどうでもよく、そこでもうちょっとつらかったんだけど一番微妙だったのは石ころルートのオチの付け方。

これさー、新聞部部長の女装趣味を暴いて失脚させてハッピーエンドっていうやつ、これもうがっかりでしょう。発売当時でも絶対同じこと思ったよ。

このハッピーエンドにショウが協力するのもやめてくれって感じでした。

 

顔のあるモブキャラがとにかく多い絶対階級学園ですが、私が一番好きなモブが壱波ルートにて登場する拾井マキさん。黒目がちのタレ目につんとあがった顎、不敵に眠たそうな声がなんだか気になる印象的な女の子でした。

 

 

 

五十嵐ハル

 

 

あーーーーーーーーあのね。

 

あのね。

 

あの…………………………………………………………………………

 

め…………………………………………………………ちゃすきです…………………………

 

フルネーム打っただけで震えてしまう…………心が………………………………………

 

 

はあ。

 

 

あーもーねえ、お話自体も、嫌だなあってとこがひとつもないし、ていうか好きだし、文章もきれいだなあって思うし、顔がかわいいし、ちょっとぼーっとした声のトーンがよくて、とにかく…………とにかくすき…………このひとを構成する全てがすきです…………それ以外に言葉いる? もうだめ。

 

 

 

 

一番最初に攻略したキャラでした。

 

なので、後々まで分からなかったんですけど、石ころルート分岐点でのネリちゃんってハルのルートだけセリフや展開がやや違うんですよね。

大きく変わるわけではないんだけど、でも、些細な、大事な変化をし、個別ルートでの展開に影響と説得力を与えるところがハルの個別ルートを好きな理由の一つです。

 

 

階級移動が発表される女王のお茶会、その二回目でミツバチ階級から石ころ階級へ、もしくは薔薇階級へ移動させられることから各ルートへの分岐をしていきます。

石ころ階級への移動が決まった場合、それまで仲良くしていたミツバチ階級の友人や壱波から冷たい言葉を投げられ、出自をばかにされ……そこでどういう行動を取るか、怒るのか諦めるのか、ここでの選択肢は数種のエンディングの分水嶺のひとつになります。

 

藤枝ネリがここでちゃんと怒れて、その怒りを伝えることができる人間のままでいられたからこそ石ころルートは真相ルートに繋がるのですが、ハルのルートに限っては怒るという選択肢が存在しない。

ハル石ころルートにおける藤枝ネリは、ひどい言葉で自分を中傷するかつての友人に向かって手を差し出し、いつかまた友だちになりたいと笑うのです。

 

陸、レイ、十矢、壱波の石ころルートのネリちゃんは線を引かれても譲らず踏み越えてでも啖呵を切ったのに対し、ハルの石ころルートのネリちゃんは引かれた線から更に一歩下がってそこから手を差し出します。

差し出すための後退だったのだろうそれは、相対するその人の方から踏み越えてくれることを要求するようで。

そして、だから、届かない。

 

 

ハルの個別ルートは、他のキャラクターの介入が少なく、階級移動で仲違いする友だちとの関わりが唯一そこでぷっつり途切れてしまうルートでもあります。

他のキャラクターにはそれぞれ用意されている、特定のキャラクターの個別ルートを大きく動かすサブキャラクター、これもいない。

 『二人』なんです。

ネリちゃんとハルが深夜に学園内を歩くシーンがあって、そこでのネリちゃんのセリフに、「世界に二人きりみたい」というものがあるのですが、このシーンに限らず、ハルの個別ルートではとにかく『二人』が強調されます。

執拗にいじめられたり雑用は押し付けられるものの代替の効く、いてもいなくても大差ない、だから孤立にすらならない、それこそ「捨て置かれた石ころ」の名の通り道端の石ころみたいに、誰からも見つけられない、慮られないただの『二人』として書かれる。

この、深夜の学園内を歩く二人のシーンは特にそうですね。

一文引くと、

 

 

頭上では、砂場で光る石英のように星がチカチカと瞬いていた。

 

 

これ!

もう、これさ……誰にも気にかけられることのない石ころ階級である『二人』が夜空を見上げるシーンで砂場で光る鉱物に星を例えるってこんなの、もう、最高すぎるでしょう……

近付いて砂に手を入れてよく見てみないと気付かないような、小さな特別……でも、見つけようと近付いて、触れて、そしたら案外たくさん見つけられる、ありふれた特別……

 

 

そう、五十嵐ハルは、見つけられる人なのです。

 

 

絵描きの父親を持ち小さい頃から絵を描いていたハルは今までも今もずっと絵を描いて過ごしています。

そんな、先入観や他人の言葉を取り払って自分の目に映るものを紙の上に表現する絵描きの目を持つハルにとって学園の虚飾は虚飾でしかなく、序盤の時点ですでに「同じ生徒だ」と階級制度を一蹴しています。

 

他の攻略対象たちはどうだったかというと。

 

例えば、十矢。十矢は誰のどんなルートにも大体登場するし気遣いの言葉をかける人なんだけど、自身の薔薇ルートで薔薇階級の制服を着たネリちゃんに対しては面白くなさそうにする。階級制度なんて下らないと言いながらも薔薇が敵で石ころは仲間、そんな意識を捨てられずにいる。

 

階級制度に疑問を持つことすらない陸やレイは薔薇階級に移動してきたネリちゃんを歓迎し、当然ネリちゃんも喜んでいるだろうと考える。

 

多くのミツバチ階級の生徒と同じように薔薇階級に憧れる壱波は一人一人の集団での立ち位置に最も敏感で器用に調整し立ち振る舞う。

 

ハルだけが惑わされないのです。

変わらないでいてくれるのです。 

見つけてくれるのです。

踏まれるだけの地面に近付いて、小さな鉱物の欠片を見つけることができるのです。

そんなハルの澄んだ視界は、学園にも制度にも馴染めないネリちゃんの視界でもあって、それが意味するものは、藤枝ネリという人間がいかに孤独で不安だったか、に他ならないのでした。

 

 

藤枝ネリの孤独感。

ハルの個別ルートではお話を大きく動かすようなサブキャラクターの存在はない代わりにこの、ネリちゃんの抱えた孤独と不安が大きな要となっていきます。

 

実家が燃え、父親が失踪し、離島の学校へ編入することになり、出自をばかにされ、せっかくできた友達を失い、制度にも学園にも馴染めず勉強にもついて行けない、いつまでも妙に浮いた存在として、いつになるのか本当に来るのか分からない迎えを待っている……途方もない孤独と不安の毎日の中で、どこでどんな出会い方をしていてもきっと今と同じように接してくれていたと思える人が同じ教室で一人でいたことはどんなふうに彼女に響いただろう。

 

ネリちゃんの境遇はどのルートでも変わらないのだけど、あのお茶会で引かれた線を踏み越えて怒れなかったこと、自分から手放す覚悟を持てなかったこと、衝突を恐れ失うことを恐れたこと、相手に委ねてしまうずるさが、薔薇ルートではわだかまりとして歪みを生み、石ころルートではたったひとつ、たったひとりへと、まっすぐ気持ちを向かわせていきます。

 

 

 

◼︎石ころ/真相ルート

 

 

ハルの記憶の底にある水への恐怖心とその克服を中心に、過去を紐解いていくのがこのルート。

共通ルートでハルが見せてくれる、いくつかのなぜか惹かれる好きな絵のひとつ、ミレーの「オフィーリア」をモチーフとして展開していきます。

ハムレット」に関しては壱波のルートでも取り上げられ、壱波はハムレットに重ねられるのですが、ハルに重ねられるのは絵画の、オフィーリアなのです。

 

石ころルート中盤、「昔から水辺が怖かった」と語るハルが、池に落とされて気を失ってしまうところからハルの水恐怖症が深刻化します。ここの、浅瀬に浮かんで死んだように動かないハルのスチルがすごくきれいなんですよね……このゲームで一番好きなスチルです。

気を失うハルをネリちゃんが水から引き上げようとするものの、重たくてなかなか動かすことができない。周りで見ている生徒たちに助けて欲しいと声をかけますが、誰ひとり二人を助けようとはしません。

この件をきっかけにハルはコップの水を飲むことすら拒むようになります。

授業にも出られなくなり、徐々に衰弱していき、ネリちゃんはまた一人になってしまう。

そこから「一緒にいてくれた友達を助けたい」とネリちゃんの奮闘が始まるのですが。

 

石ころルートから真相ルートにかけてはネリちゃんとハル、二人の戦いのお話でした。

何だろうなあ、ハルの石ころルートってすごく気持ちのいいルートなんですよね。こういうのを等身大と言うんでしょうか。

強くいられる人が弱くある人を救うでもなく、弱い人どうしが寄り添って生きて行こうとする話でもない。ハルもネリちゃんも、一生徒としてただそこにいて、自分以外にもそう接することができる。ただそれだけのことなんだけど、たったそれだけのことがこの二人にしかできなかった。

ハルの透徹した物事の捉え方も、ネリちゃんの愚直な真っ直ぐさも、見ていてうらやましくなってしまうくらい気持ちがよかった。

そうですね、例えば、

 

 

「破られた絵、テープで……」
震えるハルくんの言葉を引き取る。
「うん、一緒にテープで繋ぎ合わせたよね。下手くそで、全然線が繋がってなかったけど」

 

 

これは真相ルートの終盤、忘れていた記憶を取り戻したときの二人のやり取りで私の大好きなシーンなのですが、ネリちゃんとハルってもう、終始こんな風で、ずっと真横で同じ高さで、渡し合えるんです。なんでしょう……なんていうんでしょうね……すごく難しいことを全く無理せずやっていて、何か、こう、愛おしい在り方というものを見せてくれるんですよね……

 

 

真相ルートのエピローグも、スチル含めてとても美しい帰結を見せてくれます。

 

水恐怖症が更に悪化し、溺水する幻覚と悪夢でとうとう自分の体を傷つけるようになったハルの石ころルートバッドエンド。保健室のベッドに手足を縛り付けられ、存在しない水に狂ったように怯える、ボロボロになったハルのあまりの痛々しさに、ネリちゃんは思わず泣いてしまいます。ポロポロ溢れるネリちゃんのその涙にすら気が触れたように暴れるハルを前にして、涙を拭ってぐっと堪えて笑うしかなくなったネリちゃんの姿に、階級移動が発表されたいつかのお茶会でのネリちゃんの姿がずいぶん昔のことのように過ぎる、そんなバッドエンド。

 

真相ルートでハルは水への恐怖を克服し、あんなにも水が怖かった理由が忘れていた過去にあることを知ります。

両親がすでにこの世にいないこと、

母は溺れた自分を助けようとして亡くなったこと、

父はその数年後アルコール中毒で亡くなったこと、

晩年の父がオフィーリアをモチーフとした絵のみを描き続けていたこと。

父は母の死の原因である自分を責めて、オフィーリアを描き続けたのではないか。

 

エピローグで、ハルとネリちゃんはずっと探していた一枚の絵を見に行きます。

その絵を前に縺れた誤解が解けた瞬間、ハルの目から溢れるように涙が零れるのです。

長い冬を超えた雪融け水のような涙が、頬をつたって、緊張を解いていく。

もう戻らないようにさえ見えた、絡まった誤解を解く最後の一本。

 

「ハル」という名前が記憶を書き換えられた時に与えられたものだったのか本当の名前だったのかは最後まで終えた今でも分からない。レイとハルだけがカタカナの名前であることを思うと、もしかしたら音だけは二人の本当の名前だったのかもしれない。でも私は、絵に付けられたタイトルを見て「偶然?」と呟くハルに「こういうのは、奇跡っていうんだよ」と答えたネリちゃんを信じたい。

 

騙され続けて利用された過去も、正体の分からない恐怖に苦しんだ時間も、乗り越えてここにいることも、「ハル」として過ごしたこれまでの全てへの、祝福だったと思いたい。

偽りの記憶を与えられて本当の記憶とのギャップに苦しんできたハルの、ずっと探してた父親の絵が、偽物を経てそれすらも本物にしてそうしてここにいる今のハルへ。

春の季語をもって、ようやくやさしく語りかけるのだと。

 

 

 

◼︎薔薇ルート

 

石ころルートも薔薇ルートも、ネリちゃんが自身の抱える孤独感を理由と原動力にし加速していくのですが、それが一番強く、かつ、悪い方向に出てしまうのが薔薇ルートでした。

 

石ころルートのネリちゃんが友達と呼べる唯一の人であったハルと、薔薇ルートでは友達でいられなくなります。階級の違うものどうしが横に並ぶことはできないから。薔薇階級には薔薇階級に求められる振る舞いというものがあり、今まで通りではいられない。全部は選べなくて、選ばなかった方を捨てる覚悟を持たなくてはならない。

 

薔薇ルートのネリちゃんは、石ころルート序盤で見せたような目に見えない小さな亀裂を実はずっと持っていて、それに気付かないまま無理を重ねてしまったんだろうなあ。

 

石ころルートのネリちゃんにはそもそもまともに話してくれる人がハルと十矢とエド先生くらいしかいないので迷わずまっすぐ進んでいけるけど、やっぱりネリちゃんだって仲良しの友達がたくさん欲しいし無視されたくなんてないんですよね。

寂しいのも一人も嫌で、お昼はみんなで机を囲むような、そんなふつうの、楽しい学校生活を送りたかった。

 

石ころ階級の生徒は、目立たず穏便に学校生活を過ごしたいか、そうでなければ上の階級に上がりたい人たちの集団なので、悪目立ちしている編入生の石ころネリちゃんと深く関わろうとすることはありませんでした。

 

でも、薔薇階級の生徒は違う。

 

珍しい編入生で特別なにかが優れているというわけでもないのに学園長と女王から目をかけてもらっているネリちゃんは、どの階級にいるにせよ気になる存在ではあったのでしょう。

そんなネリちゃんが自分たちと同じ階級に上がってきたんだから積極的に話しかけて探ろうとしてくるのは自然なことだったと思う。

例えそれが仲良くなりたくてかけられた言葉ではなかったのだとしても、素朴なふつうの女の子であるネリちゃんには、やっぱり、それだけで薔薇階級に昇格してよかったって思えるくらい嬉しかったんじゃないかなあ。

 

薔薇階級の毒はじわじわとネリちゃんの心を蝕みます。

 

本当に馴染めてるわけじゃない、無理をして、無理から目を逸らしてなんとか輪に入れてもらえてる。嬉しくて、それ以上につらい毎日。

そんな中にあっても、石ころルートでそうだったようにやっぱりハルだけは変わらないのです。

一生徒の藤枝ネリと話をしてくれるのです。

薔薇ルートのネリちゃんにとってもハルは唯一の友達で、癒しそのものでした。

 

思えば、石ころルートは『二人』の毎日だった。

誰からも見えなくても、見えたところで踏みつけられるだけだとしても、澄んだ視界に映るものを捉えていく。そう生きる人に共感するなら捨てる覚悟を持たなければならないのに、それでもこれ以上の孤立と孤独が待つ石ころ階級への降格は耐えられない。薔薇階級での仮初めの友情を諦められない。

 

みんなの中で一人になることが怖いけど、みんなじゃない誰かもほしい。

 

ネリちゃんは、薔薇階級に馴染むために自分を変えようとしながらも、同時に、ずっと変わらないでいてくれるハルを天秤の反対側に乗せてしまいます。傾きそうになる精神のつりあいを一人のひとに押し付けてしまうのです。

 

きっと薔薇階級のままハルと友達でいられる道もあっただろうと思う。

今までのように好きなときに話をしたり、放課後一緒にノラ猫にエサをやったりはできなくなるだろうけど。

これから先の未来にある、ハルとのそういう穏やかで何気ない時間を捨てることさえできれば、石ころルートでそうだったように、心を横に並ばせることはできたんじゃないか。

だってハルはネリちゃんが薔薇階級のままであったとしても変わらないでいられる人だ。

 

ネリちゃんが選んだのは薔薇階級らしい手段で、無理を通すことでした。

ここからネリちゃんとハルの関係は少しずつ歪んでいくこととなります。

 

 

薔薇ルートを進めながら、ネリちゃんの交友関係も狭かったけど、ハルの交友関係も同じくらい狭いんだよなーってことを思いました。ハルとふつうに口をきいて気にかけてくれるのって、ネリちゃんと十矢くらいしかいない。

 

ネリちゃんの薔薇階級への昇格は、ネリちゃんの交友関係を一気に広げました。

 

約束も考えることも比べ物にならないくらい増えて、それにつれ、ハルとの会話がだんだん成り立たなくなっていく。ハルにとっての放課後は、絵を描くか猫にエサをやるかだけど、今のネリちゃんにはそうではない。

そんな小さなすれ違いを前兆として、積み重なるバツの悪さがどんどん最初の目印からネリちゃんをズラしていく。頭上の星を見失っていく。

 

気付いたときには致命的なまでにズレていて、そうなると、最初こそネリちゃんの癒しであったはずのハルの変わらなさが逆にネリちゃんを苦しめ始めるのです。

 

ハルの薔薇ルートは、そんな、よく研がれた刃の上をゆっくり指でなぞってどんどん傷が深まっていくような、重症への過程がとてもよかった。

石ころルートで表出しなかったネリちゃんの、誰かとの衝突と孤独への忌避感から来るあやうさにしっかり向き合って光を当ててくれたルートでした。

大好きです。

 

 

 

◼︎

 

 

あー。

これ書くために色々振り返ってたけど、ハルくんはほんとーーにかわいいねえ……

クリア後の感触が三国恋戦記とまったく一緒で、わたしから溢れる感情がわたしに世界を愛しなさいとささやくんですよ、しばらく窓の外のすべてへ愛が止まらない日々を過ごしました。早く魁もプレイしてめちゃくちゃに褒めたいな……

 

VFBとかドラマCDも買ったし昔の店舗特典もハルのだけは中古で手に入れてしまいました。今度のPS4移植もアニメイトとステラで予約したよー。

ハルのルートはとってもよかったし満足してるけどでもやっぱりFDほしいよね。ね。

和田ベコ原画のおとめげーむなんていくらあっても足りないくらいだもんね。ね。

 

CF参加しました。

上手くいってほしいなあ。

 

あ、ハル個別ルートが超々々々よかったので魔性眼鏡を買いました。

次は天涯終わらせてカラマリFDやってパリカやる予定なのでまた先になりそうだけど……

 

元気をもらえたし、2018年はだめだったけど2019年はもうちょっとがんばりたいです。

 

 

2017年のいろいろとやりたいこと

 

 

この記事をもって2018年に意識をアップデート。

 

ゲーム

 

2017年もすてきなゲームにたくさん出会えて嬉しかったです。

 

これ以上ないきれいな完結を見せてくれた大逆転裁判2、

 

めちゃくちゃに気持ちをかき乱して嵐みたいに去った後には最高のサヨナラを残していったダンガンロンパV3、

 

発売後も力の入ったコラボと記憶に残るweb企画とこんなのをやりたいとこんなのが欲しいがしっかり合致したいくつものファンアイテムの発売とをほとんど途切れることなく続けてくれて日々作品への愛着心を育ててくれたSide Kicks!

 

どのゲームも、「今」やれてよかったなと何度も思いました。

積みゲーはやめなければならないなとも……

 

 

  

漫画 

 

商業BL漫画は別記事立てたのでそれ以外で私の今年はこれだったというものを。

 

  

 

椎名うみ作品

 

 

 

 

 

2017年は椎名うみにめちゃくちゃ嫉妬した年だった。

 

私はあまり嫉妬や人を羨む感情が強い方じゃなく、いいなあと思ってもいいなあ止まりであることが多いのですが、久しぶりに胸をかきむしられるような嫉妬をし、この人の目で世界を見たくて、見た世界をこんなふうに受け手に伝えられるような言葉や表現を持ちたくて、いいと思ったもの全部が欲しくて、そのどれも全部ない自分が地面叩き付けたいくらいイラついた。

 

twitterで1話が話題になってたときは生理ネタだったのでふーんくらいにしか思わなかったのですが……椎名うみになりたいのか優里ちゃんになりたいのかもう分かりません、「青野くん」を読むとその2つがぐるぐるしてしまいます。

 

これ書くためにちょっと読み返してみたけど涙がでそうになってそれ以上読めませんでした。

 

 

 

 

青春のアフターIF

 

 

 

緑のルーペにずっとしゃらくささを感じていたのですが、IFではない本編では伏せられていた「倉橋はバイセクシャルで鳥羽に恋している」という設定が明かされて描かれた本作で簡単にコロッといってしまう程度の感情でした。

 

めちゃくちゃよかったです。

 

最後のオマケページは本編軸に戻って「倉橋は鳥羽に恋をしていた」という伏せられていた設定を明かすものだったのですが、このオマケページは同人誌版では袋とじになっていて、自分の手で破らなければ――不可逆の傷をつけなければ――読めないというコンセプトがあったらしく、倉橋にとってその感情はこんなにも明かすつもりのない、もしくは、明かしたくないものだったんだなってやりきれないような気持ちになった。

 

物理媒体ってやっぱりすごいなと、触るだけで少し痛い、ざらざらした歪な切り口を想像しました。

 

少し読み返していたんですが、さくらの祖母が亡くなったときのシーンでさくらの親戚へ向けた倉橋のセリフに「でも封を切れば全ての前提が覆ります」というのがあったことに気がつきました……倉橋…… 

 

「青春のアフター」自体が「こいのことば」の否定であることは読めば分かるしあとがきにも書いてあるんだけど、IFの袋とじオマケ漫画のタイトルも「If not」なんですよね……緑のルーペ、よく知らないですけど自問自答のひとですね……

 

 

 

楽園の羊は泣きかたを知らない1巻

 

楽園の羊は泣きかたを知らない(1) (マガジンエッジKC)

楽園の羊は泣きかたを知らない(1) (マガジンエッジKC)

 

 

 

奈々巻かなこがもう好きで好きで好きなので新作というだけで嬉しい。

 

展開がテンポよくて、独自設定のあるファンタジーなのにそれでも設定と状況とキャラクターたちがすっと入ってくる。

 

なんかいつも、くすぐられるようなじわじわくるかわいさがある男の子キャラクターをくれるんですが、今作、シュラがめちゃめちゃかわいいです……はあ……

 

 

 

あとは、 

 

 

 

かみつき学園1巻

 

かみつき学園(1) (シリウスKC)

かみつき学園(1) (シリウスKC)

 

 

 

2017年一番好きだった(続刊除)百合漫画。

 

 

 

俺たちマジ校デストロイ1巻

 

俺たちマジ校デストロイ 1 (B's-LOG COMICS)

俺たちマジ校デストロイ 1 (B's-LOG COMICS)

 

 

 

エロと直接的感情表現のないヤリチン☆ビッチ部(どっちにしろ最高)。

ヤリチンの話ではない。

 

 

 

ひつじがいっぴき1巻

 

ひつじがいっぴき 1 (ハルタコミックス)

ひつじがいっぴき 1 (ハルタコミックス)

 

 

 

グロとホラーと痛みをびっしり描き込まれた奇妙でかわいいモチーフでくるんでリボンかけたらグロとホラーと痛みが隙間からちょっとはみ出してしまった、みたいな。

ホラー要素のある漫画描く人、基本的に描き込みが偏執的で画面が賑やかなので好きなんですけど、この方の偏執的な描き込みは小学生の女の子が夜に夢見る世界としての奇妙かわいい部分にも発揮されていて、じーっと見てしまうようなコマがいくつもあります。

めェさんがかわいい。

 

 

 

白聖女と黒牧師

 

白聖女と黒牧師(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

白聖女と黒牧師(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

 

 

 

表紙がかわいくて買ったら中の絵も表紙通りでめちゃくちゃかわいかった。

そんなかわいい絵で描かれる聖女様がこの子がもーかわいーーーーーです!!!

黒牧師とか書いてあるので男の子が腹黒系かと思ったら鈍くて真面目な世話焼きでよかったです。

調子にのらない世話焼き×調子にのる世話焼かれ、世界一好きなカップリングなので。

 

 

 

などなど。

2017年もすてきな漫画にたくさん出会えました。

 

 

  

アニメ

 

ゲーマーズ!」「武装少女マキャヴェリズム」「覆面系ノイズ」がよかったです。

一番記憶に残ってるのは「クズの本懐」の最終話で、これに関してはtwitterで喋ってたので以下ログです。

 

 

 

アニメ版クズの本懐、イベントCGみたいな一枚絵で塗りもそれっぽいのがよく挟まれるなと思っていてそれ自体に特によさを感じたことはなかったけど最終話のモカのファッションショーとえっちゃんと花火の校舎外でのシーンで使われたのは立ち絵→イベントCGくらいの力があってすっごいよかった

posted at 23:11:42

 

 

アニメの最終話を見たあと原作最終巻を読んだらアニメの最終話があまりに完璧で原作がかすんでしまった アニメの最終話ですべてを完璧に見送ってしまった後だったから番外編掲載決定っていうのにも全く心が動かなかった

posted at 23:15:55

 

 

箇条書きであらすじを書けばアニメも原作も同じなんだけどアニメの最終話はサブタイトルの「二人のストーリー」通りに花火以外のキャラクターたちのこともちゃんとCG付きイベントで見送らせてくれたんだよ それも麦だけじゃなくて

posted at 23:19:41

 

 

「身体に触れずに相手を思い遣って言葉を選ぶことを初めてしたと思う」みたいな花火のモノローグが好きで印象に残っているんだけどアニメの最終話は誰かが誰かを思い遣るシーンをいくつも入れていて花火が今まで見ようとしなかったもの受け止めきれなかったものが開かれていくのがよく伝わった

posted at 23:23:59

 

 

花火の文化祭の仕事の手伝いを明らかに花火に好意を持ってるモブ男子が名乗り出て一緒にいた友達のモブ男子がそれを見ているシーンとか、花火が片思いしてたメガネやめた先生が花火に声をかけようとするのを茜先生が止めるシーンとか 原作になかったもののどれもが必要なものだった

posted at 23:27:19

 

 

高くで結んでたツインテールを下ろして自分で縫ったドレスを着てランウェイを光の方へ消えていくモカの後ろ姿に乗せて「あんたも自分だけで歩いてみたらわかるわ」のセリフをもう一度聞かせてくれたのが私には一番だった

posted at 23:36:12

 

 

アニメの方が感傷的ではあるかも 原作の方が花火が一人で歩いていくことをより強調していたかも でもえっちゃんの最後の勇気の後ろに眩しすぎて明るすぎる蛍光灯ではなくて桜吹雪と柔らかい太陽の光をくれたのもアニメの最終話だった……

posted at 23:40:34

 

 

最終話のモカのかっこよさときれいさが忘れられない

posted at 23:47:39

 

 

約束をしようと先生に小指を差し出そうとする花火が麦と小指で交わした約束のことを思い出したり、久々に会った麦に一番に言われたのがごめんねだった時に麦からの最後の連絡だったごめんねのメッセージを思い出したり観客席にいる花火と目があったモカが花火に最後にかけた言葉を思い出したり

posted at 23:50:17

 

 

髪切ったんだねって花火に髪に触れられたえっちゃんが最初に花火に同じように髪に触れられた時のことを思い出したりとか 思い出すことと思い出してしまうことと思い返してしまうことを何度も見せてくれたのも好きだった

posted at 23:54:18

 

 

みんな何度も過去のことを思い出すけどでもモカは光の方へ自分で歩いて消えていくしえっちゃんは花火にはもう触れずにすっきりしたって笑うし振り向いても後ろ姿さえ見えなくて二人とも相手がいるわけないこと分かってて振り向いてて時間は戻らないし隠れたところは傷だらけで

posted at 00:18:20

 

 

報われることがあったとすればその傷がきっと特別な傷だってことと特別な傷だって思えていることくらいで

posted at 00:19:26

 

 

この作品もなんだかんだ大人は上手いこと収まるべきところに収まって子供たちは視野が狭かったり自分をコントロールできなかったり持てる手段がなかったり妥協を知らなかったりして傷つくだけ傷つくタイプの話だったけど多分なんだかんだ大人は上手いことやれてしまうお話のこと嫌いじゃないんだと思う

posted at 00:27:38

 

 

茜先生ほんとつまんないよ 一個もおもしろくないし全然好きじゃないけどでも嫌いじゃないよ

posted at 00:31:20

 

 

アニメの最終話がなかったらみんなに思いを馳せることはなかったと思う……アニメの最終話見てよかった……それでも麦とメガネの方の先生のことはどうでもいいけど……

posted at 00:33:59

 

 

最後までつまんないやつ、って言いながら放課後誰もいなくなった教室で黒板に書かれた茜先生結婚おめでとうの文字を雑に消す元合唱部員になりたい

posted at 00:38:34

 

 

 

アニメはtwitterで喋ってなかったら全然思い出せないし今年はもうちょっとちゃんと見たいなーと思うんだけどすでに無理そう……

 

  

 

今年したいこと

 

もう今年も四分の一が終わりますが!

今年は新作ゲームを新作の内にやることと、楽しいなーと思ったらアンケートを出すことをしたいと思います。

あとは本を全然読んでないのでちゃんと読みたいのと、商業BL小説とTL小説を何冊か読みたい……同人乙女ゲームもやりたいです。

暮らしを送りたい。

がんばります。

 

 

 

 

「蝶々事件ラブソディック」クリアしました

 

(2018.2.14 クリア)

 

 

youtu.be

 

 

タイトルと全く関係のないゲームの公式動画を貼ってしまいましたが、この狐森綴くんの自己紹介ムービーを初めて聞いたあの日から、CV村瀬歩の攻略対象のいる乙女ゲームをプレイしたいなあしたいなあと思い続けてようやくその思いが叶ったゲーム、それが「蝶々事件ラブソディック」でした。

 

 

 

 

 

https://twitter.co

m/CCJLS_otomate/status/898378430919491584

 

 

・男であることを隠したまま女性として生きている

・全寮制女子校では生徒たちにとっての憧れのお姉様

・学校の外では歌劇団でトップスタァとして男役を演じる憧れの王子様

 

 

以上三点が狐射堂遙を構成するざっくり三要素。

CV村瀬歩の攻略対象ならこういう感じのキャラクターでこういう感じのトーンで喋って欲しい!というパターン複数を同時に一人の中に落とし込んだようなキャラクターで、とにかく贅沢な体験ができました。

 

遙が女性を演じる時の声、男性として喋る時の声、女性としての遙が男性を演じる時の声、女性を演じながらも怒りや焦りで少し男性としての自分が滲んでしまっている時の声、などなど、高音と低音ではっきり分かれている場面もあれば、遙の意識や感情の揺れと一緒に一つの台詞の中で声のトーンがグラデーションのように揺らめいたりもして、本当にすごかった。ひとつの体験として、すごかった。

 

この世にCV村瀬歩の攻略対象が実装されて欲しいよ~〜という願いそのものはこれ以上ない形で叶えられたのです。

 

と同時に、私は別に声オタというわけではなかったなというのを改めて実感させられたゲームでもありました。

この体験だけでもってこのゲームを好きだった、満足したとまではどうしても言えない……

 

文章が読みづらいわけでもなく、システムがとんでもなく使いづらいわけでもなく、頻繁に発生する読み込みとその遅さにストレス溜まるわけでもなく、ただただシナリオを読んでいるほとんどが退屈な時間だった。

 

結局この退屈さの原因は最後まで分からないままだったけど、最近漫画版の蝶々事件を読んだところ、毎話必ずキャラクターの見せ場が派手にきれいに演出されていたり、イ織が煙草を吸うなどのキャラクター解釈の小道具での表現が最高だったり、表情に乏しいえれながたまに見せる強い瞳がかっこよかったり、サブキャラの死に際もゲーム版よりずっと丁寧に時には美しく描いてくれていたりと、とてもとてもよかったので、硝音あやさんにイベントスチルを描いてもらえてたら印象は全然違ってただろうな……とは思いました。

 

 

 

個別ルート等

 

 

理智ルートが一番好きだったかなあ。

理智ルートは、結局紐解いていくと小さい願いにたどり着くのに、そこにそれがあるのは見えたのに、上手く解けた気がしなくて、よかった。

 

好きなキャラクターは個別ルート終盤以外のイ織と他人のルートでの遙です。

 

このゲーム、最初に攻略できるのは遙か将成のどちらか一方というのもあって大体の人が遙を攻略するのはかなり序盤になるんだけど、その後どのルートにも主人公の女友達ポジションで登場してくる遙に、どの攻略対象よりも画面外の”わたし”からの好感度が重なってってしまうというあんまりなかったような不思議な感覚があって、人気投票の結果とコメント見る限りそういう人は多いんじゃないかなーと思うんだけど。

 

遙が隠れてない隠しとして理智なみの攻略制限がかかっていたら……散々女友達キャラとしての遙と各ルートを回って最後の最後に遙ルートが解放されていたら……わたしのかんがえたさいきょうのちょうちょうじけんにしか過ぎませんが……でもそういう遙は見てみたかったな……

 

イ織は、個別ルートの落としどころがあんまり好きじゃなかったけど、そこを除けば一番楽しかったルートで、好きだったキャラクターでもありました。

 

 

 

 

 

ここがイ織ルートで一番好きだったシーン。

同じものを見ながら、聞きながら、相手の持たない風景を言葉でひとりごとのように描き続けるように、交わったとしても沿うことはしない二人をゆっくり描いていたルートだったので、

 

 

 

 

こういう結末になったのは残念でした。

漫画版のイ織があんまり執着心もなくただこの足で踏めるところは全て舞台だから舞台上ではより楽しい方を選んでいるだけ、て感じですごくすごくいいので、蝶々事件3巻の発売と硝音あやさんの構想通りの完結を楽しみにしたいと思います。

 

 

2017年 面白かった商業BL漫画

 

 

 

 ぼーっとしてたら2月になってしまいました。

順番に特に意味はないです。

 

 

 

 兄は元彼

兄は元彼 (ディアプラス・コミックス)

兄は元彼 (ディアプラス・コミックス)

 

 

 

そう言えば

僕は

昔の兄も真面目だったかどうかなんて

考えたこともなかった

 

 

読み終わってあらためてタイトルを見て、いいなあって思った。

元彼って言葉は対象に対して使うものなので「兄"の"元彼」とする方が聞きやすいところを、「兄"は"元彼」と名付けられたこの作品はその通りに、兄と、兄の元彼と、誰かの元彼であった兄と、弟のお話でした。

私、第三者視点BLがすごく好きで、やたもも3巻もこれでめちゃくちゃよかったので2017年はこの二作品だけでいい第三者視点BLに恵まれていたなあと満足しています。

片側からでは見られないその人の違う側面を分け合って昔わからなかった涙の意味をわかったり、最初に去っていった人間がいつのまにか一番立ち止まっていたり、だから的外れだったり、でも呆れを取り戻したのは面影だったり、時間と視点が交差するからこその混線がすごく好きでした。

あと梅子さん、今年読んだ商業BL漫画で一番好きな女子キャラクターです、かわいい……

 

 

 神様はたぶん左利き

 

神様はたぶん左利き (アイズコミックス)

神様はたぶん左利き (アイズコミックス)

 

 

 

例えば犬

けなげで頑張りや

お札

美しいもの 人間の技術力

そういうもの

俺の 好きなもの

 

 

 借金のカタに偽札を作らされてる印刷所の刷師とそこにやってきた人間コピー機のお話。

設定の珍しさに目を引かれるけど、それだけで終わらずに、高い技術力をもって偽札を作ることを通して偽物と本物を引き合いにしながら、自分の信じるもの・自分の好きなものを大切にするためにどういう行動を取るべきか、というところに収束していくのがとてもよかったです。

読み切り版のラストと最終話のクライマックスで出てくる真倉の「何様なんだ」というセリフや土砂に埋もれて行くあのシーンなんかを見ていると、もっと真倉のことで描きたいことがあったんじゃないかと思えて、もうあと1.5倍のページ数で読めたらなあと思ったり。

この方の漫画、前作もそうなのですが、表紙に意味や裏話を盛り込んでくれるのであとがきを読んだあと表紙を見返すのも楽しいです。

一番好きなシーンは、泥酔しながら二人で、乗ってる他の乗客も眠っている恐らく最終の市バスの一番うしろの席で、肩組んで歌ったりしてるシーンです。

 

 

ハイ・ファイ・ランデブー

 

ハイ・ファイ・ランデブー (H&C Comics ihr HertZシリーズ)

ハイ・ファイ・ランデブー (H&C Comics ihr HertZシリーズ)

 

 

 

住むなら田舎かな

でも大学が都会だったら

そっちで就職してしまうかもね

東京

大阪

名古屋

どこに行くんだろうね

俺たち

 

 

廃校が決まった学校で卒業までの最後の一年を過ごす中学生二人のお話。

風景の中にキャラクターを立たせるのが本当に上手いなあと思う漫画家さんで、最後の一年の春夏秋冬を順番に描いていくこの作品はそのよさが特に強く感じられました。

絵的に強いラストシーンのある単巻漫画が好きで、この作品もまた。

予想のつくラストを絵の強さが越えていくことほど気持ちいいことはないです。

市バスってなんかほんといいよね…………

 

 

ユートピアダーリン

 

ユートピアダーリン (あすかコミックスCL-DX)

ユートピアダーリン (あすかコミックスCL-DX)

 

 

 

「俺の気持ちが無くても 恋愛って成立するんだな」

「何を今更 君の気持ちしかなくても恋愛は成立してきたじゃないか」

 

 

献身的な人間の恋のお話が好きなのは、一人の内に完結する恋のお話だからなのかもしれません。

目の前のその人の心のどこかを埋めるように気持ちを傾けることが恋で、埋まった人から笑って去っていくことが恋の終わり。

主人公が変わるわけでも時代設定が変わるわけでもなく、そんなに長くはないある期間を切り取った連作ものなのに、どこか輪廻転成もののようにも感じられます。

 

 

インディゴの気分

 

インディゴの気分 (Feelコミックス オンブルー)

インディゴの気分 (Feelコミックス オンブルー)

 

 

 

 胸のどこかにずっと…

小さな炎が燻っているのだ

あの頃

あの日々に

燃やし尽くせなかったから

多分一生消えない

 

 

前作「ポルノグラファー」の続編で、過去編。

今更どうにかできるわけではないし思い出すだけ無駄だけどでもふとした時何度も思い出してしまっては胸に青い影が落ちる。時が経った実感はないのに遠いところまで来たなあと感じる。あの時こうしていたら…と想像することは少なくなって今はただ思い出してしまう。一人になった時、誰かに手を振った時、深夜家までの短い距離を歩く帰り道に、空車のタクシーとすれ違った時。誰かと関わったことでしか生まれなかった後悔のような燻りを、誰もがひとつは持って生きているのだろうと、そんなことを思いながらどうしても泣いてしまう、そんな作品でした。

 

 

On Doorstep

 

On Doorstep (ビーボーイコミックスデラックス)

On Doorstep (ビーボーイコミックスデラックス)

 

 

 

あたたかいお前が

好きだったんだ

 

 

韓国の漫画家さんの作品を翻訳したものらしいです。

絵がほんとうにどのページどのコマを取ってもきれいで、白黒でも透明感があるのが好きです。崩し顔みたいなものもなく全編イラスト集のような絵で、そういう漫画って読みにくかったりすることも多々あるんだけど、この作品はそんなことなくとても読みやすかったです。

最近好きだなあと思うイラストはだいたい描き手が韓国の方だ!

 

 

学園天国 それは恋です小泉くん

 

学園・天国 それは恋です小泉くん (ビーボーイコミックスデラックス)

学園・天国 それは恋です小泉くん (ビーボーイコミックスデラックス)

 

 

 

この日私は

少しだけ

特別な女の子になった。

 

 

同一シリーズだけど違うテーマ付きアンソロに一話完結ものとして短編で載ったものと、雑誌でシリーズものとして連載で描かれたものを合わせて一冊にまとめたもの。

なので、一つのシリーズとして見たときの一話あたりのバリエーションが豊富で、読んでて楽しかったです。

女子BL掲載時にフィーチャーされたモブ女子の中森さんが攻めよりも登場回数多いのではってとこも含めて、アンソロでテーマ先行で描かれたからこそ生まれたような面白さがとてもよかったです。

 

 

YOUNG GOOD BOYFRIEND

 

YOUNG GOOD BOYFRIEND (on BLUEコミックス)

YOUNG GOOD BOYFRIEND (on BLUEコミックス)

 

 

 

好きな食べ物は アイスクリーム

押し倒された床の冷たさを覚えてる

全部のいたずらを覚えてる

眠った顔

公園のアヒル

花火

笑えるくらい大きなベッド

ずっとひとりだと 思っていた

しがない男の

君は

いつまでも

いつまでも

終わらない恋

 

 

前作「YOUNG BAD EDUCATION」の続編。

前作よりもずっと好きになったのは、先生視点がメインになったからかなと思います。過去も今も手の届くものも届かなかったあの頃も全部を何度も噛みしめるような、恋のお話。

先生から見た水沢くんの横顔、笑顔の眩しさに、先生のこれまでの想いが全部のってて、何回読んでも泣いてしまう……

好きなシーンは、ラストシーンと、先生が家に行く前にアイスとポテチとコーラを買って行くのが学生っぽくて嬉しくてうきうきしていたのを平静を装って隠そうとしていたシーンです。

 

 

日常クライマックス

 

 

 

ねぇ 日下

別れ話してもいいけど

別れないでくれる?

今更 お前以外と生きていけねーよ

 

 

『元耽美』というテーマで描かれた、駆け落ち15年後の安定の中での長い別れ話のお話。

こういうお話によさを感じるようになったのは年取ったからだなあと思う。

「別れ話してもいいけど別れないでくれる?」のセリフには目の覚めるような思いでした、私が最初に考えつきたかった……